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株価算定とは?言葉の意味から基本的な知識をわかりやすく解説。

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市場で株式の売買が行われている上場企業は、常に株式の時価を把握できます。一方で株式が非公開である非上場企業の場合、市場株価のような明確な価値を確認できません。非上場企業の株価を把握するには、株価算定と呼ばれる、株価の適正な算定が必要です。

本記事では株価算定の意味や必要となる場面、具体的な方法について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.株価算定とは
    1. 1.1.株式の価値を算出する行為
    2. 1.2.株価算定の依頼先
    3. 1.3.株価と企業価値の違いとは
  2. 2.株価算定が必要になる場面
  3. 3.株価算定の方法
    1. 3.1.インカム・アプローチ
    2. 3.2.マーケットアプローチ
    3. 3.3.ネットアセットアプローチ
  4. 4.まとめ

株価算定とは

最初に株価算定の意味について解説します。株価算定の主な依頼先や、似た用語との違いについても取り上げます。


株式の価値を算出する行為

株価算定は文字通り、株式の価値を算出することです。基本的には市場で公開されていない、非上場企業の株価を算定する行為を指します。

上場企業の株式は市場で売買取引が行われるため、リアルタイムで株価を把握できます。一方で非上場企業は、その時点における株価をすぐに把握する方法がありません。そのため株価を把握する必要性が生じたときは、株価算定を行う必要があるのです。

なお非上場企業の株式は取引を行う場面がほとんどないため、株価算定を一切必要としない非上場企業も多く存在します。


株価算定の依頼先

株価算定には特別な資格は必要ありません。しかし高度かつ広い専門知識が必要なため、実際に株価算定ができる人は限られています。

株価算定の主な依頼先は以下の4つです。

 ・コンサルティング会社:一口にコンサルティング会社といっても、会社によって得意分野や提供するサービスの種類が異なります。株価算定の実施を強くアピールしている会社を選ぶのが安心です

 ・銀行アナリスト:投資銀行のアナリストは、さまざまな価値の分析や算出を得意とします。そのため株価算定を依頼できるケースもあります

 ・公認会計士:株価算定に特別な資格は必要ありませんが、前述したように高度な専門知識が必要です。そのため会計の専門家である公認会計士に依頼するケースが多くみられます

 ・税理士:公認会計士と同様に高度な専門知識を有するため、株価算定の依頼先として選ばれやすいです。税理士による評価は税務面が重視されるため、税務的な目的で株価算定が必要な場合は税理士に依頼するのが良いでしょう

なお株価算定の依頼に要する費用の相場は20〜200万円で、依頼先や内容の複雑さによって大きく変動します。大手事務所に依頼する、または財務諸表などの資料が複雑などの場合は高額になる傾向です。


株価と企業価値の違いとは

株価と似た用語として、企業価値が挙げられます。

企業価値はその企業が有する事業および保有資産といった、企業全体の価値です。企業の将来的な収益性を表す数値であり、貸借対照表における負債と純資産(株主資本)の価値が計算のベースになります。計算方法は以下のとおりです。


企業価値=負債価値+株主価値(株価×発行済株式総数)

株価は文字通り株式の価値です。上記の計算式における、株主価値の計算にも用いられます。企業価値から負債を引いた数値を、発行済株式総数で割った数値です。会社の買値とも言い換えられます。

すなわち企業価値は企業全体が有する価値、株価は会社の買い価格であり、これらは明確な違いを持つ用語です。


株価算定が必要になる場面

非上場企業の株式は市場における取引が行われません。通常の会社経営や事業展開においても株価を用いる場面はないため、株価を知る必要のない非上場企業は多く存在します。

非上場企業で株価算定が必要な場面として、以下の例が挙げられます。

 ・ベンチャーキャピタルや外部投資家の出資による資金調達
 ・M&A(取得価格を決定するために株価の算定が必要)
 ・事業承継や相続
 ・自社株式の買取
 ・ストックオプションの発行
 ・株式の購入や贈与

これらはいずれも、企業の持株比率が変わる、もしくは株式の保有者が変わる場面です。株式が大きく動く場面とも言い換えられるでしょう。また上場企業が非上場企業の株主を保有している場合、保有している非上場企業の株価を把握するために株価算定が行われるケースもあります。


