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法人税を減税することで受けられるメリット

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企業などの法人が事業活動を通じて得られた利益に課せられるのが法人税です。法人税の負担が軽減することでさまざまな面で経営を行いやすくなるというメリットがありますが、一方でデメリットもあるので注意が必要です。

この記事では、法人税のメリット・デメリットやコロナ禍における納税猶予の特例などを解説します。

目次[非表示]

  1. 1.法人税の現状
    1. 1.1.法人税の税率
    2. 1.2.減税の推移と現状
    3. 1.3.海外との比較
  2. 2.減税するメリット
    1. 2.1.利益が上がる
    2. 2.2.法人が増える
    3. 2.3.海外流出の歯止め
    4. 2.4.海外企業の日本への投資
  3. 3.減税による影響とデメリット
    1. 3.1.法人税の税収減
    2. 3.2.企業間の競争が激しくなる
  4. 4.コロナ禍における納税猶予の特例
  5. 5.法人税が減税されるメリットを把握して企業の成長につなげよう


法人税の現状

法人税の現状

事業活動を行っている法人であれば、何らかの形で毎年法人税について考える必要があります。まずは、法人税の現状を把握するために、税率や減税の状況などを見ていきましょう。


法人税の税率

株式会社などの普通法人の場合、資本金の金額に応じて一定額が法人税として課税されます。企業会計においては、事業年度に得られた収益から費用を差し引けば利益を計算できますが、税務上は益金から損金を差し引くことで所得金額を計算します。

そのため、事業活動で支払ったすべての費用が損金となるわけでないので、課税所得の計算では注意が必要です。資本金が1億円以下の普通法人であれば、年間800万円以下の所得については法人税の税率は15%となっています。

年間800万円を超える部分については、23.2%(開始事業年度が平成31年4月1日以降の場合)です。法人税の申告は事業年度が終了した翌日から数えて2ヶ月以内に所轄税務署に対して行うので、日頃の会計処理を正しく行っておくことが大切です。


減税の推移と現状

日本の法人税は、諸外国が引き下げを行っている影響もあり、年々低下傾向にあります。1984(昭和59)年は43.3%でしたが、2018(平成30)年には23.2%にまで引き下げられています。

法人税とそれ以外の税金を含めた国・地方の法人実効税率は29.74%であり、ドイツなどの国と同水準です。しかし、日本よりも実効税率が低い国も多くあり、さらに税制改革が行われる可能性があります。


海外との比較

事業活動は国内にかぎったものではなく、グローバリゼーションの流れの中でさまざまな地域でビジネスが展開されています。そのため、法人税が低い国は企業を誘致しやすくなるので、諸外国と比べてどの程度の税率であるか、今後も引き下げる予定があるのか、を把握することが大切です。

実効税率について財務省が取りまとめた資料によれば、日本はドイツと同程度ではありますが、フランス26.5%・アメリカ27.98%・カナダ26.5%・イタリア24.0%などと比べるとまだ高いともいえます。イギリス19.0%・シンガポール17.0%と比較すれば、まだ高い水準にあるため、さらに引き下げを行えるかがポイントとなります。




減税するメリット

減税するメリット

法人税の負担が減れば、企業などの法人にとってはそれだけ手元に残るお金が増えるので、経営にとってプラスになる部分が多いといえます。ここでは、法人税を減税するメリットについて4つの点を解説します。


利益が上がる

法人税の負担が減れば、税引き後に残る資金が増えるため、利益が上がることになります。さまざまな投資を行ったり、経営の安定化につなげたりできます。

国としても法人税を引き下げることは必ずしもマイナスになるわけではありません。法人税を減税しても、法人税収に対する国内総生産(GDP)は増加する「法人税のパラドックス」という現象が実証されています。

課税ベースを広く薄く求めることで、法人税を減税したとしても税収が減少せず、むしろ増加する仕組みを指します。減税によって企業が事業活動に取り組みやすい環境を整えることで、企業の利益が増えると同時に国の法人税収も増える仕組みだといえます。


