
追徴課税とは?言葉の意味から知っておきたい情報までをわかりやすく解説
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脱税などのニュースで、「追徴課税」という言葉を耳に挟んだことがあるかもしれません。
しかし、具体的にどのような場合に追徴課税が行われるのかということについては、あまりよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「追徴課税」という言葉の意味や内容から、対象となった場合の注意点、追徴課税されたとき経理担当者はどのような会計処理を行えば良いかなどを、わかりやすく解説していきます。
目次[非表示]
- 1.「追徴課税」とは?
- 2.追徴課税の種類
- 3.追徴課税をされてしまったときの注意点
- 3.1.早急に納付すること
- 3.2.一括払いが原則
- 3.3.納得できない場合は「不服申立」ができる
- 4.追徴課税された場合の会計処理方法
- 5.まとめ
- 6.関連記事
「追徴課税」とは?
追徴課税とは、税金の申告・納付を、期限を過ぎても行わなかったときなどに、本来の納税額に上乗せして課される税金のことを言います。
税法にそぐわないことをした場合において、罰則的な意味合いを込めて徴収される税金ということです。
ただし、実は「追徴課税」という言葉は税法上に存在しないため、人によって細かい解釈に差がある場合があります。しかし、一般的には上記の意味で覚えてしまって問題ありません。
具体的にどのような行為があったとき追徴課税がされるのかというと、たとえば以下のような場合です。
・申告期限までに申告をしていなかったとき。
・期限内に申告をしたが、本来納付すべき税額よりも少ない金額を申告していたとき。
・納期限までに税金を納付しなかったとき。
追徴課税の種類
追徴課税として上乗せされる税金には、いくつかの種類があります。
以下の画像をご覧ください。
まず、誤って申告していた税額と、修正申告などにより正しく計算した税額の差額である不足分の税金を納付する必要があります。この不足分は、本来納税すべきであった税額の一部分です。
そのほかに追徴課税される税金には、延滞税・利子税・加算税の3種類があり、これらを総称して「附帯税」と呼びます。
さらに、加算税は4種類に分類されており、税法の違反内容により課される加算税が異なります。
ここからは、それぞれの税金の種類ごとに、概要や税額計算の方法について確認をしていきましょう。
過少申告加算税
過少申告加算税は、申告期限までに税金の申告を行なってはいたものの、本来納めるべき税額よりも少ない金額を申告していた場合に課される税金です。
税務調査によって申告漏れの事項を指摘され、その結果を受けて修正申告などをすることにより課されます。
税務調査の通知前に自ら修正申告を行った場合は課税対象外となる可能性もあります。申告の誤りに気が付いたら、できる限り早期に対応をするようにしましょう。
基本的に過少申告加算税の金額は、新たに追加で納付することになった税額に10%を乗じて算出されます。ただし、追加で納付する税額が「当初申告した税額」と「50万円」のどちらか多い方の金額を超えた場合、その超過部分には15%を乗じて計算します。
無申告加算税
無申告加算税は、申告期限までに税金の申告をしなかった場合に課されます。
ただし、申告期限から1ヵ月以内に自ら期限後申告を行うなどの一定要件を満たす場合には課税されません。
無申告加算税の税率は原則として、納める税額が50万円までのときは15%です。ただし、50万円を超えた場合、その超過部分については20%となります。
なお、税務調査の通知前に自主的な期限後申告をしたときは、5%に軽減されます。
不納付加算税
不納付加算税は、源泉徴収義務者が従業員の給与などから徴収すべき源泉所得税を、納期限までに納付しなかった場合に課される税金です。
不納付加算税の金額は、納付すべき税額に10%を乗じて計算します。
ただし、納税の告知を受ける前に自ら納付をした場合の税率は5%に軽減されます。
重加算税
重加算税は、納税者が隠蔽・仮装行為をしていた場合に、過少申告加算税・無申告加算税・不納付加算税に代わって課される税金です。
隠蔽・仮装行為とは、たとえば下記のような事実を指します。
・二重帳簿を作成している。
・帳簿を改ざん・虚偽記載をしている。
・申告すべき課税財産を隠匿するなどしている。
つまり、悪質な脱税行為をしたと判断された場合に課されるということです。
重加算税の税率は、過少申告加算税および不納付加算税に代わる場合は35%、無申告加算税に代わる場合は40%として設定されており、非常に重いペナルティとなっています。
なお、過去5年以内に同様の税目に関して重加算税もしくは無申告加算税が課税されていた場合には、上記の税率からさらにそれぞれ10%加算されます。
延滞税
延滞税は、納期限までに納付をしなかった場合に、実際に納付した日までの日数に応じて課される税金です。
加算税が課されるときには延滞税も追加で納付する必要があります。加算税が課税されているということは、その納付は納期限後に行われているからです。
延滞税の税率は、納期限の翌日から納付をした日までの日数によって変化します。また、計算期間によっても異なりますので、詳細は国税庁のページにてご確認ください。
利子税
利子税は、税法に則った正式な手続きを経て申告書の提出期限を延長している場合などに課される税金です。
税務署から許可を得た上での期限延長であるため、延滞税よりも低い税率が課されます。
追徴課税をされてしまったときの注意点
追徴課税の対象になってしまった場合、どのような行動を取るべきなのでしょうか。
気をつけることについて事前に知っておくことで、もしもの場合に焦らず対応ができるようになります。
ここからは、追徴課税をされてしまったときの注意点について解説をしていきます。
早急に納付すること
追徴課税の対象となったことが分かったら、まずは早急に納付をすることを考えましょう。
ここで一番やってはいけない行為は「無視をする」ことです。
追徴課税が未納の場合、税務署から督促状や催告書が届き、最終的には財産の差押えが行われる可能性があります。
一括払いが原則
追徴課税は、原則として一括払いをすることが求められます。
ただし、納付額が高額になってしまい、どうしても一括では納付しきれないといった場合には「換価の猶予」や「納税の猶予」が認められる可能性があります。
どちらも申請が必要なので、まずは放置せず、税務署に必ず相談をするようにしましょう。
納得できない場合は「不服申立」ができる
税務調査において行われた指摘に納得ができない場合には「不服申立」をすることができます。
不服申立とは、税務署が行なった処分に対し、その処分の取消しや再調査を求めることができる制度です。
不服申立には「再調査の請求」と「審査請求」があります。
再調査の請求はその名のとおり、税務署に対して再調査を求めるものであり、審査請求は国税不服審判所という第三者機関に調査や審理を請求できるという制度です。この両方を使うこともできます。
この2つの制度を利用してもなお処分が覆らない場合には、「訴訟」を起こすことも可能です。
追徴課税された場合の会計処理方法
追徴課税された加算税や延滞税は、税務上の必要経費や損金として認められません。なぜかというと、これらの税金は罰則的な意味合いを込めて徴収されるものであるからです。
加算税や延滞税を納付した場合の仕訳方法は、法人であるか個人事業主であるかによって異なります。
法人の場合、納付時に「租税公課」などの勘定科目を使用して仕訳し、法人税を計算する際に損金不算入の処理を行います。そのため、仕訳をするときには摘要に加算税や延滞税であることを正確に記載しておきましょう。
一方、個人事業主は、事業用の通帳から納付した場合「事業主貸」という勘定科目を使用して仕訳を行い、必要経費として計上しないようにします。
まとめ
追徴課税される加算税や延滞税は、正しく申告・納付をしていれば本来納める必要のない税金です。
当然、課税されないことが最善ではありますが、ミスなどにより追徴課税の対象となってしまう可能性も考えられます。
本記事を参考にして、事前に追徴課税に関する知識を深めていただければ幸いです。
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