株価算定の方法

株価算定の主な方法として、以下の3つが挙げられます。

 ・インカム・アプローチ
 ・マーケットアプローチ
 ・ネットアセットアプローチ

それぞれ株価算定における着目点やアプローチが異なるため、株価算定の場面や目的に合わせた使い分けが必要です。それぞれの方法について詳しく解説します。


インカム・アプローチ

インカム・アプローチとは、将来予測される収入やキャッシュフローを使った方法です。企業の将来性に着目して評価を行います。現時点での保有資産は小さいものの、将来的には大きな成長・収益が見込める企業に適した手法です。

インカム・アプローチの具体的な計算方法として、以下の3つが挙げられます。


 ・DCF法(割引キャッシュフロー法):会社の将来的なキャッシュフローを予測し、現在価値に換算する方法です。正確性が高い一方で、高度な専門知識・複雑な計算が必要となります

 ・収益還元法:毎年同じような収入と仮定して算出する方法です。計算が簡便的な分、精度は下がります

 ・配当還元法:配当の額から算出する方法です。M&Aの場面で使われるのは稀です。(配当を出す中小企業自体それほど多くない)


マーケットアプローチ

マーケットアプローチは、類似企業や類似取引などの相対的なデータに基づいて算出する方法です。客観性に着目しています。同じ業界の上場企業や、自社と規模の近い上場企業のデータを利用するケースが多いです。

マーケットアプローチの具体的な方法として、以下の4つが挙げられます。

 ・市場株価法:上場企業の市場株価をもとに計算する方法です。株式市場のデータを用いるためもっとも客観的な方法ですが、非上場企業の株価算定には利用できません。上場企業の株価算定では、市場株価法を用いるのが一般的です

 ・類似会社比較法:業種や規模が似ている上場会社の財務内容を比較して算出する方法です。売上高や営業利益などの指標を用います

 ・類似取引比較法:類似したM&Aなどの取引事例を参考に算出する方法です。ただしM&Aの売買事例は非公開のものが多いため、類似取引比較法の活用は難しいといえます

 ・類似業種比準法:事業内容が類似している上場企業の株価を参考にして算出する方法です。株価のほかにもさまざまな要素を考慮して計算します


ネットアセットアプローチ

ネットアセットアプローチとは、会社の純資産に基づいて株価を算出する方法です。創業時から現在までの収益力といった、過去〜現在に着目しています。不動産業など保有する資産の大きさから時価を把握しやすい企業や、成長性は小さいものの潤沢な資産を有する老舗企業などに適した方法です。

ネットアセットアプローチの方法として、以下の2つが挙げられます。

 ・簿価純資産法:貸借対照表の純資産をそのまま用いて算出する方法です。会計処理が正しいという前提が必要となります。時価の反映ができないため、ケースによっては現状との大きな相違が起きる恐れがあります

 ・時価純資産法(修正簿価純資産法):貸借対照表の資産や負債を時価に基づいて修正し、そのうえで算出された純資産を用いる方法です。時価が反映されるため正確性が上がりますが、将来性を考慮しない点は簿価純資産法と共通しています


まとめ

M&Aや外部投資家からの資金調達など、非上場企業でも株価が必要な場面は複数存在します。株価算定にはいくつかの方法がありますが、それぞれ着目点や適した場面が異なるため、自社に合わせた方法選びをしましょう。

なお株価算定には高度な知識や複雑な計算が必要です。精度の高い計算をするためにも、株価算定は専門家に依頼するのが安心です。


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監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
慶応義塾大学商学部卒。監査法人トーマツにて会計監査、株式上場支援、企業の経営改善支援に従事。平成24年筧公認会計士事務所(現:税理法人グランサーズ)を開設。常に現場に入り、経営者とともに課題に取り組み、経営者と常に相談しながら経営者のニーズに応え、解決策を導き出すことをモットーにしている。スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。東京商工会議所専門家エキスパート、セミナー実績多数。経営者向け人気YouTubeチャンネル「社長の資産防衛チャンネル」にも出演中。
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