法人成り(法人化)のメリット・デメリット、個人事業主とどちらがよいのか?
オンラインアシスタント・秘書サービスなら「サポーティア(SUPPORT+iA)」
個人事業主で売上が増えてくると、法人成り(法人化)を考える方もいるでしょう。法人成りするのはメリットだけではなく、デメリットもあります。両方を比べて、ご自身のケースに合わせて法人成りするかどうか、また法人成りするなら、どのようなタイミングが良いのかを決める必要があります。
この記事では、個人事業主と法人の違い、法人成りした方がいいケース、個人事業主のままでいいケースなどを紹介します。
目次[非表示]
- 1.法人と個人事業主の違い
- 2.法人成りメリット
- 2.1.社会的信用が上がる
- 2.2.経費で認められる幅が広い
- 2.3.税制上の優遇
- 2.4.繰越欠損金の控除が利用できる
- 3.法人成りするデメリット
- 4.法人成りした方がいいケース
- 4.1.起業
- 4.2.副業
- 4.3.事業承継の見込みがある人
- 5.法人成りのタイミング
- 5.1.法人化する売上の目安
- 5.2.法人化と消費税の免除
- 6.個人事業主のままで良いケース
- 7.法人成りしたら会計・事務は「SUPPORT+iA(サポーティア)」に
法人と個人事業主の違い
まず、法人と個人事業主の違いについて見ていきます。
個人事業主とは
個人事業主とは、会社を設立せずに個人で事業を営む人のことをいいます。個人事業主になったら、原則開業届の提出が必要ですが、提出しなかったことによる罰則などはありません。
法人とは
法人とは、法律上で認められた人間以外の法人格です。会社を設立して登記をすることで法人として認められます。
法人の種類
法人にはさまざまな種類がありますが、大きく分けると営利法人と非営利法人に分けられます。
【営利法人の種類】
- 株式会社
- 合同会社
- 合名会社
- 合資会社
など
【非営利法人の種類】
- NPO法人
- 一般社団法人
- 社会福祉法人
など
最も一般的な形態は株式会社です。株式会社は株主と経営者が異なります。株式会社の所有者は株主なので、株主総会を開き株主の意見を経営に反映させる必要があります。ただし、中小企業は大株主=経営者というケースも多くあります。
株式会社として法人成りするためには、資本金を用意して法務局の登記が必要です。以前は株式会社の資本金は1,000万円以上必要でしたが、現在は資本金1円でも会社を設立できます。
また、最近は出資者=経営者の合同会社を選ぶ企業も増えています。株式会社のように株主の意見を聞く必要がないので、意思決定がスムーズなのが特徴です。GoogleやAmazonなどの世界的な大企業の日本法人も合同会社です。ほかには合名会社、合資会社などもあります。
法人の種類は、目的や責任の範囲によって最適なものを選ぶ必要があります。本記事では、株式会社として法人成りすることを前提に、メリットやデメリットを紹介したいと思います。
法人成りメリット
まずは個人事業主が法人成りするメリットを紹介します。
社会的信用が上がる
個人事業主に比べると、法人の方が社会的信用力は高くなります。例えば登記をすると代表取締役の氏名、住所、生年月日、資本金などすべて登記簿謄本で確認することができます。会社情報が明確であれば、それだけでも取引先や株主からしたら安心要素に繋がるのです。
また、事業への信頼度も高くなるため法人の方が金融機関から融資を受けやすくなります。事業を拡大させたいなら融資を受けやすい環境にしておいた方がいいでしょう。
経費で認められる幅が広い
法人は、経費として認められる幅が個人事業主より広いのもメリットです。例えば個人事業主には認められていない役員報酬や、従業員の賞与や退職金を法人なら費用に当てることもできます。ほかにも、社宅の賃料、生命保険、出張の日当といったように、法人は経費計上による節税の選択肢が広がります。
税制上の優遇
個人事業主に課せられる所得税は累進課税となっており、事業による所得が増えるほど税負担が高くなります。一方、法人にかかる法人税は一律です。そのため、事業所得が増える場合は法人化することで税金を抑えられるメリットがあります。
繰越欠損金の控除が利用できる
法人が青色申告で確定申告を行う場合、決算が赤字になったら欠損金の繰越が可能です。個人事業主も青色申告をしている場合に3年間の繰越が可能ですが、法人の場合は最大10年間に渡り繰越欠損金の控除を活用できます。