法人が増える

法人税が減税されることで企業が稼ぎやすい環境が整えば、新しく法人を設立する方の増加が期待できます。すでに事業を展開している企業も、新規分野への進出を行うケースが増えていきます。

また、個人事業主が法人化することで、法人税収の増加も期待できる面があるでしょう。多くの法人が生み出されることは雇用者数の増加にもつながり、経済全体として良い効果をもたらすはずです。


海外流出の歯止め

以前は日本の法人税率が高い水準にあったため、国内企業が海外に移転をするといった現象が多く見られていました。国内企業は日本よりも海外に対する投資に積極的で、産業の空洞化が懸念されていたといえます。

法人税を減税することは、製造業などの企業を国内に留めるきっかけとなり、海外に流出する歯止めになるでしょう。


海外企業の日本への投資

法人税が低下することで、海外に拠点を置く企業が日本に進出してくる可能性を期待できます。日本はGDPに対する海外からの投資割合は諸外国と比べて低い水準にあるため、法人税の引き下げによって投資を呼び込むことは国としても重要な課題です。

海外から積極的な投資が行われることで、日本経済そのものの成長率の上昇につながるといわれています。一定の国際競争力を保つためにも、法人税の水準を見直すことは大切なポイントなのです。

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減税による影響とデメリット

減税による影響とデメリット

法人税の減税は企業だけでなく、国にとってもプラスの効果がありますが、一方で減税を行うことでマイナスの影響が出てしまう部分もあります。どのような影響があるのかを解説します。


法人税の税収減

法人税の引き下げは中長期的な視点では日本経済の活性化につながりますが、短期的には税収減につながります。法人税の不足分を補うために代替財源が必要であり、他の税金が高くなったり、国債の発行によってまかなったりする必要があるでしょう。

急激な法人税の引き下げは、代替財源へのしわ寄せにより、国や企業の負担がかえって大きくなる面もあるので、適正な水準を見定めていくことが重要だといえます。


企業間の競争が激しくなる

法人税の引き下げによって、日本に進出してくる海外企業が増える可能性がありますが、一方でライバルとなる企業も増えるので注意が必要です。企業間の競争が激しくなることで経済全体は活性化しますが、競争に勝つための体制を整えていく必要があるでしょう。

また、インターネットが普及している現代において、日本人が行っている仕事を外国の方が担うといったことも考えられます。雇用を継続させる取り組みをどのような形で行うかを経営する側も考える必要があるでしょう。



コロナ禍における納税猶予の特例

コロナ禍における納税猶予の特例

2020年頃から新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの企業で経営へのダメージが出てきています。コロナ禍の影響によって事業収益が悪化した企業に対して、法人税などの国税の納付を猶予する特例制度が設けられるなど、国からの支援策が行われています。

今後の状況次第ではありますが、税制上の支援措置は随時決められるものであるため、国税庁のホームページなどで最新情報をチェックしてみましょう。




法人税が減税されるメリットを把握して企業の成長につなげよう

法人税が減税されるメリットを把握して企業の成長につなげよう

事業活動を継続するかぎり、法人税などの税金の支払いは毎年行うものです。しかし、経理や財務といった業務の負担が大きくなれば、日々の業務にも影響が出る部分があるでしょう。

経理・財務に関する社内リソースが不足していると感じるときは、オンラインアシスタント・秘書サービスの「SUPPORT+iA(サポーティア)」がおすすめです。公認会計士が監修しており、専門性の高い業務も安心してお任せいただけます。

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監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
監修|筧 智家至(公認会計士・税理士)
慶応義塾大学商学部卒。監査法人トーマツにて会計監査、株式上場支援、企業の経営改善支援に従事。平成24年筧公認会計士事務所(現:税理法人グランサーズ)を開設。常に現場に入り、経営者とともに課題に取り組み、経営者と常に相談しながら経営者のニーズに応え、解決策を導き出すことをモットーにしている。スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。東京商工会議所専門家エキスパート、セミナー実績多数。経営者向け人気YouTubeチャンネル「社長の資産防衛チャンネル」にも出演中。
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