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法人税における課税対象となる所得と計算方法

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初めて決算を迎える場合、法人税をどれくらい納める必要があるのか気になるものです。法人税には種類があり、また課税対象となる所得についても把握しておく必要があります。

この記事では、具体例をもとに法人税の計算方法を解説します。また、軽減措置や節税対策についても紹介するので、必要に応じて活用してみましょう。

目次[非表示]

  1. 1.法人税はどのように決まる?
  2. 2.法人税の課税所得
    1. 2.1.企業会計と税務
    2. 2.2.所得税との違い
    3. 2.3.申告・納付期限
    4. 2.4.課税対象外の法人
  3. 3.法人税の算出
    1. 3.1.法人税率
    2. 3.2.軽減措置
  4. 4.収益が赤字(マイナス)の場合
  5. 5.法人税の課税対象額を減らす節税対策
    1. 5.1.損金を増やす
    2. 5.2.特別控除の適用を受ける
  6. 6.法人税の仕組みを正しく理解して適切な処理を行おう


法人税はどのように決まる?

法人税はどのように決まる?

法人税とは、株式会社などの法人が事業活動によって得られた所得に対して、事業年度ごとにかかる税金を指します。ルールに沿って法人税額を計算し、税務署に対して申告と納税を行います。ここでは、法人税がどのように決まるのかをわかりやすく解説します。

なお、企業が納める税金は法人税以外にも、地方法人税・法人住民税・法人事業税などがあり、これらをまとめたものを「実効税率」と呼びます。


法人税の課税所得

法人税の課税所得

法人税の課税対象となるのは、法人が事業を通じて得た各事業年度の所得です。得られた所得にそのまま課税されるわけではなく、税法上のルールにもとづいて課税所得を計算します。


企業会計と税務

事業活動は日々の会計によって成り立っており、得られた収益から事業を行うためにかかった費用を差し引いたものが、企業会計における利益となります。法人税は企業会計上の利益に課税されるものではなく、所得金額(益金-損金)に対して課税される仕組みです。

益金とは法人の資産を増やす収益のことを指し、損金は法人の資産を減少させる原価や費用、損失を指します。企業会計上の利益と法人税法上の所得は、必ずしも一致するものではありません。

これは費用として計上できるものと、損金として認められているものが異なるからであり、法人税の計算では税務調整を行ったうえで所得金額を計算します。


所得税との違い

所得税が個人所得にかかる税金であるのに対し、法人税は法人所得にかかる税金です。所得税では累進課税制度が採用されているため、利益が増えるほど税金は高くなっていきます。

一方、法人税の場合は企業規模によって税率が定められているのが特徴です。ただし、法人の場合はすべての取引に関して会計帳簿を作成する必要があり、個人の場合と比べて税金の計算は複雑になります。


申告・納付期限

法人税は定款によって定めた事業年度をもとに、申告と納税を行います。事業年度とは会計期間のことを指し、法人の利益を計算するために一定期間ごとに区切られています。

申告には「中間申告」と「確定申告」があり、それぞれ申告するタイミングは異なります。中間申告は事業開始日から6ヶ月が経過した日から2ヶ月以内に行うもので、確定申告は事業年度が終了した日の翌日から数えて2ヶ月以内に税務署に申告を行うものです。

法人税の納付期限は、確定申告の申告期限と同様に事業年度が終了した日の翌日から数えて2ヶ月以内となっています。


課税対象外の法人

法人税の課税対象外となる法人は、公共法人・公益法人・人格のない社団等です。公共法人とは、地方公共団体・国立大学法人・日本年金機構・日本放送協会などを指します。

公益法人とは、社団法人・財団法人・学校法人・宗教法人・社会福祉法人などです。そして、人格のない社団等とはPTA・マンションなどの管理組合などが当てはまります。

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法人税の算出

法人税の算出

法人税の計算は、「課税所得×税率」というシンプルな形で成り立っています。課税所得は前述のとおり、益金から損金を差し引いたものです。

そして、法人税率は企業規模や事業年度の所得金額によって異なります。例えば、資本金が1億円以下の中小法人の場合であれば、所得金額が年800万円以下の部分については税率が15%となっています(2021年4月現在)。

