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助成金とは?返済義務や給付金・補助金との違いについて

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社会の変化に対応することなどを目的に、以前よりも助成金や給付金、補助金などへの関心が高まっているという企業は多いのではないでしょうか。しかし、それらの違いや細かい内容については把握していないという方も少なくありません。 

そこで本記事では助成金の返済義務や利用できる制度の例、給付金・補助金との違いなどについて解説します。

なお、支給される条件や申請方法については、各制度の募集要項などもあわせてご確認ください。

目次[非表示]

  1. 1.助成金とは
    1. 1.1.助成金は返済義務がない
    2. 1.2.助成金を受ける条件
    3. 1.3.助成金の例
  2. 2.給付金とは
    1. 2.1.給付金の例
  3. 3.補助金とは 
    1. 3.1.補助金の例
  4. 4.助成金・給付金・補助金の共通点
    1. 4.1.返済義務がない
    2. 4.2.申請する必要がある
  5. 5.助成金・給付金・補助金の違い
    1. 5.1.支給の目的が異なる
    2. 5.2.審査がある
  6. 6.助成金申請の注意点
    1. 6.1.申請期限を確認する
    2. 6.2.制度内容の変更や廃止がある
    3. 6.3.不正受給はしない
    4. 6.4.雑収入として計上する
    5. 6.5.助成金の返済義務が生じるケース
    6. 6.6.助成金を不正受給した際のペナルティ
  7. 7.まとめ


助成金とは

助成金とは?返済義務や給付金・補助金との違いについて

助成金とは、国や地方自治体から法人・個人事業主などに支給されるお金を指します。中でも、国から受け取ることのできる助成金は以下の2つに分類できます。

  • 厚生労働省の管轄:雇用関係の助成金 
  • 経済産業省の管轄:研究開発関係の助成金

雇用関係の助成金は、高齢者や障害者を雇うなど特定の条件に該当した事業者に支給されるものであり、雇用の創出や労働環境の整備を主な目的としています。一般企業で助成金と言うと、多くの場合はこちらの助成金を指します。また、本記事でも雇用関係の助成金を中心に解説します。

それに対し、研究開発関係の助成金とは、新技術や新製品の研究開発を実施する際のサポートを主な目的としています。 

助成金は返済義務がない

事業を行う上で資金が必要になった際は、日本政策金融公庫や民間の銀行などから融資を受けます。しかし、それらの金融機関から受けた融資は利子を上乗せして返済しなくてはいけません。

それに対して多くの助成金は返済不要です。条件を満たす制度があれば、積極的に利用を検討しましょう。

助成金を受ける条件

助成金は制度によって受給するための条件が異なります。従業員の人数や売上、雇い入れる労働者の特徴などについて細かく定められているため、条件をよく確認した上で申請することが大切です。 


調査に協力する

助成金を申請した後、管轄の労働局による実態調査が行われ、現地調査の依頼がきた場合は協力する必要があります。調査に向けて整えておくべき体制は以下の通りです。

  • 現地調査に対応する
  • 必要な書類を提出する
  • 必要な書類を作成して保管している

書類の提出だけで済む場合もありますが、調査にスムーズな対応をするためにも、前もって体制を整えておきましょう。


労務管理を整備している

未払い賃金や必要な届出の有無など、労務管理面も助成金を受給する際の調査対象です。適切に労務管理ができていない場合、助成金が支給されないので注意しましょう。

しっかり管理しているつもりでも、残業代の計算方法が間違っていて、知らないうちに未払金が発生している事例が頻発しています。このような事態を避けるためにも、助成金を申請する前に専門家である社会保険労務士に確認してもらうとよいでしょう。


雇用保険適用事業所の事業主である

助成金は雇用保険料を財源として支給されるため、受給するには雇用保険への加入が必須です。しかし、雇用保険の適用事務所だった場合も、保険料の納付を滞納が発覚すると助成金を受給できない可能性があります。未払いの保険料がないことを確認してから申請してください。

厚生労働省や経済産業省のホームページでは募集中の助成金の検索ができます。気になる制度の募集要項や申請方法をチェックしてみましょう。


助成金の例

代表的な助成金の例を紹介します。

雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)

新型コロナウイルスの影響によって休業を実施する事業者に対して、休業手当にかかる金額の一部を助成する制度です。


特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

高齢者や障害者などを雇い入れる事業者が申請できる助成金です。ハローワークなどの紹介によって雇用すること、継続的に雇用することが確実であることなどの条件があります。

また、この他にも65歳以上の離職者を1年以上雇用するなどの条件によって助成が認められる「生涯現役コース」があります。 

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

短時間労働者や派遣労働者といった非正規雇用の労働者を正社員にした時に申請できる助成金です。

この他にも、基本給の賃金を増額した際の「賃金規定等改定コース」や、賞与・退職金制度を導入した際の「賞与・退職金制度導入コース」などがあります。


給付金とは

助成金とは?返済義務や給付金・補助金との違いについて

条件を満たした個人や事業者が、国や地方自治体に申請することで給付金を受けられます。子育て世帯や低所得世帯など、新型コロナウイルスや物価上昇などの影響を受けやすい個人向けの給付金が多くあります。

