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営業外費用とは?特別損失との違い、内容と仕訳方法について解説

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営業外費用は、企業が本業以外の活動で収益を得るのにかかった費用をいいます。漏らさず確実に計上することで、無駄がどこにあるか見極め、経営を効率化することに役立ちます。本記事では営業外費用について、似て非なる特別損失との違い、種類、経理処理等について分かりやすく解説します。

目次[非表示]

  1. 1.営業外費用とは
  2. 2.営業外費用と特別損失の違い
    1. 2.1.原則|経常的なら「営業外費用」、臨時的・一時的なら「特別損失」
    2. 2.2.例外|雑損失は臨時的・一時的だが「営業外費用」
  3. 3.営業外費用の種類と仕訳例
    1. 3.1.支払利息・社債利息等
    2. 3.2.売上割引
    3. 3.3.手形売却損
    4. 3.4.有価証券売却損
    5. 3.5.有価証券評価損
    6. 3.6. 繰延資産(営業収益との対応関係がないもの)
    7. 3.7.為替差損
    8. 3.8.雑損失
  4. 4.まとめ

営業外費用とは

営業外費用とは

営業外費用とは、企業の主な営業活動以外で、経常的に発生する費用です。経常利益を算出する場合に重要なものです。

すなわち、営業外収益から営業外費用を差し引いたものが「営業外利益」、営業利益と営業外利益を足したものが「経常利益」です。

営業外費用には雑多なものが多いので、知らず知らずのうちに貴重な資金を無駄にしてしまいかねません。だからこそ、的確に把握することが大切です。



営業外費用と特別損失の違い


営業外費用と特別損失の違い

営業外費用と似たものとして、特別損失があります。営業外費用と特別損失も営業外で発生したものである点は同じです。では、違いはどこにあるのでしょうか。

原則|経常的なら「営業外費用」、臨時的・一時的なら「特別損失」

両者は、経常的に発生するものか、臨時的・一時的に発生するものかという点で異なります。

たとえば、借入金の支払利息は借入金を返済しない限り経常的に発生するので「営業外費用」にあたります。

これに対し、自然災害で建物や機械設備が棄損した場合や、役員が退職するにあたり退職金を支払った場合は、一時的なものなので「特別損失」にあたります。

なお、退職金を「損失」と表現するのはやや違和感がありますが、そういうものとして割り切るしかありません。ちなみに、本記事では余談ですが、一般の従業員の退職金は、特別損失ではなく「販売費および一般管理費」と扱われるので注意が必要です。

例外|雑損失は臨時的・一時的だが「営業外費用」

ただし、臨時的・一時的に発生する費用であっても、営業外費用と扱われるものがあります。「雑損失」です。どの勘定科目にも含まれない雑多なものは基本的にこの雑損失として扱われるのです。詳しくは「営業外費用の種類と仕訳例」で解説します。


営業外費用の種類と仕訳例


営業外費用の種類と仕訳例

営業外費用には以下のようなものがあります。

【主な営業外費用】

  • 支払利息・社債利息等
  • 売上割引
  • 手形売却損
  • 有価証券売却損
  • 有価証券評価損
  • 繰延資産(営業収益との対応関係がないもの)
  • 為替差損
  • 雑損失

以下、それぞれの内容と仕訳例について説明します。

支払利息・社債利息等

支払利息は、金融機関や第三者から借入をした場合に支払う利息です。また、社債利息は社債を発行した場合に社債権者に対し支払う利息です。
これらの利息は、いずれも事業活動そのものではなく、決済の手段から生じる費用です。かつ、支払いのタイミングが決まっており、経常的に発生する費用です。
たとえば、元本100万円と利息3万円を支払った場合の仕訳例は以下の通りです。

【支払利息の仕訳例】
借方
貸方

短期借入金

1,000,000円

普通預金 

1,030,000円

支払利息

30,000円

売上割引

上述の「利息」と似たものに、売上割引があります。商品・サービス等を販売して、買主から代金を早めに支払ってもらった代わりに、代金の割引をすることをいいます。

つまり、買主は代金を早く支払ったことにより、本来の期日までの利息相当額を損するので、その分をカバーするために割引をしてあげるということです。これにより損失が生じます。

