RPA~人間とロボットが共に生きる時代~
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「働き方改革」に注目が集まっています。残業規制の法改正が行われ、ワークライフバランスを重視する働き方への取り組んでいる企業は多いのではないでしょうか。
一方で、日本企業の多くは「定期的に頻発する業務」「時間のかかる膨大なデータ処理業務」を抱えています。そんな企業にとって「労働の効率化」は緊急の課題と言えます。
どのように効率化を進めたら良いのか、限界を感じる状況があるかもしれません。
そんな状況を打開する救世主となり得るのがRPA(Robotic Process Automation)です。
企業の飛躍的な生産性向上を実現する可能性を秘めたRPAについて、基本的なことから、どのように導入するのか、そして導入することによって「人の働き方」はどのように変わっていくのか解説していきます。
目次[非表示]
- 1.RPAとは?
- 2.RPAによって人間の仕事が奪われる?
- 3.RPAとAIの違い
- 4.経営にすぐ聞く即効性
- 5.RPA先進企業の紹介
- 6.まとめ
RPAとは?
RPAとは「Robotic Process Automatio」(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で「ロボットを使って業務を自動化する」ことを意味しています。
ホワイトカラーの仕事の生産性を革新的に高める技術であり、それらの技術を利用した業務的改革手法のことでもあります。
RPAの基本的な考え方は、人がパソコンを使って行っていた事務処理をソフトウェアロボット(以下、ロボットと呼称)が代わって行うことです。パソコン上で人間が行っている様々な操作をロボットが記憶し、人間に代わって自動で実行するのです。
ロボットが自分の部下であるかのように、ロボットに仕事を教え、実行させることができるという風にイメージするとわかりやすいかもしれません。
このように、RPAは人間を補完して業務を遂行できることから「デジタルレイバー(Degital Labor):仮想知的労働者」とも呼ばれています。
デジタルレイバーは24時間働き続けることができる疲れ知らずの労働者です。
ソフトウェアですから、残業という概念はなく人間が指定したとおりの地道な作業を、体力を消耗することも、愚痴をこぼすこともなく淡々とコツコツとこなしてくれます。
RPAによって人間の仕事が奪われる?
RPAの導入に対して「仕事がなくなる」「若手が下積みする経験が奪われる、若手が育たない」といった不安を口にする人もいます。
デジタルレイバーの登場によって、人間の仕事はなくなるのでしょうか?
ロボットは「ある一定のルールが確率されている定型的な業務」や「大量のデータを扱うために長時間かかる業務」において、正確性や処理速度を発揮することができる分野に適しています。
一方で、現段階ではロボットには人間と同じような判断や意思決定はできません。それができるようになるにはまだ時間がかかります。
要するに、ロボットは人が行っている業務のすべてを覚え実行できるわけではありません。現段階のロボットはあくまで人間の指示に従って作業を正確に実施できるアシスタントに過ぎないのです。
ですから仕事が奪われるのではなく、人とロボットが共生していく時代を迎えていると考えてください。
デジタルレイバーと一緒になって仕事をこなすのが当たり前の時代がこれからやってくるのです。
では人間の働き方はどのように変わっていくのでしょうか?
産業用ロボットが登場したときのことを例に考えてみましょう。産業用ロボットによって工場でのブルーカラーの手作業は減ったけれども、人間はこれらの仕組みを管理する事務(生産管理、サプライチューン管理など)に軸足を移していきました。
これと同様に、RPAの登場によってホワイトカラーは、自動化できる業務はデジタルレイバーに任せ、自らはより高度な業務にシフトしていくと考えることができます。
業務をデジタルレイバーに委ねた余力時間で、新たな事業のアイデアを考えたり、イノベーションを興すために自社・あるいは他社とのこコミュニケーションをとるなど、人間にしかできない高度な業務に取り組む時間が創出されるのです。
このように、デジタルレイバーの登場によってホワイトカラーは「働き方の一大転換期」を迎えています。
人間とロボットの分業、共生の中で、人間がきめ細かな顧客対応や、次の戦略を生み出す仕事へと時間を使い、人材の成長スピードを加速させ、創造的な業務に早期に取り組むようになれば、個人の能力が高まり、組織全体の成長にもつながっていくのです。
RPAとAIの違い
業務効率化のツールとしてRPAと混同しやすいのがAIです。
いずれも、人間では手に負えないような膨大なデータを圧倒的な正確性とスピードで処理してくれる点では似通っています。しかし業務効率化における「得意分野」がそれぞれ違います。効果的に導入するために、違いをきちんと理解しておきましょう。
AIとは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」の略で、「人工知能」とも呼ばれます。その名の通り人間の頭脳のように判断することが得意です。
