海外送金手数料は消費税の対象?消費税の仕組みや海外送金手数料の扱いなどを解説
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海外送金の際に発生する手数料は、国内送金の手数料と異なる性質を有します。金額の大きさをはじめ、手数料の種類に細かな分類がある点も特徴です。また海外送金手数料を支払う際には、消費税についても押さえておく必要があります。
消費税は課税対象が厳格に定められており、条件のひとつに「国内取引」が存在します。海外送金手数料をはじめ、国外との取引に際して発生する費用は、消費税の有無に注意が必要です。本記事では海外送金手数料の消費税について解説します。
※送金方法には「銀行振込」「現金書留」「為替手形の使用」などいくつかの種類が存在しますが、本記事では「銀行振込」のみを扱います。
目次[非表示]
- 1. 海外送金手数料の消費税有無を確認する前に
- 1.1.送金手数料
- 1.2.為替手数料
- 1.3.コルレス手数料
- 1.4.リフティングチャージ
- 2.海外送金手数料は消費税の課税対象ではない
- 2.1.消費税の課税対象になる条件
- 2.2.国内取引の判定基準
- 2.3.海外送金を引き出す際の手数料は消費税の課税対象
- 3.まとめ
海外送金手数料の消費税有無を確認する前に
海外送金の際に発生する手数料として、主に以下の4種類が挙げられます。
・送金手数料
・為替手数料
・コルレス手数料
・リフティングチャージ
それぞれの概要や大まかな相場について解説します。
送金手数料
送金手数料とは文字通り、送金元の金融機関で支払う手数料です。国内への送金時に発生する手数料と似た性質を有します。
ただし国内送金における送金手数料は一般的に無料〜数百円程度ですが、海外送金では数千円かかるケースも珍しくありません。参考として、国内の主な金融機関5つの海外送金手数料を紹介します。(2022年8月時点の情報)
・三井住友銀行(他行宛):窓口7,500円、ネットバンキング3,500円
・三菱UFJ銀行(他行宛):店頭窓口7,500円、テレビ窓口6,500円、ネットバンキング3,000円
・みずほ銀行(他行宛):8,500円
・りそな銀行:店頭窓口7,500円、アプリ2,000円
・ソニー銀行:3,000円
このように海外送金では、送金手数料だけでも大きな支出が発生します。
為替手数料
為替手数料は海外送金に際して、送金先の通貨に両替するうえで発生する手数料です。為替手数料の金額は金融機関によって異なりますが、以下いずれかの方法で設定されるケースが多くみられます。
・1単位あたり○円と上乗せ:1米ドルあたり2円など、上乗せして請求する方法です。
この場合、たとえば1米ドル130円のときに送金しようとすると、1米ドル132円で
計算・両替となります
・送金金額に一定割合を乗じる:送金金額の1/20%など、一定の割合を為替手数料に
設定する方法です。この方法では多くの場合に最低金額が設定されています
・送金額に関わらず定額:アプリやネットバンキングで多くみられる方法です
金額に限らず一定の場合を除き、送金額が大きくなるにつれ、為替手数料も高額になっていきます。
コルレス手数料
コルレス手数料とは、中継銀行での手続きに際して発生する手数料です。中継銀行手数料とも呼ばれます。
日本国内では原則として、日本銀行を経由して銀行から別の銀行への振込が行われます。たとえばA銀行からB銀行へ送金する場合、A銀行が有する日本銀行の口座から引き落としが行われ、そのお金がB銀行に振り込まれるという仕組みです。
一方で海外の銀行同士は直接的なつながり(取引関係)がなく、このように円滑な送金ができないケースが多いです。銀行同士のつながりがなければ、口座から口座へ直接の振込ができません。そこで中継銀行が登場します。
送金元の銀行と送金先の銀行の間に、両者とつながりを持つ別の銀行が仲介として入ることで、つながりのない銀行へも送金ができるのです。
コルレス手数料の額は中継銀行の場所や数によって大きく変わります。送金段階では経由する銀行の数や中継銀行で実施する手続きの詳細が不明なため、コルレス手数料の正確な額も確認できません。
リフティングチャージ
リフティングチャージとは両替をせず、同一通貨で海外に送金する場合に必要となる手数料です。為替手数料が発生しない代わりに発生する手数料といえます。
リフティングチャージの金額は、為替手数料と同じ方法で設定されているケースが多いです。そのため為替手数料とリフティングチャージの金額に大きな差はありません。