給付金の例

主な給付金の例を紹介します。

低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金

物価高騰などの影響を受けやすい低所得の子育て世帯に向けて、児童1人あたり5万円を給付する制度です。

住居確保給付金

主たる生計維持者が離職・廃業して2年以内であるなどの条件を満たした場合に、家賃の給付を受けられる制度です。



補助金とは 

助成金とは?返済義務や給付金・補助金との違いについて

補助金とは、国や地方自治体が法人や個人事業主、創業を検討している個人などを支援するものです。新規事業の立ち上げや事業継続の支援など、制度によってさまざまな目的があります。

補助金の例

主な補助金の例を2つ紹介します。

ものづくり補助金

中小企業が賃上げや働き方改革といった社会の変化に対応することを支援するための制度です。新サービスの開発にかかる費用や、生産性向上のための設備の導入にかかる費用などについての補助を受けられます。 

事業再構築補助金

新型コロナウイルスによって消費者の需要や売上に変化が生じる中で、中小企業などの事業再構築を目的として創設された補助金です。



助成金・給付金・補助金の共通点

助成金とは?返済義務や給付金・補助金との違いについて

条件に該当すれば給付されるものというイメージが共通しているため、助成金や給付金・補助金の違いがよくわからないという方もいるのではないでしょうか。本項では、これら3つの共通点について解説します。

返済義務がない

助成金・給付金・補助金は、国や地方自治体が支給するお金であり、一般的に返済が不要です。金融機関から融資や借入をする前に、これらの制度を利用できないかどうかチェックしてみましょう。

申請する必要がある

助成金・給付金・補助金は、いずれも受給するための申請を行う必要があります。申請を行わなければ、受給できるはずのお金が受給できません。 厚生労働省や自治体のホームページなどをチェックし、積極的に情報を集めることが重要です。

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助成金・給付金・補助金の違い

助成金とは?返済義務や給付金・補助金との違いについて

助成金・給付金・補助金の相違点を、支給の目的と審査の有無の2つのポイントから解説します。

支給の目的が異なる

内容
目的
助成金
雇用関係・研究開発関係における支援を行う
給付金
より広い意味で使われる
補助金
新規事業の創出や、新商品・新サービスの開発、経営の安定化などに対する支援を行う

厳密に言うと、助成金・給付金・補助金は支給の目的が上記のように異なります。

一般的なビジネスシーンの多くは、助成金はハローワークなどが関連した雇用関係の制度として捉えられます。

補助金は中小企業や個人事業主を主な対象として、経営的な側面からサポートする意味合いが強い制度と言えます。受け取ったお金は設備投資や販路の拡大などに使われることが一般的です。

また、給付金は事業者だけではなく一般の個人に対しても支給されるものであり、より広い意味合いを持つ言葉と言えるでしょう。

審査がある

内容
審査の有無
助成金
なし
給付金
なし
補助金
あり

助成金・給付金は、条件を満たしていれば基本的に受給できます。特に助成金は雇用に関するものが多いため、人員計画を策定していれば、事業計画にも組み込めます。

しかし、補助金は申請しても必ず受給できるわけではなく、審査を行って評価が高い順に受給される仕組みとなっています。補助金の受給は比較的難易度が高いことから、専門家に申請を依頼することもあります。



助成金申請の注意点

助成金とは?返済義務や給付金・補助金との違いについて

最後に、助成金を申請する上で大切な点について、4つのポイントから解説します。 

申請期限を確認する

助成金には申請期限が定められているものがあるため、事前に確認を行いましょう。

申請のためにはさまざまな種類を提出することが求められることが一般的です。例えば、雇用保険関係の助成金を申請する際は、各制度に応じた申請書はもちろん、就業規則の写しや賃金台帳の写し、タイムカードの写しなどを求められることがあります。

申請書を記入したり、社内の担当者から書類を集めたりといった作業に時間がかかります。申請の準備は余裕をもって行いましょう。

制度内容の変更や廃止がある

雇用関係の助成金は主に社会の課題に対応するために支給されるものであり、就職の困難や新型コロナウイルスによる休業など、その課題もさまざまです。

そのため、社会の変化にあわせて助成金の制度が変更や廃止・受付終了となる可能性があることを覚えておきましょう。 

不正受給はしない

受給する条件を満たしていないのにもかかわらず、誤った情報を使って受給すると不正受給とみなされます。また、実際に受給していなくても、受給しようとしただけで不正受給とみなされるので注意しましょう。

不正受給が発覚した場合、受給した金額にペナルティを上乗せした金額を返還しなくてはいけません。また、不正受給を行った事業所名などが公表され、社会的信用も失うことになります。

