インボイス制度で副業がバレる?やるべきこと・今後の方向性を要チェック!
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最近、個人事業主を悩ませているのがインボイス制度の導入です。副業を行なっている方に関しても、インボイス制度の導入でどのような影響が出るのか気になっているケースも多いでしょう。
本記事では、インボイス制度が副業に与える影響や、具体的な対策方法について解説します。「インボイス制度で副業がバレる?」といった疑問にもお答えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次[非表示]
- 1.インボイス制度とは
- 2.インボイス制度が始まると副業はどうなる?
- 3.課税事業者と免税事業者の違いは?
- 3.1.課税売上高によって決まる
- 3.2.課税事業者とは
- 3.3.免税事業者とは
- 4.副業で免税事業者の場合の選択肢
- 4.1.取引先が免税事業者・BtoCの場合
- 4.2.取引先が課税事業者・BtoBの場合
- 5.原則課税と簡易課税について
- 5.1.原則課税とは
- 5.2.簡易課税とは
- 5.3.インボイス制度に登録した時は?
- 6.インボイス制度は始まると副業がバレる?
- 6.1.インボイス制度で副業がバレる可能性は低い
- 6.2.一括ダウンロードは仕様変更されている
- 6.3.副業がバレるのは
- 7.副業の今後も検討する
- 8.インボイス制度に登録するには
- 8.1.インボイス制度の登録方法
- 8.2.2割特例の適用を受けよう
- 9.まとめ
インボイス制度とは
インボイス制度は「適格請求書保存方式」の通称であり、決められた様式に基づく請求書などの発行・保存に関する制度です。インボイスとは、制度で定められた請求書である「適格請求書」を指します。
インボイス制度における適格請求書は、以下の項目を記載することが必要です。
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称
- 登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象となる品物がある場合は、その旨も記載)
- 税率ごとに分けて合計した対価の金額、適用税率
- 税率ごとに合計した消費税額
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
インボイス制度は消費税に関わる制度であるため、上記のように消費税を明確にした形で請求書を発行することが求められます。
また、適格請求書を発行するためには専用の申請手続きを行う必要があります。手続きを行うことで登録番号が発行され、適格請求書発行事業者として認められることとなります。
参照:[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)
インボイス制度が始まると副業はどうなる?
一言で副業と言っても、人によってその働き方はさまざまです。
本業の他にアルバイトをして給与を得ている人は、インボイス制度は気にしなくて構いません。給与所得には消費税がかからず、インボイス制度は無関係であるためです。
それに対して、会社などに属さずに個人で副業を行なっている人はインボイス制度の影響を受けるケースがあります。
インボイス制度が始まれば、課税事業者が消費税の仕入税額控除を受ける際に、適格請求書の保存が必要となります。しかし、適格請求書発行事業者として登録できるのは課税事業者のみです。
これにより、年間の売上が1,000万円以下の免税事業者である場合、課税事業者である取引先は仕入税額控除を受けられないため、取引を嫌がられてしまう可能性が出てくるでしょう。
免税事業者として副業を行っている場合も、インボイス制度の導入により、取引の終了や値下げといったリスクが発生してしまいます。
課税事業者と免税事業者の違いは?
