
法人税が免除される条件は?消費税も2年間免除が可能
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株式会社などの法人は、事業活動を通じて利益を得ると法人税を納める必要があります。法人が納める税金の種類を把握して、どのような場合に税金を納めるのかを理解しておきましょう。
一方で、赤字決算となる場合は法人税が免除されます。条件を満たせば消費税も2年間の免除が適用されます。この記事では、法人税や消費税が免除される条件について詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.法人税の基本
- 2.法人税の支払いが免除されるケース
- 2.1.法人税法上の所得が赤字(マイナス)の場合
- 2.2.赤字でも免除されない税金
- 3.欠損金の繰越控除
- 3.1.赤字の場合は翌年に繰越
- 3.2.翌年黒字の場合は控除
- 3.3.10年間の繰越期間が認められている
- 4.消費税の免除
- 5.新型コロナウイルス感染症における措置
- 6.法人税が免除されるケースを把握して税負担を軽くしよう
法人税の基本
法人税とは、事業活動を通じて得られた所得に応じて、各事業年度でかかる税金のことです。株式会社などの法人は法人税以外にも、地方法人税・法人住民税・法人事業税などを負担することになっており、これらの税金をまとめた税率を「実効税率」と呼びます。
また、消費税については黒字決算でも赤字決算でも納める必要がありますが、一定の条件を満たすことで免除される仕組みがあります。税金には、免除・猶予・優遇・減免といった言葉がありますが、違いをまとめると以下のとおりです。
税制上の措置 |
言葉の意味 |
免除 |
納税義務がなくなるので、税金を納める必要がない |
猶予 |
一定の条件を満たすことで、期限内に納めるべき税金の納付期限を後ろ倒しにできる |
優遇 |
一定の条件を満たせば、税額が引き下げられる、中小企業の税制優遇等 |
減免 |
税金を軽減または免除するという意味。災害時による減免制度など |
税金の計算においては、納めるべき税金の種類や税額を把握するだけでなく、どのような場合に税制上の措置がとられるのかを理解しておきましょう。
法人税の支払いが免除されるケース
法人税の支払いが免除されるケースとしては、法人税法上の課税所得がマイナスとなる場合があげられます。ただし、赤字であっても免除されない税金もあるので、免除されるものとそうではないものを把握しておくことが重要です。
法人税法上の所得が赤字(マイナス)の場合
法人が事業活動を通じて得た利益が赤字となる場合、法人税は免除されます。気をつけておきたいポイントは、企業会計で赤字であっても、法人税法上の課税所得がある場合は法人税が免除されない点です。
企業会計では「収益-費用」で利益額が決まりますが、税務会計においては「益金-損金」という考え方であるため、決算が赤字だからといって税法上も所得がマイナスになるとは限らないのです。企業の活動としてかかった経費を費用として計上できますが、それらの費用のすべてが損金として認められるわけではありません。
法人税が免除となるかどうかは、法人税法のルールに沿って計算したときに把握できるので、税理士に相談したうえで納税の有無を判断しましょう。
赤字でも免除されない税金
法人税が免除となった場合でも、そのほかの税金が赤字を理由に免除されるわけではありません。課税所得がマイナスとなっても支払う税金として、「法人住民税の均等割」と「消費税」があげられます。
法人住民税の均等割は、たとえ赤字であっても納める税金であり、東京都の場合は資本金が1,000万円以下で従業員数が50人以下の中小法人であれば7万円となっています。また、消費税についてはいわゆる預かり税と呼ばれるものであり、事業者が顧客から預かった消費税は仕入れとして支払った消費税を差し引いて納税する必要があります。
赤字決算となる時期は、企業としても資金繰りが悪化しやすいタイミングです。赤字でも納める税金があることを正しく把握して、納税時に困らないように準備しておきましょう。
欠損金の繰越控除
欠損金とは、法人税を計算する際に所得が赤字となった部分のことを指します。青色申告の承認を受けている法人では、欠損金を一定期間繰り越して、将来の黒字分と相殺することが認められています。
2018年(平成30年)以降に開始する事業年度からは繰越期間が10年間となっており、資本金が1億円以下の中小企業では繰越欠損金の全額が認められている点を押さえておきましょう。
赤字の場合は翌年に繰越
税金面から見た場合、企業の所得が赤字となるときは欠損金を翌年以降に繰り越すことができます。そのため、赤字幅が大きいほど翌年以降も税負担が軽くなる可能性があります。
赤字や黒字を意図的にコントロールすることはできませんが、繰越欠損金があることで来期以降の経営を見通すうえで役立つものだと言えます。
翌年黒字の場合は控除
欠損金が発生し、翌年黒字となった場合は当期の黒字と過去の赤字を相殺できます。相殺した後の黒字に対して課税されるため、相殺分が大きいほど税負担は軽減されます。
また、黒字額よりも赤字額が大きければ、その年の法人税は発生しません。相殺できなかった赤字は、翌年以降に繰越欠損金として処理します。
10年間の繰越期間が認められている
欠損金について以前は9年間の繰越が認められていましたが、2016年(平成28年)の税制改正によって1年延長されており、2018年以降は10年間の繰越が認められています。税制改正は頻繁に行われるものであるため、国税庁のホームページなどで最新の情報を把握しておきましょう。
消費税の免除
消費税は商品やサービスを購入したときに課せられる税金ですが、事業者が直接負担するものではありません。あくまで消費者が負担するものであり、事業者自身も仕入れなどで消費税を支払います。
そのため、消費者から預かった金額から事業者が支払った金額を差し引いたものを消費税として納めることになります。消費税は決算が赤字の場合でも納める必要があるので、注意が必要な税金だと言えるでしょう。
一方で、特定の条件を満たす場合には消費税が免除されることがあります。具体的には、新たに設立された法人については、設立1期目は、資本金が1,000万円未満であれば原則として消費税は免除されます。
2期目においては、資本金1000万円未満であることに加え、一期目の上半期の課税売上高が1,000万円以下であるか、または同期間の給与等の支払総額が1,000万円以下である場合は、特例により消費税が免除されます。どちらの条件を選択するか、会社の判断となります。
気になる場合は最寄りの税務署に相談をしてみましょう。
新型コロナウイルス感染症における措置
新型コロナウイルスの感染拡大によって、さまざまな業種で経営環境が悪化している傾向が見られます。厳しい経済環境の中にあって、日本においても緊急経済対策として、税制上の優遇措置が数多くとられています。
「欠損金の繰戻しによる還付制度の特例」は、資本金が1~10億円以下の企業において、2020年(令和2年)2月1日から2022年(令和4年)1月31日までの事業年度に生じた欠損金について、繰戻しによる還付制度の適用が認められています。
また、「テレワーク等のための中小企業の設備投資税制」では、中小企業がテレワークなどを行う上での税制上の優遇措置がとられています。具体的には、中小企業経営強化税制の対象に組み入れられており、設備投資の一定額を税額控除することが可能です。
税金の特例制度を上手に活用することで、税負担を軽減してみましょう。
法人税が免除されるケースを把握して税負担を軽くしよう
法人税は事業活動を続けていれば、基本的に納めるべき税金です。しかし、決算が赤字となる場合には納税が免除され、青色申告の承認を得ていることで欠損金として翌年以降にも赤字額を繰り越せます。
税負担を軽減するには、日頃から正しく会計処理を行っておくことが重要です。オンラインアシスタント・秘書サービスの「SUPPORT+iA(サポーティア)」では経理などバックオフィス業務をサポートするサービスを数多く提供しているので、ぜひ活用してみてください。
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