海外送金手数料は消費税の課税対象ではない
海外送金手数料として4種類を紹介しました。そして、これらの費用はいずれも消費税の課税対象ではありません。すなわち海外送金手数料には消費税が課されないのです。
消費税に限らず、あらゆる税金は課税対象となる条件が細かく設定されています。海外送金手数料が消費税の課税対象にならない理由について詳しく解説します。
消費税の課税対象になる条件
消費税の課税対象になるのは、以下4つの条件すべてを満たした取引です。
・資産の譲渡、資産の貸付及び役務の提供:商品や製品などの販売、資産の貸付け
およびサービスの提供など、幅広い取引が当てはまります
・国内取引:日本国内で実施・完結する取引が対象です
・事業者が事業として行うもの:個人が生活に使用していた家財などを売却した場合
は、事業として行う取引とはみなされず、消費税の課税対象外となります
・対価を得て行うもの:寄付金や補助金など、対価性のない取引は消費税の対象外です
海外送金手数料は、一見すると4つの条件すべてを満たした取引です。しかし消費税法において、外国為替業務は非課税と明記されています。国税庁のホームページで確認できる非課税取引のなかにも、外国為替が挙げられています。
海外送金手数料は消費税の課税対象となる条件を満たしているものの、例外的に非課税と設定された取引といえるでしょう。
なお消費税の性質および社会政策的な理由から、非課税取引とされている取引はほかにも多く存在します。非課税取引の代表例として、住民票や戸籍謄本などの発行における手数料や社会保険医療などが挙げられます。
国内取引の判定基準
先ほど「海外送金手数料は一見すると、4つの条件すべてを満たした取引」と触れました。しかし海外送金手数料は名前に「海外」が入っているため、国内取引に該当しないと感じる方も多いのではないでしょうか。消費税の課税対象を判断するうえで重要な、国内取引の判定基準について解説します。
国内取引の判定を行う方法は、資産の譲渡または貸付の場合と、役務提供の場合で異なります。主なポイントはそれぞれ以下のとおりです。
資産の譲渡または貸付の場合:譲渡または貸付が行われるときの資産の所在地。対象の資産が船舶や航空機、特許権などの権利の場合、登録した機関の所在地等が日本国内であれば国内取引
役務提供の場合:原則は役務提供が行われた場所。運輸や通信など国内と国外の両方で行われるものの場合、発送地や到着地などの場所が国内であれば国内取引として判断するケースが多い
国内と国外にわたって行われる取引は、それぞれ細かな判定が必要です。
そして金融機関で発生する海外送金手数料ですが、取引はあくまでも送金を行う人と金融機関の間のみで行われます。「海外」という言葉は入っていますが、役務提供が行われる場所はあくまでも国内です。したがって海外送金手数料は、国内取引で発生する対価といえます。
ただし前述したように、海外送金手数料は例外的に非課税取引と定められています。国内取引の判定基準について紹介しましたが、あくまで参考程度としてご活用ください。海外送金手数料に消費税はかからないという点だけ押さえておけば問題ありません。
海外送金を引き出す際の手数料は消費税の課税対象
ひとつ注意点として、海外送金を引き出す際の手数料は、消費税の課税対象となります。
海外送金は送金時だけではなく、受取時にも手数料が発生するケースがあります。こちらの受取手数料は外国為替取引に該当するため、消費税はかかりません。
一方、海外送金の受け取りが無事に完了したあとは、ほかの預金と同じように口座に入ります。その後お金を引き出す際は、通常通りATM手数料などがかかります。このATM手数料は消費税の課税対象です。
受け取りが完了し口座に入金されたあとは、海外送金で受け取ったお金という区別はされず、引き出しの手数料に消費税が課せられます。
まとめ
海外送金手数料は送金時に発生する送金手数料・為替手数料・コルレス手数料・リフティングチャージの総称です。これらの海外送金手数料は、いずれも消費税の非課税取引です。
海外送金手数料は、一見すると消費税の課税対象になる条件を満たしています。しかし税法において、為替業務は例外的に消費税の非課税取引と定められています。したがって海外送金手数料には消費税が発生しないのです。
消費税の有無を押さえておくことで、安心して海外送金を実施できるでしょう。
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