インボイス制度では課税事業者と免税事業者で、対応が大きく変わります。副業の人はほとんどが免税事業者ですが、売り上げが多い人は課税事業者となっている人もいるでしょう。
免税事業者と課税事業者はどのように決まるのでしょうか。またそれぞれの違いを知っておくことも重要です。
課税売上高によって決まる
消費税の課税事業者は「基準期間」と「特定期間」の課税対象取引の売上高によって決まります。個人事業主の基準期間は前々年1月1日から12月31日です。特定期間は前年の1月1日から6月30日です。
大きなポイントは売上高が1000万円を超えるかどうかです。基準期間の課税売上高が1000万円を超えると翌々年は課税事業者となります。また特定期間では課税売上高か支払った給与等の額が1,000万円を超えると翌年は課税事業者です。
課税事業者とは
課税事業者とは消費税を納税するべき事業者です。上で述べたように課税売上高が1,000万円を超えると課税事業者になります。
インボイス制度に登録することができ、適格請求書があれば仕入れ額控除を受けることが可能です。
免税事業者とは
消費税の納税を免除されている事業者を免税事業者といいます。課税売上高が1,000万円以下なら消費税の申告・納付の必要がなく、受け取った消費税はそのまま利益となります。
しかし仕入れ額控除は受けることができず、適格請求書の発行はできません。
副業で免税事業者の場合の選択肢
免税事業者である場合、インボイス制度によって副業に影響が出る可能性があることがわかりました。
それでは、インボイス制度に向けてどのような対策を行えばいいのでしょうか。「取引先が免税事業者の場合」「取引先が課税事業者の場合」の2つのパターンに分けて考えていきましょう。
取引先が免税事業者・BtoCの場合
主な取引先が免税事業者の場合は、消費税が免除され、仕入税額控除を受けることもないため、インボイス制度は気にしなくても構いません。適格請求書を発行しなくても、問題なく取引を継続できる可能性が高いでしょう。
「取引先が免税事業者である場合」とは、取引先が以下などのケースに該当する場合を指します。
- 年間の売り上げが1,000万円以下である
- 設立、開業して2年を経過していない
年間の売上が1,000万円以上であっても、設立・開業してから2年目までは免税事業者となります。
また、個人に対して商品やサービスを販売する副業である場合にも、インボイス制度の影響は受けないものと考えられます。例えば、ハンドメイド品をネットショップで販売するなどの副業がこれに該当します。
事業を営んでいない個人の顧客は、確定申告を行ったり、消費税の仕入税額控除を気にしたりする必要がないため、 適格請求書を発行する必要もありません。
取引先が課税事業者・BtoBの場合
インボイス制度の影響を直接受けると考えられるのが、課税事業者と取引を行う場合です。
取引先が課税事業者である場合には、自分が免税事業者であることによって、相手が仕入税額控除を受けられないこととなります。その分、 相手が負担するべき消費税額が増えることとなるでしょう。
インボイス制度導入後も免税事業者のままでいれば、取引を終了されたり、消費税額の負担が増えた分の値下げを持ちかけられたりする可能性があります。免税事業者と取引を続けるメリットがないため、 課税事業者になり、適格請求書発行事業者への登録を求められるかもしれません。
副業であっても、課税事業者となれば確定申告の際に消費税を計算して納付することが必要となります。そのため、手元に残る金額は少なくなってしまうでしょう。
なお、取引先が課税事業者であっても、簡易課税制度を選択しているのであれば適格請求書を発行する必要はありません。簡易課税制度では、実際の消費税額ではなく、業種によって定められた「みなし仕入れ率」によって消費税額を納税するためです。
原則課税と簡易課税について
上述した簡易課税制度は、消費税の計算方法の一つです。その他に原則課税制度もあり、もしインボイス制度に登録した場合は、どちらかを選ぶことになります。
また取引先がどちらの制度を選択しているかで、適格請求書の発行の必要性が変わるでしょう。この2つの計算方法はインボイス制度に登録している場合にも影響があります。
原則課税とは
原則課税は「一般課税」または「本則課税」ともいわれる消費税の計算方法です。どの事業者でも使うことができます。実際に売上にかかった消費税から、仕入れのために支払った消費税を引いて納税額を計算する方法です。
簡易課税とは
簡易課税は売上の税額に業種ごとに定められた「みなし仕入れ率」をかけて、仕入れの消費税額を計算する方法です。
中小企業の事務負担を軽くするために設けられた制度のため、簡易課税を用いる場合は条件に当てはまる必要があります。条件は以下の2つです。
- 簡易課税で計算したい課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下である
- 消費税簡易課税制度選択届出書を、簡易課税で計算したい課税期間の初日の前日までに提出している
インボイス制度に登録する際、簡易課税制度を選ぶこともできますが、一度登録すると2年間は原則課税への変更はできませんので注意が必要です。
インボイス制度に登録した時は?
インボイス制度に登録して新たに課税事業者になると、原則課税制度と簡易課税制度を選択します。ここで注意すべきなのは、簡易課税制度を選んだ場合、後述するインボイス制度の2割特例が使えなくなることです。
逆に2割特例の期間を過ぎた後は、「消費税簡易課税制度選択届出書」を課税期間中に提出すれば、その課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。
インボイス制度は始まると副業がバレる?
