法人税のさまざまな節税方法|節税の注意点
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法人税にはさまざまな節税方法があります。節税対策を正しく行うことで、経営を安定させることも可能です。一方、税務に関しては専門知識が必要で、税法の改正も多く、正確な情報を踏まえて取り組むことが大切です。本記事では、法人税の代表的な節税対策と注意点を解説します。
目次[非表示]
- 1.法人税の節税
- 2.節税対策の方法
- 2.1.役員報酬の見直し
- 2.2.出張手当
- 2.3.固定支払いの前払い
- 2.4.役員や従業員の社宅
- 2.5.中古資産の購入
- 2.6.中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)
- 2.7.赤字の場合は繰越
- 3.法人向けの保険は節税に向いていない理由
- 3.1.法人向け定期保険
- 3.2.法人向け第三分野保険
- 4.節税する上での注意点
法人税の節税
節税の目的は「適切な納税」です。正しい節税対策は、税金の負担を軽減し、手元に残る資金を増やし、経営の安定につながります。一方、過度な節税対策は、利益や手元資金を必要以上に圧縮してしまいます。また、無理な節税は税務調査が入るおそれもあります。
節税対策は、税法に則り、税務上認められた範囲で取り組むことが重要です。税法は改正もよく行われるため、本格的な節税対策は税理士に相談することをおすすめします。
節税対策の方法
節税対策の基本が、課税対象となる所得額を減らすことです。所得額は「益金-損金」で計算され、益金を減らすか、損金を増やすことで所得額が減ります。また、国による特別控除制度を利用して、税金の負担を軽減する方法もあります。
なお、「益金」「損金」と類似した言葉に「収益」「経費」があります。「益金」「損金」は税務会計、「収益」「経費」は財務会計における言葉です。「収益」「経費」のうち、税務上認められるものが「益金」「損金」に計上できます。
これらを踏まえ、主要な節税対策の方法を以下に紹介します。
役員報酬の見直し
毎月おおむね一定である役員報酬は損金に算入できるため、役員報酬の増額や新たな役員の追加は、節税対策になります。
ただし、不相応に高額な役員報酬は損金に算入されません。また、役員報酬が高額すぎると、個人の所得税・住民税が大きくなってしまいます。あくまでも適度な額にとどめる必要はありますが、役員報酬の見直しは、節税対策としてまず着手できる方法です。
出張手当
出張にかかる交通費や宿泊費、また、出張手当も損金に算入できます。特に出張が多い会社の場合、交通費・宿泊費を実費精算するより、出張手当を支払うほうが節税対策になる場合もあります。出張手当は、通常、実際にかかる交通費や宿泊費よりも大きな額になるためです。
ただし、出張手当を支払うためには、旅費規程を作成する必要があります。旅費規程とは、目的や金額など出張手当を支払う基準を定めるものです。自社で定める基準ですが、相場から乖離しないよう注意が必要です。
固定支払いの前払い
家賃やサーバー代など、月々固定で発生する支払いを一年分まとめて前払いすることで、損金に算入する金額を増やせます。
法人税法において、サービス提供前に支払う前払費用は、原則としてサービス提供時に損金に算入されます。しかし、支払い日から1年以内にサービス提供があり、その支払い額を継続してその事業年度の損金に算入する場合、「短期前払費用」として支払い時点で損金に算入できます。
ただし、借入金を預金、有価証券などに運用する場合、その借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、この扱いはできません。
役員や従業員の社宅
会社が契約した住居を役員や従業員に提供する社宅制度は、条件を満たせば、節税対策になります。具体的には、賃貸料相当額の50%以上を借主(役員・従業員)が負担している場合、会社負担額は福利厚生費(法定外福利費)として損金に算入できます。
中古資産の購入
建物、設備、機械装置、器具備品、車両運搬具など、取得価格が10万円以上で時間の経過とともに価値が減少していく資産は、「減価償却資産」として、損金算入を使用可能期間にわたり分割する必要があります。中古資産は使用可能期間が短くなるため、新品よりまとまった金額を損金に算入でき、節税対策になります。
また、青色申告法人である中小企業者または農業協同組合は、「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」を利用できます。この特例では、平成18年4月1日~令和4年3月31日の間に取得した取得価額30万円未満の減価償却資産について、一定要件のもと、取得価額相当金額を、分割せずに損金に算入できます。
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)
中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)は、取引先倒産時の中小企業を支援する、中小機構による制度です。この制度では、取引先倒産時に、無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れが可能です。
掛金は月額5,000円~20万円の範囲(5,000 円単位)で自由に選択でき、損金に算入できるため、節税対策にもなります。なお、解約時は、掛金を12カ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40カ月以上納めていれば掛金全額が戻りますが、解約返戻金は課税対象となります。
赤字の場合は繰越
法人税の課税対象である所得額が赤字となった場合、赤字を「欠損金」として繰り越し、翌期以降の黒字と相殺できる「繰越控除」という制度があります。繰越控除により、将来黒字となる年度の所得額を減らすことができるので、節税対策にもなります。
欠損金の繰越控除利用には、青色申告が義務付けられています。また、繰越は一定期間内に行う必要があり、平成30年4月1日以降に開始した事業では10年、それ以前に開始した事業では9年となっています。
法人向けの保険は節税に向いていない理由
法人向けの保険は、以前は節税対策の定番でした。しかし、2019年6月の税法改定より、以下のように状況が変わり、節税効果が薄まりました。なお、新税制における保険料の扱いは複雑なので、詳細は国税庁の情報を確認してください。
法人向け定期保険
最高解約返戻率に応じ、以下のように、一定期間保険料が資産と損金に分けて計上されます。資産計上分は課税対象となります。
・50%以下:全額損金参入
・50%超~70%以下:保険期間の当初40%の期間、資産:損金=40%:60%。
・70%超~85%以下:保険期間の当初40%の期間、資産:損金=60%:40%。
・85%超:契約当初10年間は、最高返戻率×90%×保険料を資産計上、残りを損金計上。
法人向け第三分野保険
保険料を保険期間全期に渡って支払う場合、上記定期保険と同様の扱いです。短期払いの場合は、被保険者1人あたりの年間の支払保険料額によって、以下のように扱いが分かれます。
・合計30万円以下:保険料全額損金計上
・合計30万円以上:保険料払込期間中は、「年間保険料×保険料払込期間÷保険期間(116際ー契約年齢)」を支払保険料として損金算入、残りを資産計上。
節税する上での注意点
適切な節税は経営の安定につながりますが、過度な節税は経営に悪影響を与えるおそれがあります。節税対策にあたってはそのバランスに注意しましょう。また、税務上の不明点がある場合は、曖昧なまま進めるのではなく、必ず専門家に確認しましょう。
節税対策にも関わる財務・経理業務は、専門知識を要することもあり、人材が不足しがちです。そういったバックオフィス業務を代行するサービスとして、『グランサーズ株式会社』のオンラインアシスタント・秘書サービス『SUPPORT+iA(サポーティア)』があります。現状の社内体制では一歩を踏み出せないという場合、専門性の高い外部サービスの利用も検討してみてください。
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