意図せず誤った情報で受給してしまった場合にも、申請した機関に連絡して対応方法を確認することが重要です。

雑収入として計上する

助成金は売上高として計上するのではなく、雑収入として計上します。事業活動で得た売上とは別と考えるため、消費税の課税対象とはなりません。

例えば、普通預金に50万円の助成金が振り込まれた場合には、下記のように計上します。

借方
貸方
普通預金 500,000
雑収入 500,000

なお、助成金は支給が決定されても実際に入金があるまで数ヶ月かかることが一般的です。決算期をまたぐ場合には、下記のように一旦未収入金として計上する方法があります。

借方
貸方
未収入金 500,000
雑収入 500,000

会計年度が切り替わり、助成金が振り込まれた場合には、以下のように未収入金を消す仕訳を行いましょう。

借方
貸方
普通預金 500,000
未収入金 500,000


申請から受給までに日数がかかる

所定の書類を提出し、現地調査の協力が完了しても、実際に助成金が振り込まれるまでに数ヶ月かかることは珍しくありません。助成金がなくても問題ない資金計画を立て、余裕を持って申請するようにしましょう。


助成金の返済義務が生じるケース

前述のように、原則として助成金には返済義務がありません。しかし、申請する際に事実と異なる報告を行った場合には、助成金を返済しなければなりません。

助成金の返済義務が生じるのは以下のようなケースです。

  • 出勤簿や賃金台帳を改ざんして虚偽の申告を行った
  • 申請時の事業計画とは異なる機械や設備を購入した
  • 実際には開催していない訓練や研修を行ったように報告した
  • 従業員を休業せていないにもかかわらず、休業手当を申請した
  • 架空請求を行ったり、領収書を改ざんしたりして経費を水増しした

いずれも不正受給にあたり、ペナルティを受けることになります。


助成金を不正受給した際のペナルティ

助成金の不正受給は刑法246条の詐欺罪に当たる可能性があり、ペナルティを受けることになります。不正受給に伴うペナルティは、2019年4月1日より厳罰化されました。

都道府県労働局は不正受給対応について警察と連携を図り、積極的な調査を行っています。不正の内容が悪質な場合は刑事告発も行っているので、不正受給は絶対に行わないようにしましょう。

現在、罰則として5つの処置をとることが公表されています。

参照;雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金を申請される事業主や従業員の皆さまへ


事業所や代表者名を公開される

不正受給が発覚したら、該当する事業所名や代表者名を都道府県労働局のホームページで公開されてしまいます。上記以外にも不正受給額と不正内容も同時に公開され、誰からも不正を図ったことが確認できるため、社会的信用を損なってしまうでしょう。

また、都道府県労働局が実態を調査している段階では、予告なしに事業所訪問や立入検査を実施するケースもあります。


介入した社会保険労務士や代理人の情報を公開される

事業所以外にも、不正受給を指南した社会保険労務士や代理人の情報も都道府県労働局のホームページに公開されます。他人事では済まされないので、決して不正受給を促すような行為は避けましょう。


5年間の不支給措置を受ける

雇用調整助成金のみならず、ほか全ての雇用関係助成金も5年間の不支給措置を受けることになります。つまり、本来は不正をしておらず、受けられるはずだった助成金すら支給されなくなるのです。

複数の助成金を頼りにしていた場合、たちまち会社の資金繰りが立ち行かなくなります。すると、従業員の生活にも影響を及ぼし、深刻な事態に陥るのは明らかです。


助成金は全額返金させられる

不正受給した助成金は全額返済が求められます。もし、受給後に機械や設備の投資に利用していた場合、手元に資金が残っていないのに返済義務を請け負わねばなりません。


不正受給額の20%相当額を罰金で支払う

前述の全額返済のみならず、不正受給額の20%相当額を上乗せして罰金として支払う必要があります。助成金の内容によって、受給額は数百万から数千万円単位の金額になるでしょう。その20%となれば、決して安い金額ではないことは容易に想像ができます。


まとめ

助成金とは?返済義務や給付金・補助金との違いについて

今回紹介した制度は、経営に課題を抱えている場合はもちろん、新たな事業を始める場合や、設備などに投資する場合など、幅広いケースに対応しています。東京都はこの他にもさまざまな助成金を提供しているため、利用できる制度がないかチェックしてみましょう。

公認会計士監修の経理・財務業務サポートサービスを提供している『グランサーズ株式会社』では、資金調達を含めた経理業務のご相談も承っています。補助金・助成金の紹介やご相談にも対応しています。経理業務の効率化などのお悩みがある場合も、気軽に問い合わせてみましょう!税理士法人が母体の会社なので、専門性の高い相談にも対応してくれますよ。


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監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
慶応義塾大学商学部卒。監査法人トーマツにて会計監査、株式上場支援、企業の経営改善支援に従事。平成24年筧公認会計士事務所(現:税理法人グランサーズ)を開設。常に現場に入り、経営者とともに課題に取り組み、経営者と常に相談しながら経営者のニーズに応え、解決策を導き出すことをモットーにしている。スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。東京商工会議所専門家エキスパート、セミナー実績多数。経営者向け人気YouTubeチャンネル「社長の資産防衛チャンネル」にも出演中。
グランサーズグループに興味を持っていただけたという方は、お気軽にご相談ください。
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