所得税の計算で重要な給与所得控除を徹底解説!
オンラインアシスタント・秘書サービスなら「サポーティア(SUPPORT+iA)」
本記事では、所得税における控除の一つである給与所得控除に焦点を当て解説します。給与所得控除は、給料により収入を得ている方の税負担を軽減するための制度です。本記事では、給与所得控除の基本、計算方法について詳しく解説し、その理解を深めていきます。
目次[非表示]
- 1.所得税と給与所得控除
- 2.給与所得控除とは
- 3.給与所得控除額の計算方法
- 3.1.【令和2年分以降の速算表】
- 4.特定支出控除
- 4.1.【特定支出】
- 5.まとめ
所得税と給与所得控除
まず所得税は、個人の所得に対して課される税金です。
サラリーマンや公務員などが受け取る給料や賞与などを指す給与所得があります。この給与所得に対して計算される税金が所得税です。所得税の計算では、まず「総所得金額」からさまざまな控除を差し引いて「課税所得」を算出します。この課税所得に基づいて、税額が計算されます。
給与所得控除は、給与所得者が所得税を計算する際に用いる重要な控除の一つです。この控除は、職業による必要経費や職務遂行に必要な支出を一定額で認めるもので、給与所得から自動的に差し引かれます。また、控除額は給与の額によって異なります。
また、給与所得控除以外にも、基礎控除、社会保険料控除、生命保険料控除、配偶者控除など、さまざまな控除が存在します。これらの控除を適用することで、実際に支払う所得税額は大幅に減少することがあります。
所得税の税率は、課税所得に応じて累進的に増加します。税率は5%から45%までの範囲で、課税所得が増えるにつれて高い税率が適用される仕組みです。(なお、実際には上記に住民税が10%前後追加で徴収される形となります。)
このように、所得税制は複雑な構造を持っており、個々の給与所得者がどのような控除を適用できるかによって、実際に支払う税額は大きく異なります。また、年末調整や確定申告を通じて、適切な税額を計算し納税する必要があります。給与所得者は、自己の所得状況を理解し、適切な控除を適用することで、公平な税金を納めることが可能となります。
給与所得控除とは
給与所得控除は、給与所得者が仕事に関連する支出を考慮した上で、適正な税金を納めることを可能にする制度です。この控除を適切に適用することで、給与所得者は公平な税負担を果たすことができ、課税の公平性が保たれます。
給与所得控除は、基本的に給与所得を得ているすべての人に当てはまります。給与所得とは、雇用関係にある者が仕事に対して受け取る報酬、すなわち給料、賞与、その他の手当などを指します。公務員、会社員、パートタイマーやアルバイト給料により収入を得ている方も含まれます。自営業者やフリーランスなどの個人事業主は、給与所得者には含まれません。
給与所得控除の額は、年間の総給与額に応じて自動的に決定されます。この控除は、実際に職務を遂行するために必要な経費を一律で差し引くもので、個々の実際の支出額には基づきません。控除額は年間の給与額が増加するにつれて増えますが、上限が設定されています。
給与所得控除の計算は、年末調整や確定申告の過程で自動的に行われます。給与所得者は、給与支払い報告書(源泉徴収票)を基に、年末調整や確定申告を行う際にこの控除を適用します。控除後の金額がその人の課税所得となり、所得税や住民税の計算の基礎となります。
給与所得控除の適用を受けるためには、特に申請や届け出を行う必要はありません。給与所得者であれば、給与支払い報告書に基づいて自動的に控除が適用されます。ただし、給与所得以外の所得がある場合や、控除額の計算に誤りがある場合は、確定申告を通じて正しい税額を計算する必要があります。
給与所得控除は、給与所得者が仕事に関連して実際に負担した経費や支出を一定の範囲で考慮したものです。このため、この控除を通じて、個々の給与所得者の税負担が適正化されます。給与所得者は、自己の所得状況を正確に理解し、適切な控除を適用することで、公平な税金を納めることができます。
給与所得控除額の計算方法
給与所得控除は、給与所得者が実際に受け取る給与額から一定の金額を差し引くことで、税負担を軽減します。控除額は、給与の総額に応じて計算されます。
給与所得控除額の基本計算式は以下の通りです。
- 年間の給与総額を計算します。
- 給与総額に基づいて、所定の控除額を適用します。
【令和2年分以降の速算表】
給与等の収入金額 |
給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円まで |
550,000円 |
1,625,001円から 1,800,000円まで |
収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円から 3,600,000円まで |
収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円から 6,600,000円まで |
収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円から 8,500,000円まで |
収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 |
1,950,000円(上限) |
No.1410 給与所得控除|国税庁 (nta.go.jp)
例えば、Aさんが年間で500万円の給与を得たとします。年収500万円の場合、給与所得控除額は500万円×20%+44万円=144万円となります。この控除額は、Aさんが仕事をする上でかかる一般的な経費を考慮した金額です。
給与所得控除を適用すると、Aさんの課税所得は、年収500万円から控除額の144万円を差し引いた356万円となります。この課税所得に基づいて、所得税と住民税が計算されます。
このように、給与所得控除額は年収が高くなるにつれて増加しますが、課税所得も同時に増えるため、実際の税率は所得水準に応じて適切に調整されます。
また、給与所得控除額の計算には、年齢や家族構成、障害の有無などの個人的な要因も考慮される場合があります。
給与所得控除は、年々税制の改正により変化することがあります。そのため、最新の税制情報を確認し、自身の状況に適した控除額を理解することが重要です。具体的な控除額の計算は、国税庁のウェブサイトや専門の税理士に相談することで正確な情報を得ることができます。
特定支出控除
給与所得者が適用となる特例の控除として、特定支出控除があります。
特定支出控除は、給与所得者のその年中の特定支出の額の合計額が給与所得控除額の2分の1を超える場合に、確定申告等により、その超える部分の金額を給与所得控除後の給与等の金額から控除できる制度です。以下は、その特定支出です。
【特定支出】
-
通勤費
一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出。
-
職務上の旅費
勤務する場所を離れて職務を遂行するための直接必要な旅行のために通常必要な支出。
-
転居費(転任に伴うもの)
転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出。
-
研修費
職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出。
-
資格取得費(人の資格を取得するための費用)
職務に直接必要な資格を取得するための支出。
-
帰宅旅費(単身赴任に伴うもの)
単身赴任などの場合で、その者の勤務地または居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出。
-
勤務必要経費(図書費・衣服費・交際費等)のうち一定の要件を満たすもの
次に掲げる支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの。- 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
- 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
- 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出(交際費等)
※勤務費用経費の上限は65万円。
この特定支出控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
その際、特定支出に関する明細書および、給与の支払者またはキャリアコンサルタントの証明書を申告書に添付するとともに、搭乗・乗車・乗船に関する証明書や支出した金額を証する書類を申告書に添付または申告書を提出する際に提示することが必要となります。
給与所得者と税|国税庁 (nta.go.jp)
No.1415 給与所得者の特定支出控除|国税庁 (nta.go.jp)
まとめ
本記事では、給与所得控除の基本、および計算方法について詳しく解説しました。給与所得控除は、納税者が公平かつ適切な税負担を担うために重要な制度です。この理解を深めることにより、給与所得者は自身の税務を効果的に管理し、税負担を軽減することができます。