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部下から上司でも「パワハラ」!?~見えない「力の不均衡」~

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突然ですが、皆さんは「パワハラ」と聞いてどんなことを思い浮かべますか?

出された企画案を破り捨てるチームリーダー、「お前なんかやめちまえ!」「本当にダメな奴だな」などと大声で怒鳴り散らす部長、忘年会への参加を強制する社長…これ以外にも色々なシーンが浮かぶと思います。しかし共通点として、「上司が部下にやるもの」イメージがありませんか?「パワハラはパワーがある上司がやるもの」…そう理解している人が多いかと思います。ところが実際には、「部下が上司にパワハラする」というケースもあり、しかもそのケースはこれからも増えていくと考えられます。

今回は、部下から上司へのパワハラについて、そのケースと対応策についてお伝えします。

目次[非表示]

  1. 1.そもそも「パワハラ」とは何か
  2. 2.どこでも起こる逆パワハラ
  3. 3.特殊な状況の逆パワハラ
  4. 4.逆パワハラへの対応策
  5. 5.まとめ

そもそも「パワハラ」とは何か

パワハラとは、「パワーハラスメント」の略語です。厚生労働省は職場におけるパワハラの定義として、以下の三点を上げ、これら全てを満たしたものをパワハラとしました。

①業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
②労働者の就業環境が害されるもの
③職場において行われる、優越的な関係を背景とした言動

ここでいう「職場」には、実質上業務の延長と考えられるものであれば、接待の場や移動中なども含まれます。ただし、客観的にみて業務上必要且つ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

 ③で言及されている「優越的な関係」の代表的な例が、上司と部下の関係です。これは社内での地位や発言力などの「力の不均衡」から作られた、上司が上の「優越的な関係」です。ただしこれは、パワハラに関する力関係が地位とイコールであるとしているのでありません。ここでの「力」には、能力や人数など地位と関係ないものも含まれます。そのため、逆パワハラ」とも呼ばれる部下から上司へのパワハラもあり得るのです。


どこでも起こる逆パワハラ

それでは実際にどんな例があるのでしょうか?同じく厚生労働省は③について、以下のように述べています。

・同僚又は部下による言動で、当該言動を行う者が業務上必要な知識や豊富な経験を有しており、当該者の協力を得なければ業務の円滑な遂行を行うことが困難であるもの

・同僚又は部下からの集団による行為で、これに抵抗又は拒絶することが困難であるもの

上司といえども、一人で全ての仕事を行うことはできません。そのため、部下が上司の業務命令に執拗に反発し業務遂行を妨害した場合には、これは「逆パワハラ」に当たります。また、部下がいないと業務を進められない上司に対し、「不正を働いている」「パワハラを受けた」「パワハラを通報した仕返しをされている」などと誹謗中傷することも「逆パワハラです。



特殊な状況の逆パワハラ

上記のような一般的な上司と部下の関係以外でも、逆パワハラが発生することはあります。今回は「情報化」「経験の差」「集団」の三つにキーワードに沿って紹介します。

まずは「情報化」についてです。上司と部下の関係といえども、最近は部下の方がITスキルが高い場合も多くあります。知識量において、「力の不均衡」が生じているケースです。そのような時に、部下が上司の人格や性格を否定する、業務を与えないなどが起こると立派なパワハラとなります。IT機器を扱うスキルは今やほとんどの業務において必須となっており、近年のテレワークの普及により更にそれは加速しました。しかし、それが不足しているからといってハラスメントを行うことは許されません。このタイプのハラスメントは「テクハラ」(テクノロジーハラスメントの略)とも呼ばれます。

次に「経験の差」についてです。

近年「定年まで同じ会社で働く」スタイルや「一生正社員」などの価値観も変化し、転職したり多様な働き方を選んだりするケースが増えてきました。それに伴い、部下の方が年上であったり業務に熟練しているケースや、社員よりもアルバイトやパートの方が経験年数が長いといったケースも多くなりました。ここにも、「力の不均衡」が生じています。そのような時に「貴方の言うことなど聞く必要ありません」「社員のくせに仕事ができない」などの暴言を吐くことも、部下から上司へのパワハラとなります。

そして「集団」についてです。

そもそも皆さんは、「パワハラは一対一とは限らない」ことをご存知でしょうか。上司と部下という差があったとしても、一人の上司と大勢の部下という状態では前者が不利になります。つまり、人数に関する「力の不均衡です。このような状態での無視や悪口などが起こった場合、これも部下から上司へのパワハラとなります。

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逆パワハラへの対応策

逆パワハラもパワハラと同様に、個人・企業双方が対応することが求められます。

個人は、まず自身が逆パワハラを受けた際に声を挙げることが大切です。2020年6月1日に施行された通称「パワハラ防止法」で、企業に対しハラスメント相談窓口の設置が義務化されました(中小企業は2022年4月1日に義務化適用)。このような自社のリソースや、外部の相談先を積極的に活用してください。逆パワハラはまだあまり認知されておらず、声を挙げることが躊躇されるかもしません。しかしきちんと手を挙げる人が増えることで、他の人も手を挙げやすくなり、加害者側を抑制することにも繋がります。また、被害者となっていない人も、逆パワハラの知識を持ち周囲を見ることが大切です。発生しているところを見かけたら見て見ぬふりをせず、被害者に相談を促したり、被害者の許可を得て代わりに相談するなどの行動をしましょう。

企業は、逆パワハラに対する防止措置・懲戒措置などを整備し実行することなどが求められます社内研修で逆パワハラの存在を周知する社内アンケートに「逆パワハラ」に関する項目を設けることなどから始めると良いでしょう。いかなるハラスメントも許さない」というトップメッセージの提示も有効です。またテクハラ的な事例には、企業側が積極的に任意のスキル研修を行うことなどが有効です。これにによりハラスメントが減るだけでなく、会社全体の効率性を高めることにも繋がります。更に、虚偽のハラスメント被害を訴える事例には、日常的に会社が「我が社はハラスメントに対して徹底的に調査し向き合う」という姿勢を行動で示すことが有効です。これは逆パワハラだけでなく、他のあらゆるハラスメントの抑止に繋がり、会社に対する従業員の信頼感も高めることができます。



まとめ

いかがだったでしょうか?

逆パワハラはあまり注目されませんが、従業員の働きにくさに繋がる重大な問題です。一人一人がきちんと理解し、自身の職場が従業員全員にとってより過ごしやすいものになるよう努めましょう。


※参考資料 (参照2021年7月8日)

厚生労働省.”ハラスメントの定義”. あかるい職場応援団


グランサーズラボ|コラム部
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