中小企業の会計の基準とルール
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経理人材が少なく、会計ルールが合っているか不安なまま会計処理をしている中小企業も少なくないでしょう。しかし、中小企業の実態に則した会計をすることで、金融機関・株主・取引先の信頼関係ができたり、融資で金利が優遇されたりするメリットがあります。
今回の記事では、中小企業の実態に則した会計基準である「中小会計要領」と「中小会計指針」を紹介します。それぞれ特徴があるので、企業に合う基準の導入を検討してください。ぜひ最後まで読んで、中小企業の会計に関する知識を深めてください。
目次[非表示]
中小企業の会計基準(ルール)
まず、中小企業の会計基準にはどんなものがあるかについて説明します。
中小企業における会計に関する基準は2種類
中小企業の会計に関する基準は、中小会計要領と中小会計指針の2種類です。
中小会計要領は、経理人材が不足している中小企業が手間なく決算資料を作成するため2012年に作られた中小企業向けの会計ルールです。過度に決算書類を作成する必要がなく、現在では多くの中小企業に利用されています。
なお、安定的に継続利用可能なものとする観点から、国際会計基準(IFRS)の影響は受けない内容になっています。国際会計基準(IFRS)とは、国際的な会計基準で大企業が導入をしている会計基準です。日本の会計基準とは異なり、貸借対照表上での株式は取得時ではなく時価で評価するなどの点で差があります。
一方、中小会計指針は、2005年に日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所及び企業会計基準委員会の4団体により作られた中小企業が決算資料作成の際に参照する指針です。
中小会計指針は、中小会計要領とは異なり国際会計基準(IFRS)を基に作成されているので、毎年改定があります。中小企業としては運用のしにくさを感じるかもしれませんが、将来的に大企業を目指す会社は導入しておくことで後々会計方法を大きく切り替える必要なく便利でしょう。
中小会計要領の特徴
ここでは、中小会計要領の特徴について説明します。
目的と適用企業
中小企業は、上場企業のような会計基準に従う必要はありませんが、中小企業の会計ルールは存在しませんでした。そのため、中小企業に即した会計ルールである中小会計要領が導入されるようになりました。
具体的には、次のような中小企業の実態を考えて作られた会計ルールです。
- 経理人員が少なく、高度な会計処理に対応できる十分な能力や経理体制を持っていない
- 会計情報の開示を求められる範囲が、取引先、金融機関、同族株主、税務当局等に限定されている
- 主に法人税法で定める処理を意識した会計処理が行われている場合が多い
上場企業・上場企業以外の金商法開示企業・会社法大会社(資本金5億円、又は負債総額200億円以上)が中小会計要領を導入ができますが、強制されるものではありません。
また、株式会社だけではなく、合同会社・合資会社・合名会社・特例有限会社もこの要領を利用できます。
主な項目
中小会計要領は14項目あり、それぞれに計上方法が明記されています。
例えば、中小会計要領では資産は取得単価で計上し、時価評価の必要がありません。時価評価にすると決算書を作成するごとに時価を確認することになりますが、その負担を減らすことができます。実現主義、発生主義、取得原価主義を重視している点も中小会計要領の特徴といえるでしょう。
また、会計と税務の会計処理の差異を調整する税効果会計や組織再編の会計等についての規定がない点は、中小会計要領より厳密な会計基準である中小会計指針とは異なります。
なお、中小会計要領は、中小企業庁のホームページで確認できますので具体的な内容を知りたい方はこちらをご参照ください。
参照:中小企業庁
中小会計要領を導入するメリット
ここでは、中小会計要領を導入するメリットについて経営面・資金面の視点から説明します。
経営面
中小会計要領を導入することで、自社の経営状況の把握と分析ができるようになります。同業他社と同じ会計ルールにより作成された決算書を比べることで、自社の強み・弱みを理解して将来の事業計画に活用できます。
また、金融機関をはじめ株主や取引先などステークホルダー向けに正確な情報開示ができるようになるので、信頼関係構築にも役立つ点もメリットです。
資金面
中小会計要領を導入または導入を目指し、「当面6ヵ月程度の資金繰り予定表」及び「部門別収支状況表」を含んだ事業計画書を作成することで政府系の銀行である日本政策金融公庫の「中小企業会計活用強化資金」を利用できます。中小企業会計活用強化資金は、2億7千万円までの貸付であれば、基準金利から0.4%引いた金利で借り入れが可能です。
参照:日本政策金融公庫
また、中小企業が民間の金融機関から融資を受ける場合、保証協会の保証を付けることがほとんどです。中小会計要領に基づいた決算資料を作成し、税理士・公認会計士等による確認書類を信用保証協会に提出すると保証料が0.1%割引になります。
参照:中小企業庁
中小企業は信用力が低いと評価されがちで、金融機関のリスク回避のために金利は高く設定されます。そのため、コストを抑えた資金調達ができる点も中小会計要領を導入するメリットといえるでしょう。
さらに、中小会計要領に基づいた会計を行うことで返済の必要がない補助金への応募ができます。例えば、「JAPANブランド育成支援事業費補助金」は中小会計要領または中小会計指針に基づいた会計をする必要があると記載されています。
参照:経済産業省
補助金に関しては、募集時期・条件など毎年異なりますので、最新の情報を確認するようにしてください。
中小会計指針の特徴
中小会計指針は、2005年に制定されました。2012年に制定された中小会計要領にはない税効果会計・組織再編の会計・資産除去債務についても定められています。また、国際会計基準(IFRAS)の影響を受けるので、毎年改定があります。
このような事情があるので、中小会計指針を適用する場合は、企業会計についての専門的な知識がある人の採用が必要です。
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中小企業は、中小会計要領や中小会計指針に則った会計方法を導入することにより、金利が優遇されたり、補助金が利用できたりできます。また、金融機関や株主、取引先との信頼関係を築けるのもメリットです。
ただし、経理人材が少なく中小会計要領や中小会計指針の導入が負担だと感じるのであれば『SUPPORT+iA(サポーティア)』に外注するのをおすすめします。経理人材のプロに必要な分だけ作業を依頼できるオンラインアシスタント・秘書サービスの『SUPPORT+iA(サポーティア)』を利用すれば、適切な会計基準に則った会計ができます。ぜひ、『SUPPORT+iA(サポーティア)』のバックオフィス機能をご活用ください。