この売上割引も、「利息」と同じく、事業活動自体ではなく決済の手段から生じる費用です。

現在は超低金利なのであまりピンとこないかもしれませんが、理論上は、利息分を代金額から差し引いたとみなすということです。

たとえば、商品を300万円で販売し、買主が代金を支払期日より早く支払う意向を示したので、1万円値引きすることとした場合の仕訳例は以下の通りです。

【売上割引の仕訳例】
借方
貸方

普通預金

2,990,000円

売掛金 

3,000,000円

売上割引

10,000円

手形売却損

手形売却損は、受取手形を満期前に売却して現金化した場合に発生した損失をいいます。

満期前に売却して現金化する場合、満期までの金利と手数料を差し引かれ、損失が発生します。事業活動自体ではなく決済の手段から生じる費用といえます。

たとえば、取引先から振出を受けた受取手形150万円を満期前に銀行で現金化(割引)し、割引料として10万円が差し引かれた場合の仕訳例は以下の通りです。

【手形売却損の仕訳例】
借方
貸方

普通預金

1,400,000円

受取手形

1,500,000円

手形売却損

100,000円

なお、手形は有価証券の一つですが、次に述べる「有価証券売却損」とは区別します。なぜなら、手形は決済の手段にすぎないからです。

有価証券売却損

有価証券売却損は、投機、つまり売買して収益を上げる目的で保有する株式、債券等を売却することによって得られる利益をいいます。

たとえば、株式の簿価が期首に500万円だったのを、下落した後に損切りするため時価400万円で売却するハメになった場合、仕訳方法は以下の通りです。

【有価証券売却損の仕訳例】
借方
貸方

普通預金

4,000,000円

売買目的有価証券

5,000,000円

有価証券売却損 

1,000,000円

なお、短期的な売買のためではなく、長期保有によって配当等の利益を得るために株式等を保有していた場合には、それを売却して損失が出ても「有価証券売却損」とはなりません。「特別損失」として扱われます(「投資有価証券売却損」といわれます)。

有価証券評価損

有価証券評価損は、売買して利益を得る目的で保有していた株式、債券等の期末の評価額が簿価(期首の評価額)より下落したことによる損失(評価損)をいいます。
 
たとえば、株式の期首の簿価が500万円で、期末の評価額が400万円まで下落していた場合、仕訳方法は以下の通りです。

【有価証券評価損の仕訳例】
借方
貸方

有価証券評価損

1,000,000円

有価証券   

1,000,000円

なお、短期的な売買のためではなく、長期保有によって配当等の利益を得るために株式等を保有していた場合、時価が購入時より50%未満に低下し、そこから回復する見込みがなくなったら「特別損失」を計上することになっています(有価証券強制低価評価損)。

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繰延資産(営業収益との対応関係がないもの)

繰延資産は、商品やサービスを購入するために費用を支出した効果が、その年度限りではなく将来の複数年度にわたって発生するものをいいます。

繰延資産の処理方法は「減価償却」といって、複数年度に分けて計上していきます。

繰延資産のうち、各年度の営業収益と対応関係がないものが営業外費用として計上されます(対応関係があるものは「販売費および一般管理費」に計上されます)。

典型的なのは、創立費、開業費です。これらは減価償却により複数年にわたって費用計上されていきますが、各年度の営業収益と対応関係がありません。

研究開発費についても、各年度の営業収益との対応関係がないものが営業外費用に計上されます。
たとえば、会社設立時の創立費として、設立登記費用等を50万円支払った場合の仕訳例はどうなるでしょうか。

まず、創立時点で、以下のように計上します。

【創立費の仕訳例①|創立時点】
借方
貸方
創立費 

500,000円

普通預金

500,000円

そして、その年度の決算の際に償却処理を行い、当期分(12ヵ月分)を計上します。償却期間が5年で均等に償却すると、12ヵ月分(1年分)は10万円なので、仕訳例は以下の通りです。


【創立費の仕訳例②|初年度の決算時】
借方
貸方

創立費償却

100,000円

創立費

100,000円

為替差損

為替差損は、外貨建てで取引を行った場合や外貨を保有している場合に、為替レートの変動によって発生する損失をさします。

たとえば、1米ドル=140円の時に5万米ドル(700万円)で製品を購入し(買掛金発生)、代金を支払う時に1米ドル=150円(円安ドル高)になったような場合、同じ5万米ドルでも750万円を支払わなければなりません。この場合の仕訳例は以下の通りです。

【為替差損の仕訳例】
借方
貸方

買掛金

7,000,000円

普通預金

7,500,000 円

為替差損

7,000,000円

雑損失

雑損失は、どの勘定科目にもあてはまらない「その他大勢」の費用で、かつ、重要性の低いものをさします。

先に「営業外費用とは」で、臨時的・一時的に発生する費用等は「特別損失」にあたると説明しました。しかし、特別損失の勘定科目にあてはまらない費用等については「特別損失」ではなく「営業外費用」と扱います。

雑多で重要性の低い支出については「事業活動に伴って経常的に発生する不可避な支出」と考えるのです。

雑損失の典型例としては、違約金、損害賠償金、盗難による損失等が挙げられます。

たとえば、製品の欠陥により顧客に損害を与え、1,000万円の損害賠償金を支払った場合、仕訳例は以下の通りです。

【損害賠償金(雑損失)の仕訳例】
借方
貸方

雑損失 

1,000,000円

普通預金

1,000,000円


まとめ

所得税の計算で重要な給与所得控除を徹底解説!

営業外費用は、企業の営業活動以外で経常的に発生する費用です。営業外利益を算出し、経常利益を確定するうえで重要なものです。また、雑多なものが多いので、漏らさず的確に計上することで、資金の無駄遣いを防ぐことができます。

特別損失との違いは、経常的に発生するものなのか、臨時的・一時的に発生するものなのかで画することができます。ただし、臨時的・一時的なものであっても、どの勘定科目にもあてはまらないものは雑損失として営業外費用に含まれます。


監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
慶応義塾大学商学部卒。監査法人トーマツにて会計監査、株式上場支援、企業の経営改善支援に従事。平成24年筧公認会計士事務所(現:税理法人グランサーズ)を開設。常に現場に入り、経営者とともに課題に取り組み、経営者と常に相談しながら経営者のニーズに応え、解決策を導き出すことをモットーにしている。スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。東京商工会議所専門家エキスパート、セミナー実績多数。経営者向け人気YouTubeチャンネル「社長の資産防衛チャンネル」にも出演中。
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