インボイス制度が導入される上で「本業として勤めている会社に、副業をしていることがばれてしまうのではないか?」と心配をしている方も多いかもしれません。
なぜインボイス制度で副業がばれると考えられるのか、どのようにしたら会社に副業がばれないかを見ていきましょう。
インボイス制度で副業がバレる可能性は低い
インボイス制度で個人が副業をしていることがばれるかもと話題になったのは、インボイス発行事業者の個人情報が公開されるからです。インボイス制度に登録した事業者は「国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト」にさまざまな情報が掲載されます。そこに氏名などが公表されることから、個人が特定されると不安を感じた人が多くいました。
しかしこのサイトでは、個人名や住所などでは検索ができません。インボイス制度に登録した際に付与された「登録番号」からのみ検索ができます。そのため登録番号がわからなければ、検索のしようがないのです。
通常、登録番号は取引先に発行する請求書に記載するものなので、自分から勤務先に伝えない限りは、知られることはほぼないでしょう。
ただ勤務先の関連会社などと取引をすると、登録番号や自分が副業をしていることが知られる可能性は高くなります。できれば勤務先とは関連のない所で副業をするのがよいでしょう。
一括ダウンロードは仕様変更されている
登録番号がわからなくても、インボイス制度に登録した事業者の氏名がわかると問題になったのが、インボイス発行事業者の情報が一括ダウンロードできる仕様です。このファイルには登録者の氏名が含まれていたことから不安が広がりました。
実はこの一括ダウンロードの仕様は、2023年4月に変更されています。現在は個人事業者データからは氏名や住所、屋号、通称などは削除され見られない仕様です。法人でなければ、よほどのことがない限り、インボイス制度で副業がばれることはないでしょう。
副業がバレるのは
インボイス制度に登録しても副業がばれる心配は少ないことがわかりました。実は会社に副業がばれるのは、住民税が原因のことがほとんどです。
副業により収入が増えると、所得が増えます。所得によって住民税の納税額が決定されるので、必然的に住民税の額が増えて毎月の給与からの住民税の天引き額が変わることから会社にわかることが多いのです。
副業の収入を確定申告することで、会社に副業がばれることを防げます。確定申告の際、住民税の納税方法は「自分で納付」を選びましょう。そうすると副業分の住民税は自分で納税できます。
副業の今後も検討する
インボイス制度の導入においては、事業のあり方を見直すきっかけと捉えている個人事業主も多く、副業をしている人も例外ではありません。インボイス制度の導入が、事業の継続に差し支えるケースも出てくると考えられるためです。
インボイス制度に向けた主な選択肢としては、以下が挙げられます。
- 事業拡大を見越して課税事業者となる
- 利益が下がることを覚悟して免税事業者を続ける
- 取引先から選ばれる商品やサービスを提供し、免税事業者を続ける
いずれにしても、事業の今後について検討した上でインボイス制度への対応を考えることが大切です。
インボイス制度に登録するには
取引先との交渉などの結果、インボイス制度に登録する人もいるでしょう。インボイス制度に登録するには提出しなくてはいけない書類があります。またインボイス制度に登録した人に適用される特例もあるので、詳しく解説します。
インボイス制度の登録方法
副業で仕事をしていた人はほとんどが免税事業者でしょう。その場合はまず課税事業者になる必要があります。「消費税課税事業者選択届出書」を出して課税事業者になりますが、2023年10月1日から2029年9月30日までの間であれば提出する必要はありません。
適格請求書発行事業者となるための「登録申請書」を提出するだけで課税事業者となる経過措置が設けられているからです。
インボイス制度に登録する方法は、郵送とe-Taxの2種類あります。郵送は登録申請書を記入の上、管轄の「インボイス登録センター」に郵送します。e-Taxは事前に電子証明書(マイナンバーカード等)と利用者識別番号等の準備が必要です。
2023年10月1日から2029年9月30日の間であれば、登録申請書を提出した15日以降の希望日を登録日とすることができます。
2割特例の適用を受けよう
インボイス制度をきっかけに免税事業者からインボイスを発行する課税事業者になった場合、仕入れ税額控除の金額を特別控除税額にできる制度があります。いわゆる「2割特例」で、「インボイス発行事業者となる小規模事業者に対する負担軽減措置」と言われることもあります。
この特例の適用を受ければ、消費税の納付額が本来の2割にできます。2023年10月1日から2026年9月30日までの3年間の適用です。
2割特例の適用を受けたい場合は、事前の届け出の必要はなく、消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記するだけで適用を受けられます。
まとめ
インボイス制度が導入されると、副業に影響が出たり、最悪の場合副業をしていることが会社にバレてしまったりする可能性があります。インボイス制度を、副業のあり方や今後の働き方について考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
インボイス制度は複雑な制度であるため、必要に応じて専門家に相談することも大切です。
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