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上場企業での経理は非上場企業の経理と何が違うのか?

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非上場企業で働いている経理担当者のなかには、スキルアップして上場企業に転職したいと考えている人もいると思います。

同じ経理でも、上場企業と非上場企業では役割に違いがあります。上場企業では株主を含めたステークホルダーに会社の情報を的確に伝える役割が求められますが、非上場企業の経理では適正な決算を作成し、適正な法人税等の納税を実施することが主な役割です。

上場企業の経理では非上場企業にはないプロセスや注意点が多く存在します。

本記事では、非上場企業と異なる上場企業の経理業務について、具体的に解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.上場企業の経理の流れ
  2. 2.個別決算と連結決算
    1. 2.1.個別決算の注意点
    2. 2.2.個別会社の税務計算の留意点
    3. 2.3.連結決算を効率的に進めるには
  3. 3.開示資料と監査対応
    1. 3.1.開示資料とその説明資料について
    2. 3.2.監査法人の承認
  4. 4.すべてのステップで必要とする経理方針について
  5. 5.まとめ
  6. 6.経理業務でお悩みのときは、グランサーズにご相談ください!
  7. 7.関連記事

上場企業の経理の流れ


上場企業における経理の流れは、毎月の個別決算を行い、四半期毎に、個別決算→税務計算→連結決算→開示資料の作成(決算短信、有価証券報告書)を経て決算発表を行います。その過程で監査法人の監査も受け「適正意見」を受けます。これらの各ステップでの注意点と効率化の観点で何を志向すべきかを述べたいと思います。




個別決算と連結決算


上場企業における経理の流れは、毎月の個別決算を行い、四半期毎に、個別決算→税務計算→連結決算を行います。

上場企業は子会社を保有している場合が多く、子会社がある場合は連結財務諸表を作成する必要があるのです。これが上場企業の経理は難しいと思われる理由の一つです。

ここでは、個別決算と連結決算における注意点を解説していきます。


個別決算の注意点

①個別決算の正確性の担保

個別決算の正確性を担保するために、連結子会社間の経理処理を標準化する必要があります。決算マニュアルを事前に作成し、イベント毎にどういう経理処理をするのかを親・子会社の経理担当者に周知しておきます。また、イレギュラーなイベントで大きく数字が発生する際には、事前に経理処理を定め監査法人に事前確認することも、四半期決算を迅速に終わらせるには重要です。

②決算方針の周知と提出スケジュールの遵守

個別決算を営業日ベースでいつまでに終わらせて、併せてグループ間での取引明細をいつまでに提出すべきか事前にスケジュールを明示しておきます。(例:個別決算書提出は3営業日19時迄→グループ間での取引明細は4営業日12時迄→親会社決算締4営業日19時)

留意すべき経理処理の説明会などを事前に併せて開催して、不測の事態でも連携しやすい人間関係を築いておくのも大事です。

③管理会計で予測している営業成績との乖離内容の把握、原因分析

管理会計で予測している売上高、営業利益と経理締めとの売上高、営業利益とで差異が生じた場合に、何が原因で発生したかを見極めることで、個別決算が正しくすべてが処理できたかを判断することができます。このPDCAを繰り返すことで、予算の作成精度が上がっていきます。

個別会社の税務計算の留意点

①概算計上はどこまで許されるか

月次決算での法人税等の税金計算は実効税率ベースで計上し、四半期決算においてはある程度の概算計算は認められるものの正確性を追求する必要があり、法人税計算において各別表の必要数値を決算中に把握する必要があります。法人税別表4での加算、減算項目の内容を確定できるものは実数値を、不確定項目は年度見積額の四半期影響額を概算で計上するなどの見極めが必要となります。

②連結決算に備えてスピード重視

個別会社の税務計算のスピードは必要ですが、連結決算が早く終わるための準備も必要です。連結間取引を経理計算で連結消去するように、税務でも連結間取引を消去することが必要となることがあります。(例:連結納税を実施している会社)したがって、事前に連結間取引の把握と実数値の把握が必要となります。税務担当者も連結取引を理解する必要があります。

③税効果と回収可能性の精度

繰延税金資産を計上する際の回収可能性が監査法人と論点になることがあります。事前に疑義を解消し監査中に揉めないようにしなければなりません。回収可能性の根拠は当該子会社の将来の利益の獲得予測に依拠するため、予測が正確かどうかを事業部担当者と事前に詰めておくことが肝要となります。


連結決算を効率的に進めるには

①連結対象会社の事前の選定(特に非連結会社の選定)

基本的な考え方は全部連結ですが、期中に買収した子会社などの連結開始時期をいつにするかを経営者が決め、その方針を監査法人から同意を取る必要があります。また連結に含めない子会社(例:清算予定子会社)を決定して事前に同意をとることも必要です。

②投資、資本等の消去仕訳を事前に実施して、監査法人にレビューしてもらう。

月次、四半期決算を始める前に、事前に親会社からの子会社投資と子会社側の資本金等との消去仕訳を準備し、事前に監査法人にレビューしてもらえれば、連結決算の締めはその分早くなります。

