株の税金対策|株式投資の利益にかかる税金を賢く節税する方法
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株式投資で得た利益には、税金がかかります。しかし、適切な税金対策を行うことで、納税額を抑えられます。
この記事では、株式投資の税金の基本から、確定申告での節税方法、活用すべき税制 優遇措置まで、株の税金対策について詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.株の税金対策の基本を理解する
- 1.1.年間利益が20万円以内なら税金はかからない
- 1.2.株式の「配当金」にかかる税金
- 1.3.株式の「売却益」にかかる税金
- 2.確定申告で株の税金を節税する方法
- 2.1.証券会社の口座の種類と税金の申告方法
- 2.2.株式投資の損益通算
- 2.3.繰越控除の活用
- 3.株式投資で活用すべき税制優遇措置
- 4.申告漏れや計算ミスを防ぐ
- 5.まとめ
株の税金対策の基本を理解する
株式投資の税金を理解するには、まず株式投資により発生する利益の種類を知ることが重要です。
株式投資の利益には、配当金と売却益の2種類があります。それぞれに対して、異なる税金がかかります。
年間利益が20万円以内なら税金はかからない
株式投資で得た利益は、原則として所得税や住民税の課税対象です。
ただし、給与所得者で年間の株式投資の利益が20万円以下の場合、税金がかからず、確定申告が不要です。
しかし、もし証券会社の特定口座(源泉徴収あり)で株式の売買をしているなら、たとえ20 万円以下の運用益でも税金が源泉徴収されます。株式投資を始めたばかりの人や、小額投資を行っている人にとって、税金がかからないのは大きなメリットです。自分の1年間の投資の利益がどれくらいになるかは、きちんと把握しておく必要があります。
株式の「配当金」にかかる税金
株式の配当金には、以下の税金がかかります。
税金の種類 |
税率 |
所得税 |
15.315% |
住民税 |
5% |
合計 |
20.315% |
ただし、特定口座(源泉徴収あり)の場合、前述したように、税金は自動的に引き落とされるため、確定申告は不要です。
株式の「売却益」にかかる税金
株式の売却益には、以下の税金がかかります。
税金の種類 |
税率 |
所得税 |
15.315% |
住民税 |
5% |
合計 |
20.315% |
ただし、特定口座(源泉徴収あり)の場合、前述したように、税金は自動的に引き落とされるため、確定申告は不要です。
株式の売却益は、売却価格から取得価格と売却手数料を差し引いて求めます。損失が出た場合は、損益通算や繰越控除の対象です。
【売却益の計算式】
売却価格₋(取得価格+売却手数料など)=売却益
【税金の計算式】
売却益×20.315%=合計の税額
確定申告で株の税金を節税する方法
確定申告を行うことで、株式投資の税金を節税できます。そのためには、証券会社での税の取り扱いや確定申告などについて知らなくてはなりません。
そこで、証券会社の口座の種類と税金の申告方法、損益通算、繰越控除の活用について解説します。
証券会社の口座の種類と税金の申告方法
証券会社の口座には、以下の3種類があります。
口座の種類 |
税金の申告方法 |
特定口座(源泉徴収あり) |
確定申告不要 |
特定口座(源泉徴収なし) |
確定申告が必要 |
一般口座 |
確定申告が必要 |
特定口座(源泉徴収あり)の場合、税金は自動的に引き落とされるため、確定申告は不要です。ただし、損益通算ができないというデメリットがあります。
特定口座(源泉徴収なし)と一般口座の場合は、確定申告が必要です。その代わり、損益通算や繰越控除の対象になります。
特定口座(源泉徴収なし)なら、証券会社が1年間の売買損益を計算してくれますが、一般口座では自分で計算する必要があるので、ミスがないよう気をつけなくてはなりません。
株式投資の損益通算
損益通算とは、株式投資で生じた損失を他の株式の利益や配当金と相殺することで、税金を節約する方法です。損益通算には、以下の2つの方法があります。
■損益通算の節税方法①益出し
益出しとは、利益が出ている株式を戦略的に売却して利益確定し、その利益と他の株式の損失を同一年度内で相殺し、税負担を軽減する方法です。
たとえば、A株式で100万円の利益が出ており、B株式で50万円の損失が出ているとします。この場合、A株式を売却して利益を確定し、B株式の損失を確定してこれとと相殺することで、課税対象となる所得を50万円まで減らすことができるのです。
益出しを行うタイミングは年末が一般的です。12月末までに益出しを行うことで、その年の税金を減らす効果が得られます。
ただし、益出しのタイミングは市場動向によっても変わります。株価が下落傾向にある場合は、早めの益出しを検討します。
益出しを有効に活用するためには、日頃から保有株式の損益状況を把握しておくことが大切です。定期的に株価や損益をチェックし、益出しのタイミングを見計らいます。
もし過去に生じた損失があるなら、益出しによって相殺できますので、合わせて検討するのがおすすめです。
■損益通算の節税方法②損出し
損出しとは、損失が出ている株式を売却して損失を確定し、その損失を同一年度内の他の株式の利益と相殺することで、税負担を軽減する方法です。
たとえば、C株式で50万円の利益が出ており、D株式で100万円の損失が出ているとします。この場合、D株式を売却して損失を確定し、C株式の利益を確定してこれと相殺することで、課税対象となる所得をゼロにできるのです。
損出しを行う際は、株価の動向を注視する必要があります。株価が上昇傾向にある場合、損出しを急ぐあまり、かえって損失を拡大してしまうリスクがあります。損出しのタイミングは、慎重に見極めることが大切です。
