経理スキルアップメディア


キャリアアップを目指す!
詳しくはこちら

LP投資とはどんなもの?GPとの違いやLP投資家の例・LP投資のメリットについて解説

近年は、事業会社の投資活動として、ベンチャー企業への投資をする動きが多くみられるようになりました。
ベンチャー企業への出資方法の一つに、LP投資という形態があります。
LP投資とはどんな特徴を持っているのでしょうか。
広く実施されるGP投資との違いや、LP投資家にはどんな人や団体が存在するのかなどについて解説をします。

目次

そもそもLP投資とは?

そもそもLP投資とは、どんな出資形態の事を指すのでしょうか。

LPとは、「Limited Partnership(リミテッド・パートナーシップ)」の略称です。

所定のベンチャー企業へ出資をする際に、対象企業へ直接資金を投入して出資するのではなく、出資資金を募ってベンチャー企業を支援することを主たる業務とするベンチャーキャピタル(VC)を通して出資する形態がLP投資です。

資金を投入して出資することには変わりありませんが、ベンチャー企業に対する業務上の執行は行いません。

また、出資先に対する責任は出資した金額の範囲内しかない「有限責任」であることに特徴があります。

GPとの関係

LP投資と似たような言葉として、GP投資があります。

GPとは「General Partner(ゼネラル・パートナー)の略称で、LP投資家などが出資するファンドに対して「無限責任」を持つ立場の投資家の事を指します。

無限責任というのは、出資先のファンドの経営が失敗に終わり、負債を多く抱えてしまった場合、その弁済を無限に背負わなければならないということです。

LP投資とGP投資には、出資先に対する責任が有限か無限かという点で大きく違いがあります。

 

また、GPは投資ファンドの管理運営者であり、LPはファンドに対して出資する投資家という立場になります。

LP投資家にはどんな人・団体がなる?

LP投資家には、どんな人や団体がなるのでしょうか。

以下に、LP投資家の代表的な例を5種類紹介します。

 

  • 機関投資家
  • 事業会社
  • コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)
  • 個人投資家
  • ベンチャーキャピタル(VC)

 

ベンチャー企業に出資することを主たる業務としている団体もあれば、別の事業を展開している個人・団体もあります。

機関投資家

LP投資家の例の1つ目は、機関投資家です。

機関投資家とは、顧客から預かった資金を株式や債券などで運用管理する大口投資家のことを指します。

生命保険会社や信託銀行・年金基金などが該当します。

機関投資家が扱う資金は、公的な資金という性質を持っているため、できるだけ損失の発生を抑える必要があります。

しかし、運用によって利益を出さないと資金を効率よく回すことができなくなります。

自らハイリスク・ハイリターンの投資ができないため、ポートフォリオの一部としてLP投資家としてVCへの出資をするケースが見られます。

事業会社

LP投資家の例の2つ目は、事業会社です。

事業会社は、出資を専門にする企業とは異なり、自身の主たる事業を別に持つ一般的な企業です。

出資先のベンチャー企業が獲得する利潤を目的とすることもあれば、出資先のベンチャー企業が取り扱う新事業の技術開発に携わることによる自社事業へのシナジー効果を目的とすることもあります。

事業会社が出資をすることには、資金提供による投資効果に加え、お互いの企業の事業とにとってメリットがあるケースが多く、主に新技術を取り入れたいと考える大企業がLP投資家になるケースも増えてきています。

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)

LP投資家の例の3つ目は、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)です。

事業会社と同様に、自社の事業と関連の深い新技術を開発しようとしているベンチャー企業に特化して出資する形態のことです。

出資目的は、資金提供による投資成果ではなく、あくまで自社の事業と関連の深い新技術を世に出すことによるシナジー効果を狙うことです。

個人投資家

LP投資家の例の4つ目は、個人投資家です。

個人で投資を行っている専門家の中には、潤沢に資金を持っている者も存在します。

個人投資家がLP投資を行う目的は人それぞれですが、将来大きな利益を生みそうな事業を展開するベンチャー企業に投資して利益配分を狙うことが多いです。

資産を持つ個人投資家にとっては、投資先のリスク分散の一つとしてLP投資を活用するケースも見られます。

ベンチャーキャピタル(VC)

