電子契約とは?電子契約に関する基本事項を従来の契約方法との違いとともに解説。

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リモートワークの普及とともに、電子契約の注目度がますます高まっています。導入する企業も増えており、ニュースや新聞で見聞きする機会も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、そもそも電子契約とは何なのかという根本的なところから、普及の背景、従来の紙の契約との違い、主なメリット、といった基本的な知識をわかりやすく解説していきます。

目次[非表示]

  1. 1.電子契約とは
  2. 2.電子契約の普及
    1. 2.1.電子署名法
    2. 2.2.世界的なトレンド
    3. 2.3.DXの推進
    4. 2.4.テレワークの普及
  3. 3.電子契約と書面契約の違い
    1. 3.1.電子署名とタイムスタンプ
  4. 4.電子契約のメリット
    1. 4.1.契約業務の効率化
    2. 4.2.コスト削減
    3. 4.3.コンプライアンス強化
    4. 4.4.電子契約導入にあたって注意すべきこと
  5. 5.まとめ
  6. 6.電子契約でお悩みのときは、グランサーズにご相談ください!

電子契約とは

法律上「契約」というのは口頭でも成立するものですが、言った言わないの確認ができないと後でトラブルになる可能性があります。そのためビジネスにおいては、書面を交わして内容を確認できるようにする書面契約が一般的です。

電子契約とは、従来の書面契約に代わり、電子データに電子署名または電子サインを行うことで締結する契約のことをいいます。

ただ、現状法律で「電子契約」という概念が明確に定められているわけではありません。

関連する法整備が現在進行形で行われている場合には注意が必要です。



電子契約の普及

電子署名法

2000年、インターネットの発達に伴い電子取引の需要が高まっていました。一方で、当時は電子契約の法的な取扱いが明らかでなく、それが電子取引の普及の妨げになっていました。電子契約においても書面上の署名・押印に相当するものを付与し、同等の法的効力を与える必要があったのです。

そこで、 電子契約の法的取扱いを明確にするため、電子署名法が制定され、電子契約の有効性や証拠力等について法整備がされたのです。2005年にはe-文書法の制定や電子帳簿法の改正など、電子契約に関する法整備が進んでいきました。


世界的なトレンド

2014年にはEUで、電子文書や電子署名の有効性を加盟国が相互に認める「eIDAS規則」が制定されました。国際的にも電子契約の有効性が認められる土台が整備されていることから、電子契約の普及は世界的なトレンドであると言えます。


DXの推進

2018年には経済産業省が「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」をまとめ、ビジネスにおけるDXの積極的な活用を推進しています。電子契約はDX推進の取り組みのひとつとして大きな注目を集めました。


テレワークの普及

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークの普及が進む中、押印のためだけに出社する「ハンコ出社」が問題視されました。そこで、テレワーク環境でも契約書の締結ができる電子契約の導入を検討する企業が増えました。

同年6月には、総務省・法務省・経済産業省が「押印についてのQ&A」を公開し、契約書におけるハンコが不要であるという見解を示しています。これによって日本企業の根強い「書面、押印」信仰の見直しが後押しされ、テレワークと共に電子契約の普及が大きく進みました。

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電子契約と書面契約の違い

次に電子契約と書面契約の違いについて解説していきます。

大きな違いは次の表の通りです。


書面契約
電子契約
形式
紙(印紙が必要)
PDFファイル(印紙不要)
署名
記名押印・署名・日付記入
電子署名・タイムスタンプ
押印
印鑑または印影
不要(電子署名または電子サイン)
相互確認

原本の持参または

郵送による受け渡し

インターネット通信による

電子データの受け渡し

保管・形式

書棚など

原本の物理的保管

サーバーなど

電子データ保管

従来の書面契約では、紙に記名押印・署名そして日付記入によって契約の事実を証明し、書棚などで原本を物理的に保管します。

一方、電子契約ではPDFファイルなどの電子データにタイムスタンプと電子署名を付与して契約の事実を証明し、締結した契約書は印刷せずに電子データのままサーバーなどに保管します。