また、3年以内に繰り越した損失がある場合も注意しなくてはなりません。なぜなら、過去から繰り越した損失を相殺する際には順番があるからです。
すなわち、最初に今年度の損益を通算して、残った利益と過去から繰り越した損失とを相殺します。そのため、損出しをして今年度の利益と相殺した残りの金額が、過去の損失を下回れば、場合によっては過去の損失が切り捨てになります。
損出しは、益出しと並ぶ株式投資の重要な節税手法ですが、適切なタイミングで実行することが求められます。損出しを有効に活用することで、投資損失を最小限に抑え、税負担を軽減することが可能です。
繰越控除の活用
繰越控除とは、株式投資で生じた損失を、翌年以降の利益と相殺することで、税負担を軽減する方法です。以下の点に注意が必要です。
- 損失の繰越期間は3年間
- 繰越控除を受けるためには確定申告が必要
- 繰越控除の適用順序は、古い年度の損失から順に適用
たとえば、今年の株式投資で100万円の損失が出たとします。この損失は、翌来年以降の株式投資の利益から差し引くことができるのです。
繰越控除の適用期間は、損失が生じた年の翌年から3年間です。100万円の損失が出た場合、翌年から3年間、毎年の株式投資の利益から最大100万円を差し引くことができます。
ただし、繰越控除を受けるためには、確定申告をしなくてはなりません。繰越控除の適用順序は古い年度の損失からです。
繰越控除を活用することで、株式投資の損失を複数年に分散させ、税負担を軽減できます。長期的な視点で株式投資を行う人にとって、繰越控除は大変魅力的な制度です。
株式投資で活用すべき税制優遇措置
株式投資では、税制優遇措置を活用することで、さらに税金の節約が可能です。代表的な税制優遇措置であるNISAとiDeCoについて解説します。
NISAの活用
NISA(少額投資非課税制度)は、一定の範囲内で株式投資の配当金と売却益を非課税にする制度です。NISAには、以下の2つの枠があります。
成長投資枠 |
つみたて投資枠 |
|
投資期間 |
無制限 |
無制限 |
年間投資枠 |
240万円/年 |
120万円/年 |
非課税保有限度額 |
1200万円
(つみたて投資枠と合わせ
1800万円)
|
1800万円 |
投資対象 |
上場株式・投資信託等 |
長期積立・分散投資に適した
一定の投資信託
|
譲渡益に対する課税 |
非課税 |
非課税 |
購入方法 |
一括・積立 |
積立のみ |
対象年齢 |
18歳以上 |
18歳以上 |
2024年から新しいNISA制度が始まり、非課税投資枠が拡大されました。これにより、株式投資の配当金と売却益を非課税で受け取れる投資の限度額が増えています。
ただし、NISAの対象となるのは上場株式や一部の投資信託等に限られます。非上場株式や未公開株式はNISAの対象外です。
iDeCoの活用
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で掛金を拠出し、運用成果に応じて将来の年金額が決まる制度です。掛金が全額所得控除の対象となるため、税負担を軽減しながら老後資金を準備できます。
iDeCoで運用できるのは、元本確保商品(預金など)と投資信託です。投資信託は国内株式型、国内債券型、外国株式型、外国債券型、に分類されます。個人的に選んだ株式は、iDeCoの対象外です。
iDeCoで資産運用を行った場合、以下のような税制優遇を受けられます。
- 掛金の全額が所得控除の対象
- 運用益が非課税で再投資される
- 受取時にも控除がある
これらの税制優遇措置により、効率的に資産を増やせる可能性があります。
iDeCoは60歳まで原則として引き出すことができません。これは短所のようにも感じられますが、裏返せばメリットでもあります。なぜなら、強制的に運用が継続され、投資で資産を着実に増やせるとされる「長期」「分散」「積み立て」の条件を満たすことになるからです。したがって、長期的な資産形成に適しているといえます。
ただし、掛金には上限があり、国民年金の種類によって上限額が変わるので注意が必要です。
iDeCoには運用益が非課税となるメリットがありますが、上記のような制限もあるので、自分のライフプランに合わせて、活用するか否か、活用するとして毎月の掛金をいくらにするか、慎重に検討することが大切です。
申告漏れや計算ミスを防ぐ
株式投資の税金を適切に申告するためには、まず自分自身で正確な記録をつけることが大切です。取引のつど、日付、銘柄、数量、価格、手数料などを記録します。エクセルなどの表計算ソフトを活用すると、管理がしやすくなります。
また、証券会社から発行される取引報告書と、自分の記録を照合することも重要です。取引報告書には、売買損益や配当金、分配金などの情報が記載されています。これらの情報を確認し、自分の記録と一致しているかどうかを確かめておくのが大切です。
確定申告の際は、国税庁のホームページなどを参考に、必要な書類を準備します。
これらの書類をそろえ、計算した税額に誤りがないかを何度も確認してから確定申告をします。
さらに、確定申告の期限を守ることも重要です。期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税が課されるリスクがあります。早めに準備を始め、余裕を持って申告を行います。
参照:「株式・配当・利子と税」|国税庁
まとめ
株式投資の税金対策には、確定申告での損益通算や繰越控除の活用、NISAやiDeCoの活用などがあります。これらの方法を適切に組み合わせることで、株式投資の税金を賢く節税できます。
ただし、税金対策は、適切に行うことが重要です。申告漏れや計算ミスは、無申告加算税などのリスクがあります。株式投資の税金について不明な点があれば、必ず確認して、賢く株式投資をしていき行いましょう。