仮に所得金額が500万円であった場合、法人税率は15%となるので計算式は次のとおりです。

課税所得500万円×法人税率15%=75万円(法人税額)

上記のケースでは法人税額は75万円となりますが、確定申告において各種控除が適用される場合もあるため、税負担が軽減されることもあります。後述する特別控除などの点も押さえて、正しく税額を計算してみましょう。


法人税率

法人税は所得税とは異なり、固定税率(比例税率)が適用されます。法人の規模や種類によって税率は異なります。


法人の区分

所得金額
法人税率
普通法人
資本金が1億円以下
年800万円以下の部分
15%
年800万円を超える部分
23.2%
上記以外

23.2%
公益法人等
年800万円以下の部分
15%
年800万円を超える部分
23.2%
協同組合等
年800万円以下の部分
15%
年800万円を超える部分
19%
人格のない社団等
年800万円以下の部分
15%
年800万円を超える部分
23.2%

参考:【国税庁】法人税の税率

上記の表は2019年4月1日以降に事業を開始した場合の法人税率です。税制は毎年のように変更がある部分なので、国税庁のホームページなどで最新の情報を確認してみましょう。


軽減措置

株式会社などの普通法人で見た場合、資本金が1億円以下のいわゆる中小企業では税率が軽減されます。資本金が1億円を超える企業の法人税率は23.2%ですが、中小企業で所得金額が年800万円以下の部分については法人税率が15%となります。

所得金額が年800万円を超える部分については23.2%となりますが、税負担の軽減措置があることで企業経営にプラスとなる部分があるでしょう。​​​​​​​



収益が赤字(マイナス)の場合

収益が赤字(マイナス)の場合

法人税は課税所得をもとに計算されるものなので、そもそも収益が赤字の場合に法人税は発生しません。地方自治体に納める法人住民税の均等割や消費税などは、赤字、黒字にかかわらず納めなければならないものですが、法人税に関していえば赤字の場合はかからない点を押さえておきましょう。


法人税の課税対象額を減らす節税対策

法人税の課税対象額を減らす節税対策

法人税は所得金額に応じて課されるものなので、税法上認められている範囲で所得金額が減らせれば、結果的に税負担を軽減することにつながります。具体的な方法としては、「損金を増やす」か「特別控除の適用を受ける」かなので、それぞれのポイントを紹介します。


損金を増やす

課税所得は「益金-損金」で計算されるため、損金が増えれば課税所得が減り、法人税額も減ることになります。しかし、損金として認められるものは決まっているので、税法上のルールに沿って適切に処理をする必要があります。

損金としての計上が認められているものとしては、以下の項目があげられます。

  • 赤字を繰り越す(青色申告の承認が必要)
  • 在庫の整理(廃棄証明書などが必要)
  • 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)に加入し、保険料を支払う
  • 社員旅行の費用を損金として計上する(参加者・場所・費用などの記録が必要)
  • 決算賞与を未払い費用として計上する(損金算入の条件あり)


特別控除の適用を受ける

特別控除とは具体的には、「雇用促進税制」や「中小企業投資促進税制」などがあげられます。要件をクリアすることで、特別控除として課税所得から差し引けるので法人税の負担を軽減することにつながるでしょう。




法人税の仕組みを正しく理解して適切な処理を行おう

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法人税は事業活動を続けるかぎり、毎年計算しなければならない税金なので、基本的なルールをきちんと把握しておく必要があります。そして、正しく税金の計算を行うには日々の経理処理が重要になります。

オンラインアシスタント・秘書サービスの「SUPPORT+iA(サポーティア)」では経理などのバックオフィス業務をサポートしており、企業の事業活動に役立つサービスを展開しています。日々の経理処理を正確に行うためにも、ぜひサポーティアを活用してみてください。


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監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
慶応義塾大学商学部卒。監査法人トーマツにて会計監査、株式上場支援、企業の経営改善支援に従事。平成24年筧公認会計士事務所(現:税理法人グランサーズ)を開設。常に現場に入り、経営者とともに課題に取り組み、経営者と常に相談しながら経営者のニーズに応え、解決策を導き出すことをモットーにしている。スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。東京商工会議所専門家エキスパート、セミナー実績多数。経営者向け人気YouTubeチャンネル「社長の資産防衛チャンネル」にも出演中。
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