
上場させたい!上場させるために必要なことを徹底解説。
会社の上場には資金調達や社会的信頼の獲得など、さまざまな面でメリットがあります。
しかし上場という言葉は見聞きしたことがあるものの、詳しい意味や上場の仕方は知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事では会社を上場させるための方法について、詳しく解説します。
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上場(IPO)とは?
上場とは会社の株式を証券取引所に公開し、誰でも自由に売買できるようにすることを意味します。IPO(Initial Public Offering)も、上場と同じ意味で使われる言葉です。
上場企業の株式は、外部の人でも自由に売買できます。一方で非上場会社は株式の公開をおこなっていないため、株式の自由な売買ができません。非上場会社の株式は、会社の役員や関連会社のみが保有しているケースがほとんどです。
上場の大きなメリットとして、資金調達をしやすくなる点があげられます。投資家が株式を購入すれば、自社に資金が入ります。また知名度や社会的信頼を獲得できる点もメリットです。ただし上場を果たすには複雑な手続きの実施や、厳しい審査にクリアする必要などがあります。
上場の仕方・流れ
それでは上場の仕方や流れについて具体的に解説します。上場には非常に長い時間がかかり、遅くとも予定の3期前には準備をする必要があります。上場までに必要な作業について、各会計期間ごとに解説します。
上場3期以上前
上場3期以上前には、上場に向けた社内体制の整備や監査法人からの調査、さらには上場を進めるための外部連携などを行います。上場まで時間がありますが、やるべきことは多くあります。それぞれ詳しく解説します。
上場の検討・スケジュール計画
上場の検討は、上場の3期以上前から行います。上場するか否かを検討し、上場を決定したら具体的な進め方を計画します。
この段階では以下に関する検討・計画が必要です。
・上場に関するメリット、デメリットの比較
・市場の選定:証券取引所には複数の市場が設けられているため、
どの市場に上場するか検討します
・スケジュールの計画
そもそも自社が上場をするべきか、メリット・デメリットを比較したうえで検討する必要があります。上場に向けて準備を進めると決めたら、市場の選定や上場までのスケジュールを計画しましょう。
上場担当者やチームの設定
続いては上場に向けた社内体制の準備です。上場に関する実務作業の担当者やチームを設定します。
上場担当者にはIPOに関する専門知識や、スピーディーな処理能力などが必要です。実務経験があるのが理想ですが、社内に経験者がいなければIPOコンサルタントなど外部のサポートを受けましょう。
また効率的な上場準備のためにチームは必要ですが、担当チームのみがすべての作業を行うわけではありません。上場準備は社内全体で協力しながら進める必要があります。
ショートレビュー
ショートレビューとは予備調査とも呼ばれるもので、上場に向けて監査法人に実施してもらう調査です。上場準備の方向性や、上場に向けてやるべきことを具体化するために、ショートレビューが非常に重要です。
ショートレビューでは上場にあたって解決が必要な課題や、準備が必要な事項などを洗い出してもらえます。監査法人からの指摘事項を確認後、具体的な上場準備に入ります。
外部との連携
上場準備を効率的・確実に進めるため、外部との連携強化も必要です。連携が必要な専門家・組織として、以下の例があげられます。
・メインバンク:上場に向けた資金繰りの相談やサポートを受けるため、連携強化が必要です
・ベンチャーキャピタル:資本政策に向けて、ベンチャーキャピタルのような
投資会社の協力を得ます
・コンサルタント・コンサルティング会社:IPO全般の相談・サポートを受けるために
重要です
・顧問弁護士:顧問弁護士がいれば、上場に関する法律面での協力を得ましょう。
現状顧問弁護士がいない場合、必要に応じて探し契約できると安心です
外部の専門家と連携を深めることで、上場準備をスムーズに進められるようになります。
上場2期前
上場2期前には、上場のために体制強化が必要です。3期前までは準備や計画の段階でしたが、2期前は上場に向けた具体的な作業や、上場前に義務付けられた作業の実施などを進めていきます。上場2期前について詳しく解説します。
監査法人による調査
上場2期前は、監査法人による以下の調査が必要です。
・期の初めに受ける外部審査:監査に向けて体制を整えるため、
まずは期の初めに調査を受けます
・期末に受ける監査:上場するには、上場前2期分の監査および適正意見が必要です。
2期前からは会計監査が必要不可欠となります
この時期に受けた監査で問題が発覚し適正意見を得られなければ、問題を解決させ翌年改めて監査を受けます。2期分の適正意見が必要なため、上場予定が1年延びることになります。
社内体制の整備
社内体制の整備も非常に重要です。内部監査担当者の設置や、組織・業務フローなどの細かな規定などを行います。非上場企業に比べ、はるかに細かく厳しい社内体制が求められます。
監査法人から受けた指摘事項をおさえつつ、以下のような部分も整備が必要です。
・会計方針や予算管理に関する体制整備
・各種管理システムの確立
・社内規定の細かな設定
求められる内容は厳しいですが、上場のために必ずクリアしなければなりません。
主幹事証券会社の設定、各種申請書用意
上場2期前には、主幹事証券会社の選定を進めます主幹事証券会社とは、株式公開に関する指導やサポート、関係機関との調整などを中心的に行う証券会社です。1期前の決定でも問題はありませんが、時間がかかる作業のため、早めの着手が安心です。
また書類用意も、上場2期前あたりからはじめます。申請に必要な書類を確認し、準備できるものは少しずつ収集・作成を行いましょう。
上場1期前
上場1期前は直前期ということで、上場に向けた最終準備の段階です。外部からの指導やチェックを受けながら、調整を繰り返していきます。上場1期前の主な作業について解説します。
監査法人による調査
上場1期前も、監査法人による調査が必要です。上場前の2期分で監査法人による適正意見を受けなければならないため、上場2期前と同様に監査を受けます。
上場に関する指導を受ける
上場に向けて、監査法人や証券会社などから受ける細かな指導が増えます。チェックされる内容は、以下のように非常に広い範囲です。
・社内規定やルール
・会計・労務などの管理体制
・取締役会など運営主体
・ディスクロージャー(投資家や取引先のような外部関係者に事業内容などの情報を
開示する行為)の体制整備
また上場申請に必要な書類についても、監査法人・証券会社のチェックおよび指導を受けます。
最終チェック
上場に必要な体制が整備されているか、必要な作業を適切に実施できたかなどの最終チェックを行います。細かい部分までかなり厳密なチェックが必要です。外部のサポートを受けながら、社内全体で協力したうえで進めましょう。
上場する年度
すべての準備を終えたら、証券取引所に上場申請を行います。上場する年度の大きな流れは以下のとおりです。
1.証券取引所の上場審査を受ける:最初に上場理由や事業内容などさまざまな質問を
受けるので回答します。以降も計3回ほどヒアリングが実施されます
2.必要書類の作成:上場審査と並行して、有価証券届出書・目論見書を作成します。
財務局のチェックを受け問題がなければ提出です
3.証券取引所から社長や監査役へのヒアリング:上場審査において複数回のヒアリングや
現地調査が実施され、最後には社長や監査役など責任者にヒアリングが行われます
4.上場承認
上場審査には2〜3ヶ月ほどかかります。このように上場は、時間・労力ともにかなり大きな作業です。
まとめ
会社を上場させるためには、多くの難しい条件をクリアする必要があります。3期以上という長い期間が必要なうえ、さまざまな専門知識が求められます。
今回上場の仕方について大まかな流れを解説しましたが、上場を検討している場合、まずは専門家への相談がおすすめです。専門家のアドバイスやサポートを受けることで、効率的かつ確実な上場準備を進めやすくなります。
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