法人税で交際費を経費にする方法|交際費は損金不算入なのか?
オンラインアシスタント・秘書サービスなら「サポーティア(SUPPORT+iA)」
交際費は、法人が事業を行うなかで支払う機会の多い費用のひとつです。交際費は原則経費(損金)に計上できない(損金不算入)といわれることがありますが、条件を満たすことで、一定割合の交際費を経費に計上することが可能です。本記事では、法人税法において、交際費を経費にするためのポイントを解説します。
目次[非表示]
- 1.交際費とは
- 2.交際費に計上するために必要な書類
- 3.交際費の経費計上の上限
- 4.交際費に当たらない費用
- 4.1.従業員のための費用
- 4.2.一人あたり5,000円以下の飲食費
- 4.3.会議に関連する費用
- 4.4.寄付金
- 4.5.その他、交際費にあたらない費用例
- 5.交際費を経費に計上して節税しよう
交際費とは
交際費とは、法人税法において、得意先や仕入先、その他事業に関係のある相手に対して、接待、供応、慰安、贈答、その他これらに類することを行うために支出する費用を指します。交際費、接待費、機密費その他の費用を「交際費等」とまとめます。
交際費は、法人の場合、原則として全額が損金不算入とされます。つまり、法人の交際費は原則として経費(損金)に計上できません。しかし、平成 26 年3月 31 日に公布された所得税法等の一部を改正する法律により、平成 26 年4月1日以後に開始する事業年度から、交際費の一定割合が損金に計上できるようになりました。
法人税の対象となる課税所得は、「益金-損金」で算出されます。交際費をできるだけ損金に算入することで、課税所得が減り、節税対策にもなります。交際費の損金算入のルールを踏まえて、上手に節税を行いましょう。
交際費に計上するために必要な書類
交際費のうち、接待飲食費とは、交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用です。ただし、法人の役員や従業員、その家族に対する支出は除きます。接待飲食費は、帳簿書類に以下の項目を記載することで、飲食費であることを明らかにする必要があります。
- 飲食等のあった年月日
- 参加者の氏名・名称・関係性
- 飲食金額・店名
- その他、飲食費であることを明らかにするのに必要な事項
接待飲食の機会が多い法人ならば、接待飲食費をもらさず経費計上することによる節税効果は大きいはずです。飲食接待にあたる場では、忘れずに領収書をもらい、上記項目を記載できるようにしておきましょう。
交際費の経費計上の上限
交際費の経費計上の上限は、法人と個人事業主とで異なります。法人の場合はさらに、大企業と中小企業とで、交際費に経費計上できる額の基準が異なります。
法人の場合
大企業と中小企業とで異なる基準があります。中小企業とは、一部の例外を除き、事業年度終了の日における資本金の額、または出資金の額が1億円以下の法人を指します。
大企業の場合
大企業の場合、経費計上できる交際費等は、前述の接待飲食費の50%に相当する金額のみです。とはいえ、従業員の数も取引先も多い大企業は、接待飲食の金額が大きくなりやすいものです。その半分を経費計上できるのは、節税対策として効果的です。
中小企業の場合
中小企業の場合、交際費に関して、以下のいずれかを経費計上するか選ぶことができます。
- 接待飲食費の50%に相当する金額
- 定額控除限度額に達するまでの交際費
「定額控除限度額」は、800万円×[その事業年度の月数]÷12で算出される金額です。接待飲食費をあまり使わない法人の場合は、定額控除限度額に達するまでの交際費を経費計上したほうが、節税効果が大きくなります。
基本的には、接待飲食費の額が年1,660万円を基準として、年1,660万円を超える場合は(1)、年1,660万円以下の場合は(2)で経費計上するほう節税効果が高くなります。その事業年度の月数が12より少ない場合は、また基準が変わります。
個人事業主の場合
個人事業主の場合、交際費の経費計上に上限はありません。とはいえ、業務において関わりのある相手との交際にかかる費用という基本を押さえ、交際費の範囲から逸脱しないように注意しましょう。
交際費に当たらない費用
交際費に当たらない、交際費と間違われやすい費用として以下があります。交際費以外の費用として経費(損金)計上できることも多いので、節税の機会を逃さないようにしましょう。
従業員のための費用
交際費は、事業に関わりのある社外の相手に対しての費用です。従業員を労うために会社が負担する費用は、交際費から除かれます。たとえば、運動会や旅行、イベント、新年会や忘年会などの費用は、交際費に当たりません。
なお、従業員のために支出する費用は、それが全従業員に対するものであるなど、条件を満たせば福利厚生費として経費(損金)計上が可能です。
一人あたり5,000円以下の飲食費
接待飲食費のうち、一人あたり5,000円以下となる費用については、交際費に当たらず、会議費として経費計上が可能です。また、接待飲食費には、所定事項を記載した書類の保存が必要なので注意しましょう。
なお、5,000円の判定や交際費の額の計算は、その会社の経理処理(税抜処理か税込処理か)により算定した額となります。
会議に関連する費用
会議に関連して支払われる会場費、茶菓代や弁当代などの飲食費などは、交際費に当たらず、会議費として経費計上が可能です。会議は、取引先を交えた会議や商談だけでなく、社内の役員や従業員だけで行われる会議、打ち合わせも対象となります。
注意点として、飲食を伴う会議費の場合、明確な上限はないのですが、一回あたりの金額を常識的な範囲にとどめる必要があります。一般的には、昼食程度の費用とされ、3,000円~5,000円が目安です。常識的な範疇を超える場合は、接待交際費となります。また、会議室代についての上限はありません。
寄付金
事業に直接関係のない相手に対して金銭、物品などの贈与をした場合、それが寄付金であるか交際費等であるかは、個々の実態により判断されます。ただし、金銭による贈与は原則として寄付金となり、以下のようなものは交際費にあたりません。
- 社会事業団体、政治団体に対する拠金
- 神社の祭礼等の寄贈金
その他、交際費にあたらない費用例
上記以外で、交際費に間違えられやすい交際費にあたらない費用としては、以下があります。
- カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
- 新聞、雑誌等の出版物または放送番組を編集するために行われる座談会、その他記事の収集または放送のための取材に通常要する費用
交際費を経費に計上して節税しよう
法人の交際費は原則経費(損金)に計上できない(損金不算入)といわれますが、本記事で解説した通り、接待飲食費の50%は経費にできます。また、中小企業であれば、上限金額までは接待飲食費に限らず、交際費を経費にできます。
交際費を経費にすることで、法人税の課税対象となる所得を減らすことができ、節税対策にもなります。本記事も参考に、交際費をうまく活用しましょう。また、個人事業主の場合、制限なく交際費はすべて経費になります。
経費処理は会社の経営に影響する重要な業務であり、専門知識も必要なため、なかなか効率化できないという企業も少なくありません。そんなときに役立つのが、オンラインアシスタント・秘書サービス「SUPPORT+iA(サポーティア)」です。サポーティアは公認会計士が監修、運営しており、バックオフィス代行に特化した業務内容で、財務・経理業務も信頼できるサービス体制となっています。必要な作業量に合わせて、最低月6時間から必要な分だけ契約することができるのもポイントです。財務・経理・労務とトータルでサポートできるサポーティアをぜひ活用してください。
関連記事