繰越欠損金の控除は、資本金1億円維以下の中小企業は100%活用できます。通常、資本金1億円〜10億円以下の企業の場合、上限は50%ですが、令和2年4月1日から令和3年4月1までの事業年度に関しては、新型コロナウイルス感染症の影響で繰越欠損金の控除は100%活用可能となっています。
法人成りするデメリット
こ法人成りするのはメリットばかりではありません。デメリットについても確認しましょう。
設立費用
法人成りすると、法人の設立費用がかかります。まず、法人には定款が必要です。この定款を作成するのに約10万円かかります。また、登記をするのにも株式会社は25万円程、合同会社の場合でも10万円ほど必要です。
さらに、資本金の準備もしなくてはいけません。株式会社は、資本金1円からでも設立できますが、資本金の金額は会社の信用力にも影響します。資本金が少なすぎると金融機関から融資を断られる原因にもなります。一般的には300万円ほど用意できるといいといわれています。
会計・事務処理
法人成りすると、個人事業主より会計や事務処理が複雑化するのはデメリットといえます。多くの会社では、税理士に依頼することになりますが、税理士への依頼費用なども発生します。また、株主総会の実施や議事録の作成なども必要です。
法人住民税
法人成りすると法人住民税が発生します。法人住民税は、決算が赤字でも会社規模や従業員の人数に合わせての支払いが必要です。
社会保険の加入
法人成りすると、従業員の人数関係なく社会保険に加入する必要があります。社会保険には健康保険・厚生年金などがありますが、社会保険料の半分は法人が負担する必要があり、手続きの手間もかかります。
法人成りした方がいいケース
では、具体的に法人成りしたほういいケースについて説明します。
起業
個人事業主として起業している方で、売上が増えて節税したい場合、また事業拡大にともない資金集めや人材確保したいなど、社会的な信用力が必要となる場合は法人成りした方がいいと言えます。また利益の大きさによっては、法人の方が税額を抑えられる場合があります。
副業
本業が会社員の方も、副業の売上が増えてきた場合には法人化すると節税しやすくなるメリットがあります。会社員の給与と副業の収入を合わせた金額に所得税がかかるので、副業の収入が少なくても法人化した方がいいケースもあります。
事業承継の見込みがある人
個人事業主としての事業を親から継承するタイミングで法人化するのも一つです。特に、事業を拡大させたいという想いがあれば、社会的信用力や金融機関・取引先からの見え方も考えて法人化はメリットがあるといえます。
法人成りのタイミング
法人成りはどんなタイミングでするのが良いのかを説明します。
法人化する売上の目安
一般的に、個人事業主で売上が1,000万円程度を超えるあたりから、法人化による節税のメリットが大きくなります。ただし、個人事業主は【売上−経費=所得】に対して所得税がかかるので、経費の割合が大きく所得が少ない場合はそこまでメリットはありません。
法人化と消費税の免除
法人化すると2年間消費税が免税となります。個人事業主の場合、年間課税売上1,000万円以上になるとその2年後から消費税がかかります。しかし、法人成りすれば2年間は免税されるので売上が1,000万円を超えたタイミングで法人化すると最大4年間消費税の支払いを免除されます。
個人事業主のままで良いケース
副業禁止の会社員は個人事業主のままにしておくことで、副業が会社側に知られることはありません。法人にすると登記が必要ですが、登記簿謄本を取得すれば誰でも情報を見ることができます。会社に「絶対知られたくない」という場合、法人化はしない方がいいでしょう。
収益が低いうちも法人化する方が損してしまいます。損益分岐点を見たうえで、法人化すべきかを決めましょう。
また、そもそも事業を大きくするつもりがない場合も個人事業主のままでよいでしょう。法人は事業の継続・拡大がミッションになります。自分のペースで事業をしたい場合は個人事業主の方が向いているといえるでしょう。
法人成りしたら会計・事務は「SUPPORT+iA(サポーティア)」に
法人成りのメリットは多いですが、経理・会計や事務が個人事業主の時とは異なり、ご自身でできるか不安に感じるのではないでしょうか。そんな時にはバックオフィス全般をサポートするオンラインアシスタント・秘書サービスの『SUPPORT+iA(サポーティア)』におまかせください。経験豊富なスタッフが対応しますので、まずはお気軽にご相談をお待ちしております。