③個別会社でのグループ法人間取引をいかに抽出し、消去できるかが勝負。

親会社と子会社取引、子会社と子会社との取引をいかに早く把握できるかが、連結決算を早く締めれるかの鍵となります。取引自体は恒常的な取引とイレギュラーな取引がありますが、恒常的な取引は毎月の月次決算でいかに不明差異が解消できているかが肝要です。イレギュラーな取引は事前にイベント把握できてさえいれば、取引金額が合致しているかどうかなので、事前の情報収集と調整が重要です。




開示資料と監査対応

連結財務諸表を作成した後は、開示資料(決算短信、有価証券報告書)を作成し、決算発表を行います。またその過程で監査法人の監査を受け「適正意見」を受けます。

これらも上場企業特有の業務です。

ここでは、開示資料と監査対応の注意点について解説します。


開示資料とその説明資料について

①決算短信と四半期報告書(有価証券報告書)との違い

 決算短信は証券取引所が管轄する速報で、四半期報告書(有価証券報告書)は金融庁管轄の書類ですが、締切時期やフォーマットに若干違いがあるものの、基本的な構成は同じで経理部門は二重で資料作成する必要もありましたが、今後は統一する方向で進んでいます。

また、大きな違いは決算短信は監査法人の監査の義務はありません。(ただし一応はチェックします)

②それらを補完する説明資料

これらの開示資料に基づき、経営者は決算説明会を実施することが多いですが、株主や機関投資家からの説明に備え、経理部は質問に対する回答書を作ります。多くの質問への回答作成には莫大な時間を要しますので、如何にスピード早く作れるかが重要となります。

③経営者の意思をどう伝えるかを企図しなければならない決算発表

コロナ禍もあり実際に顔を合わせた決算発表は実施しないことも多くなりました。ただ、経営者によっては年に数度しか株主等と対話できないことを寂しく感じるようです。ここで重要なことは株主は会社のファンであり、ファンに対して良いことも悪いことも伝えることが重要なことです。その対話で更なるファンになってもらえるような準備が必要だと言えます。


監査法人の承認

①過去の流れと現代の監査法人

過去は経営者と監査法人は悪くも「慣れ合い」が普通で、お互いの信頼を前提とした監査が一般的でした。その結果、会計不正を見逃した監査法人の解散もありました。

現代においては、その過ちを繰り返さないよう、監査法人側もクライアントを監査する部門と、その監査ステップを審査して適正意見を法人として表明可能と判断する部門が独立しており、その伝達ステップを如何に早く済ませるかも、企業側に課せられる義務となります。

②監査コストとの見合い

その前提で企業側には、正しい情報をいかに早く伝え、監査部門とは事前に論点を解消することが重要です。質疑の往復で両社の稼働工数が増えれば、それが監査費用に反映されるので、その工数を減らすためには、両社に素人(経理初心者)が加わることを避ける必要があります。担当者には議論内容を見て学んでもらい、実際に本人達が議論できる段階で参加させたほうがコスト面の観点からはよいからです。




すべてのステップで必要とする経理方針について


①経理はコスト部門で必要がないのか?、

経理部は稼ぐことができないが経営情報を外部に伝える重要な役割を担っています。ただし経理要員は人件費コストを意識した働き方をする必要があります。従って、自分自身の時間単価と外部委託コストを比較して、外部コストのほうが安価ならばその業務を外部委託して、自分自身はより高度で未開拓な業務にシフトする必要があります。また、その前提として人が行う業務をシステムでの自動業務に移管して、人件費自体を減らすことを常に考える必要があります。

②最新情報のアップデートと自己啓発

 また経理要員も会計税務の最新情報を常に取得しながら、経理以外のスキルを身に着ける必要があります。海外子会社の内部監査の観点からは語学の習得も必要ですし、経理実績を経営者、事業部門に迅速にフィードバックするためにエクセルだけでなく、DBやBIツールの扱いもできなければ工数を削減できません。

③他の業界での情報を見て学ぶ。

 自分自身がかかわる業界だけでない、広い視点でほかの業界を新聞雑誌、WEBなので興味深く見ることや、他の会社の経営者のインタビューをみて何を志向しているか考え、疑似CFOの役割を想定してキャリア形成をしていくと、現状業務に更に活かせるのではないでしょうか。




まとめ


上場企業の経理業務について解説してきました。

上場企業には非上場企業にはない、専門性の高い経理業務が存在します。そのような専門的で難しい業務を行える人は少ないため、経理人材として重宝されます。専門性を高めることで、キャリアアップに繋げることができるでしょう。

本記事が経理の転職・就職の参考になれば幸いです。




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監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
慶応義塾大学商学部卒。監査法人トーマツにて会計監査、株式上場支援、企業の経営改善支援に従事。平成24年筧公認会計士事務所(現:税理法人グランサーズ)を開設。常に現場に入り、経営者とともに課題に取り組み、経営者と常に相談しながら経営者のニーズに応え、解決策を導き出すことをモットーにしている。スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。東京商工会議所専門家エキスパート、セミナー実績多数。
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