
源泉徴収とは?言葉の意味から知っておきたい情報までをわかりやすく解説。
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従業員を雇用している事業者や、弁護士など外部の個人へ報酬を支払っている事業者には、源泉徴収の義務があります。源泉徴収には明確なルールが存在し、義務を怠った場合や誤った方法をとってしまった場合は罰則の対象となる恐れがあります。
事業者や経理担当者は、源泉徴収に関する正しい理解が必要不可欠です。本記事では源泉徴収について、意味やおさえておきたい情報などを解説します。
目次[非表示]
- 1.源泉徴収とは
- 1.1.給与や報酬から所得税を天引きすること
- 1.2.源泉徴収が必要な理由
- 2.源泉徴収の対象者は?
- 2.1.従業員全員が対象
- 2.2.報酬・料金などの源泉徴収も行う
- 3.源泉徴収の注意点
- 3.1.社会保険料控除後の金額が計算対象
- 3.2.給与・賞与・退職金で計算方法が異なる
- 3.3.「年末調整」で所得税の精算を行う
- 3.4.源泉徴収票と支払調書の発行が必要
- 4.まとめ
- 5.経理業務でお悩みのときは、グランサーズにご相談ください!
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源泉徴収とは
はじめに源泉徴収の意味を解説します。源泉徴収は業界・業種問わずすべての事業者に関係するため、言葉自体を見聞きする機会は多いでしょう。しかし正確な意味は良くわかっていないという方も案外多いかもしれません。
源泉徴収の意味、そして源泉徴収がすべての事業者に関係する理由について解説します。
給与や報酬から所得税を天引きすること
源泉徴収とは給与や報酬から所得税を天引きする行為です。
雇用している従業員には毎月給与を支払いますが、額面をそのまま支給するわけではありません。会社で加入している社会保険料、そして所得税・住民税などを控除した金額を支給します。天引き項目にはいくつかの種類がありますが、そのうち所得税を天引きする行為が源泉徴収と呼ばれます。
個人事業主に支払う報酬の一部も源泉徴収の対象です。多くの場合は請求書に源泉徴収額・控除後の報酬額が記載されているため、そちらをもとに源泉徴収・報酬の支払いを行います。
源泉徴収により天引きした所得税は、会社から所轄の税務署へ納付します。
源泉徴収が必要な理由
源泉徴収は国によって明確に規定されている制度です。ではそもそも、なぜ国は源泉徴収という制度を導入しているのでしょうか。
いくつかの理由があげられますが、一番は所得税の申告・納付に関する負担を減らすためといえます。
給与・報酬などの所得には、一定の所得税が課せられます。所得税の額は年間の所得をもとに計算されますが、確定申告の実施や税額をまとめて納付するのは負担となる恐れが大きいです。
また所得のある人全員が所得税の納付期間に納税を行おうとすると、税務署や金融機関に人が殺到してしまいます。業務がスムーズに進まなくなる、来訪者が多すぎてパンクしてしまうといったリスクが高いのです。
そこで給与所得者は原則として、毎月の源泉徴収および年末に行う年末調整を実施すれば、所得税に関する手続きを不要としました。給与以外の所得がある・控除を希望するなどの条件に該当しない限り、確定申告や追加の納税が不要です。
結果として所得税に関する国・納税者の負担がおさえられます。
また個人事業主への報酬も、一部は源泉徴収の対象です。こちらは申告漏れを防止するために設けられた制度となります。
なお源泉徴収を行わなかった場合、延滞税や加算税など罰則対象となる場合があります。
源泉徴収の対象者は?