LP投資家の例の5つ目は、ベンチャーキャピタル(VC)です。

VCは、本来は直接的にベンチャー企業に出資をして経営に参画するケースが多いです。

しかし中には投資先の選択肢の1つとしてLP投資を活用する事例も見られます。

潤沢な投資用資金を持つVCにとっては、リスクヘッジの意味でも様々なジャンルに分散投資をすることもあります。

LP投資家がVCを選定する際のポイント

LP投資家がVCを選定する際にチェックするべきポイントとは、どんなところにあるのでしょうか。

LP投資家にとっては、自身の資金を投入する先としてふさわしいかどうか、しっかりと考慮して判断する必要があります。

利潤の獲得を最優先にしていないLP投資であったとしても、損失は避けたいので、投資先の選定は重要なポイントです。

過去の運用実績

LP投資家がVCを選定する場合に最も重視してるのが、VCの過去の運用実績です。

VC側も多くのLP投資家から資金を獲得するために、自社で扱ってきた過去の案件における運用実績を公表し、出資者を募ります。

LP投資家にしても、自身の資金をVCにほぼ委託する形で運用を任せることになるため、過去運用実績で一定の結果を残しているかをチェックするのは当然と言えます。

LP投資のメリットとは

LP投資を行うことには、どんなメリットがあるのでしょうか。

LP投資ならではのメリットについて、以下に3つの例を紹介します。

  • 企業活動における情報収集ができる
  • 企業間ネットワークを増やせる
  • リスクを分散した投資
企業活動における情報収集ができる

LP投資をするメリットの1つ目は、企業活動における情報収集を効率良く行えることが挙げられます。

LP投資先のVCは、過去に様々な分野のベンチャー企業に出資をしてきています。

VCはベンチャー企業の発掘や、出資を成功させるための豊富な協業先のネットワークを持っていることが多いです。

このため、LP投資家がVCに出資をすることで、VCが持つ情報やネットワークを少なからず共有できるようになる可能性が高いです。

事業会社が自社で企業調査やソーシングを行うよりも、VCを通じて情報収集をした方が効率が良いという面があります。

企業間ネットワークを増やせる

LP投資をするメリットの2つ目は、企業間のネットワークを増やせることです。

VCのなかには、コミュニティ形成を目的としたイベントを積極的に主催しているところもあります。

そのようなイベントに参加することで、様々な企業とのネットワークを増やせる可能性があります。

リスクを分散した投資

LP投資をするメリットの3つ目は、リスクを分散した投資ができることです。

直接ベンチャー企業に投資をするのではなくVCを間に入れることで、もしもの時のリスクを軽減できます。

また、VCを通すことで少額ずつを複数のベンチャー企業に出資する事も可能であるため、投資先を分散してリスクを軽減できます。

まとめ

LP投資は、ベンチャー企業への直接投資のリスクを軽減しつつ、情報収集やネットワーク形成を行えるといったメリットのある投資手法です。
たくさんある資産運用の方法の中で、LP投資を選択するメリットは十分にあります。他の資産運用方法の特徴とも比較して、LP投資が有利であると判断する場合は、VCの選定を慎重に行った上でLP投資を検討すると良いでしょう。

この記事の監修者

筧 智家至

グランサーズ株式会社 代表取締役CEO
公認会計士・税理士

1980年愛知県生まれ。慶應義塾大学商学部卒。
2004年に監査法人トーマツ(現:有限責任監査法人トーマツ)に入社。 2012年に税理士法人グランサーズの前身となる筧公認会計士・税理士事務所を設立。 2013年にグランサーズ株式会社の前身となるMeguro Growth Consulting Partners株式会社を設立。
スタートアップからIPO(上場)準備会社まで、あらゆる成長企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティング、経理を中心としたバックオフィス支援サービスにより中小企業経営者の信頼と定評を得ている。
また、経理未経験者を積極的に採用し、学習と実務を同時に提供できる環境づくりに注力。経理未経験者を育て上げ、東証プライム(東証一部上場)企業へ転職させた実績多数。これまでに延べ100名以上の経理人材を育てている。

スタディジョブ 運営部

2021年生まれ。 BPOや業務効率化など企業成長のためになることがすき。 特にスタートアップやベンチャーなど新しいことに挑戦している人たちを応援するのが生きがい。 知りたい情報のリクエストも受け付けてます!

SEARCH

適正診断

WEBで簡単に経理に関する知識をチェック!

WEB適正診断
未経験者
>受けてみる
WEB適正診断
ビギナー
>受けてみる
WEB適正診断
エキスパート
>受けてみる