もう少し詳しくみていきましょう。
AIは人間がルールを教えなくても、大量のデータを学習・解析してそこに潜んでいるルールを推論により自ら発見し定義することで作業を自動化していきます。
人間が定義できないレベルのことを、AI側が定義できることが強みなのです。
ただAIは100点満点の成果を上げるようになるまでには時間がかかり、その分費用もかかります。
AIは自ら学習していくほどに進化していきますが、100点満点に達するまでが非常に難しく、その為間違いがないかどうかを人間が確認しなければならないという難点があるのです。
しかもAIが出した答えが、なぜそういう答えになったかというロジックは見えにくいです。
例えば将棋や囲碁の世界にAIが取り入れられて、人間に勝つAIが出てきましたが、なぜその答えを出したかということに関してAIは説明してくれません。また、プログラミングした本人さえも勝った理由を説明できないと言われています。
それに対してRPAの得意分野は「単純作業」です。「定期的に発生する業務」も得意です。
人間が決めたルールどおりに動作するので、そのルールの範囲においては100%正しい結果を出してくれます。
ホワイトカラーの仕事においては、いわゆる単純作業、小粒業務が大量にあります。そういった課題の解決において企業が求めるのは、自分たちが決めたルールの中で100%間違わずに、人間よりも早く処理をしてくれる仕組みです。これはまさにRPAの得意分野です。
ですから投資対効果(ROI)を考えた場合に、RPAの方がAIよりも有効な場合が多いかもしれません。
また今後は、ロボット自身がAIと連携すること、つまりRPAとAIを組み合わせることで、より高度なRPAが実現していくと考えられています。
RPAは定型的な業務にとどまらず、更に一歩踏み込んで「非構造化データ」を処理したり「人による判断の一部を支援」したりする能力を身につけつつあります。
経営にすぐ聞く即効性
RPAの特徴のひとつに、その導入スピードが挙げられます。
従来型のシステム導入では①要件定義②設計③開発④導入まで、早くても半年以上は時間を要するのが一般的です。
しかし、ロボットの導入期間(業務ヒアリング~導入完了までの期間)は、4週間以内であることがおよそ半数に及びます。
1か月以内に導入できるということは従来型と比べると考えられないスピード感です。
ここまで短期間で導入できる理由は、人間が普段行っている作業を自動でロボットに記憶させ、若干の微調整とテストを経てすぐに稼働させられるツールが登場したからです。
RPAが注目されるようになった2017年頃の当初は、銀行や保険会社など特定業種による取り組みが目立っていましたが、今や金融におけるRPAの新規導入はほぼ一巡し、メーカー、サービス業、金融という導入トップ3業種以外にもほぼすべての産業にRPAは行きわたり始め、国内企業に広く深く浸透しています。
RPA先進企業の紹介
最後に、RPA先進企業における導入事例をご紹介します。
NECグループの人事・総務・経営管理・調達などのスタッフ業務を一手に引き受けるNECマネジメントパートナーは、NECグループの業務改革の先頭に立ってRPA導入を牽引してきました。
開発したロボットの数は100体にのぼります。
業務の自動化対象洗い出しから100件をリストアップし、様々なロボを開発しました。
売上時に発生する申請内容が適正かどうかをチェックする「チェックロボ」
基幹システムやプロジェクト管理システムから複数のデータを抽出して1個のファイルに集計・加工する「データ集計ロボ」
派遣契約の更新予定データをロボットが抽出して各拠点にメールを送り、契約更新を人に確認させる「対話型ロボ」
などがあります。
直近では新たに350体のソフトウェアロボットを稼働させ時間換算で年間37万時間以上に相当する業務効率化を図っています。
またRPAの導入を通して社内に蓄積したノウハウやスキルを武器に、デジタルテクノロジーを効果的に生かす変革のプロフェッショナルサービスはグループ外にも展開していく構えです。
まとめ
「働き方改革」において、労働の効率化が求められる分野でRPAの役割が注目されています。
先進企業ではRPAを導入することによって業務の効率化を進め、現在進行形で働き方改革に取り組んで成果を上げています。
RPAの導入はまだ始まったばかりで、導入する企業は今後間違いなく増えていきます。先進各社の取り組みで明らかになっているように、今後はデジタルレイバーと共に働くことが当たり前の時代になっていきます。
技術の進化によってこれからRPAはさらに進化していきます。デジタルレイバーの恩恵を受けて人間の業務はより高度化し、人間も進化をしていくに違いありません。これこそが、RPAの真価と言えるでしょう。
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参考文献
RPAの威力(日経BPマーケティング、安部慶喜・金弘潤一郎)
小さな会社が自社をRPA化したら、生産性がグーンとアップしました(幻冬舎、小林卓矢)
RPAの真髄 先進企業に学ぶ成功の条件(アビームコンサルティング、安部慶喜・金弘純一郎)