続いて源泉徴収の対象者について解説します。源泉徴収の対象をおさえておかないと、源泉徴収漏れが生じてしまう恐れが大きいです。
源泉徴収の対象者は細かく規定されているため、事業者や経理担当者は正しく把握する必要があります。
従業員全員が対象
原則として、会社で雇用している従業員は全員が源泉徴収の対象です。正社員・パート・アルバイトといった雇用形態は関係なく、会社と雇用契約を結んでいれば、源泉徴収を行う必要があります。
役員は雇用契約を結んでいる従業員ではありませんが、会社から支給される役員報酬は、源泉徴収の対象です。
ただし以下の条件に該当する場合、源泉徴収を行う必要がありません。
・税区分が甲欄(主たる勤務先・扶養控除等申告書を提出している)で、
月の給与額が88,000円未満の場合
・外部から派遣されている社員:派遣社員は派遣元の会社と雇用契約を結んでいるため
自社では源泉徴収を行いません
従業員によっては給与以外に所得があるなどの理由により、確定申告を実施するケースもあります。しかし個人で確定申告を行う場合でも、会社は源泉徴収を行う必要があります。
報酬・料金などの源泉徴収も行う
外注費として支払う報酬・料金も、一部は源泉徴収の対象です。
特定の会社と雇用契約を結んでいない個人事業主は、自身で所得税の確定申告を行います。しかし前述の内容と関連しますが、申告漏れを防止する目的で、一部の報酬・料金は源泉徴収の対象と規定されています。
源泉徴収が必要な報酬・料金として以下があげられます。
・原稿料や講演料など
・弁護士や税理士など、一定の資格所有者に対する報酬
・スポーツ選手・モデル・外交員などに支払う報酬
・芸能関係として支払う報酬、テレビジョン放送などの出演料
・宴会などで接待を目的としてバンケットホステスなどに支払う報酬
・プロ野球選手の契約金など
・広告宣伝を目的とした賞金・競馬の賞金
なお報酬の性質によって適用する税率も規定されているため、外注費を支払う際はご確認ください。
源泉徴収の注意点
源泉徴収の注意点として以下の内容があげられます。
・社会保険料控除後の金額が計算対象
・給与・賞与・退職金で計算方法が異なる
・源泉徴収票と支払調書の発行が必要
・「年末調整」で所得税の精算を行う
それぞれ詳しく解説します。
社会保険料控除後の金額が計算対象
源泉徴収として天引きする税額は、給与総額ではなく社会保険料を控除した後の金額が計算対象です。
たとえば給与額面が250,000円、社会保険料控除後の金額が200,000円の場合、200,000円の方で源泉徴収税額を計算します。
なお源泉徴収として天引きする税額は、国税庁が公表している「源泉徴収税額表」に明記されています。近年は給与計算ソフトが自動計算するケースが多いですが、正しい理解のため、経理担当者は一度目を通しておくと良いでしょう。
給与・賞与・退職金で計算方法が異なる
これまで従業員に支払う報酬として給与のみを取り上げていましたが、給与以外の報酬も源泉徴収の対象です。すなわち賞与や退職金なども、源泉徴収を実施したあとの金額を支給します。
そんな従業員へ支払う報酬ですが、給与・賞与・退職金は、それぞれ源泉徴収税額の計算方法が異なる点に注意が必要です。額面金額が同じであっても、天引きする所得税は異なります。
「年末調整」で所得税の精算を行う
従業員への給与に対して毎月実施する源泉徴収ですが、あくまで概算に基づくものです。所得税の正確な金額は、年間の給与所得が明確になるまでわかりません。
事業者は年間の給与額が明らかになる年末に「年末調整」という作業を行い、所得税を精算する必要があります。これまでに天引きしてきた源泉徴収税額の合計と年間の所得税額を比較し、過不足があれば12月もしくは翌年1月に支給する給与で精算します。
年末調整では給与額以外にも、生命保険料や地震保険料など控除項目の考慮も必要です。そのため従業員に対して必要書類を請求し、なるべく早い段階から準備を進めるのが理想です。
源泉徴収票と支払調書の発行が必要
年末調整と関連する内容ですが、事業者には源泉徴収票の発行義務があります。
源泉徴収票は年間の給与額や源泉徴収税額を記載した書類です。すべての従業員に発行する必要があります。給与額が小さいなどの理由により源泉徴収を行っていない従業員でも、源泉徴収票の発行が必要なため注意しましょう。
また個人に対して支払った報酬・料金については、その年の支払額が5万円を超える場合は支払調書の発行が必要です。発行した支払調書は税務署へ提出します。
なお支払調書を支払い相手である個人に発行する義務はありませんが、慣行として個人にも送付しているケースが多いです。
まとめ
源泉徴収は、事業者が給与を支払うときに給与や報酬などから所得税を天引きする行為です。すべての事業者が対象であり、義務を怠ると罰則対象となるので注意しましょう。
源泉徴収にはさまざまなルールがあり、事業者や経理担当者は正しく理解する必要があります。源泉徴収についてしっかりおさえ、適切な対応を行いましょう。
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