電子署名とタイムスタンプ

電子契約は媒体が電子データであるため編集ができてしまい、改ざんが容易という問題があります。

この問題を克服し、書面契約と同様の法的効果を維持するために用いられるのが「電子署名」と「タイムスタンプ」です。

電子データとして作成した契約書に付与する署名を「電子署名」と呼びます。印鑑やサインの役割を果たすものと考えるとわかりやすいと思います。

電子署名は認証局が発行する「電子証明書」と共に担当者本人の署名を付与することで「当人が契約書を作成し(本人証明)、かつ改ざんされていないことを証明する(非改ざん証明)」役割をもっています。

電子署名を付与した日時を記したものを「タイムスタンプ」と呼びます。

タイムスタンプには「タイムスタンプが押された時刻に、当該文書が存在していることを証明する(存在証明)」と「タイムスタンプが押された時刻以降に、当該文書が改ざんされていないことを証明する(非改ざん証明)」という2つの役割があります。

電子署名とタイムスタンプを合わせることで、当該電子データを「いつ」「誰が」作成したのか証明できるのです。

電子署名とタイムスタンプは、政府認定の認証局によって発行されるもので、企業独自に付与できるものではありません。このため、証明力が高いとして電子契約での使用が義務付けられています。


電子契約のメリット

次に電子契約のメリットについて解説します。

主なものは「契約業務の効率化」「コスト削減」「コンプライアンス強化」の3つです。


契約業務の効率化

書面契約だと、原本を印刷して製本し、押印して送付するというプロセスが必要です。さらにその後、相手も押印して返送する必要があるため、書類のやり取りだけで数日~数週間かかることも少なくありません。

一方電子契約であれば、印刷・製本・郵送といったプロセスを省略できるため、契約業務が大幅に効率化されます。クラウド上でデータやステータスを管理できるため、業務管理も容易になります。


コスト削減

電子契約は印紙税の課税対象外なので印紙代が削減できます。また、契約業務の効率化にともない、契約に関連したコストを削減することができます。契約書の送料や保管コストの削減はもちろん、作業効率化によって減らすことができる時間(=人件費)も重要なコスト削減です。

導入コストがかかるため、利用するサービスの選定などに注意が必要ですが、コスト削減効果は大きいといえます。


コンプライアンス強化

電子契約ではクラウド上で契約締結までのステータスを管理できるため、締結漏れや保管漏れ、解約・更新漏れといった契約業務におけるトラブルを予防することができます。

また、サーバーによる閲覧権限の制限やバックアップ多重化など、セキュリティを高めることで、紛失や劣化、改ざんのリスクを大幅に減らすことができ、リスクマネジメントにおいてもメリットがあります。

さらに検索性が高いため、税務調査、会計監査などに迅速かつ正確に対応できます。


電子契約導入にあたって注意すべきこと

書面契約と比べてさまざまなメリットがある電子契約ですが、導入にあたって注意すべき点があります。

まずは、契約相手側の理解が不可欠であることです。

契約には必ず相手先がいます。電子契約を導入する場合には、契約先にもその内容を理解してもらう必要があります。相手が電子契約を全く知らなかったり、活用したことのない場合には、十分な説明が必要になってきます。

また契約の中には、法律によって書面での契約や保存が義務づけられているものがあります。

現在書面での契約が義務づけられている契約には以下のものがあります

・定期借地契約
・定期建物賃貸借契約
・投資信託契約の約款
・特定商品取引法で書面交付義務が定められているもの

契約締結時にはあらかじめ法的な観点から確認をしておくことが重要です。

また、電子契約に関連する法整備は現在進行形で行われています。最新情報にも注意を払う必要があります。



まとめ

インターネットの普及、DX推進、テレワークの普及という世の中の流れに従い、電子契約の普及は急速に進み、重要性を増しています。従来の書面契約と比べて多くのメリットがある電子契約ですが、導入の際には相手への配慮や法的な観点でも注意が必要です。

以上、電子契約の基本について解説してきました。導入の参考になれば幸いです。


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監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
慶応義塾大学商学部卒。監査法人トーマツにて会計監査、株式上場支援、企業の経営改善支援に従事。平成24年筧公認会計士事務所(現:税理法人グランサーズ)を開設。常に現場に入り、経営者とともに課題に取り組み、経営者と常に相談しながら経営者のニーズに応え、解決策を導き出すことをモットーにしている。スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。東京商工会議所専門家エキスパート、セミナー実績多数。経営者向け人気YouTubeチャンネル「社長の資産防衛チャンネル」にも出演中。
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