【徹底比較】助成金と補助金の違いとは?申請時の注意点について詳しく解説します
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新型コロナウィルス蔓延への対応やDX化、働き方改革等、企業は様々な対応を迫られています。
新しいシステムの導入や対応にはソフト面、ハード面共に資金がかかるため、助成金や補助金の導入を検討している企業経営者や総務部門担当者等も多いことでしょう。
ところで、助成金と補助金の違いはなんでしょうか?明確に応えられる人は案外少ないかもしれません。助成金と補助金は共通点こそ多いものの、目的や申請の流れなど異なる点も多いです。
本記事では助成金と補助金の違いについて、申請時の注意点も含めてわかりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.助成金と補助金の違いについて
- 2.助成金とは
- 2.1.助成金の目的について
- 2.2.助成金の対象と仕組みについて
- 2.3.助成金申請から交付までの流れ
- 2.4.助成金申請時の注意点について
- 3.補助金とは
- 3.1.補助金の目的について
- 3.2.補助金の対象と仕組みについて
- 3.3.補助金申請から交付までの流れ
- 3.4.補助金申請時の注意点について
- 4.助成金と補助金を活用する際の注意点
- 5.まとめ
助成金と補助金の違いについて
初めに、助成金と補助金の共通点と違いについて解説します。
助成金と補助金の共通点として以下の3点が挙げられます。
- 財源が原則として国や地方公共団体であること
- 返済の必要がないこと
- 原則として後から支給されること
公的機関から支給される上に融資と違って返済の必要がないことは嬉しい特徴ですが、後日の支給となるため、急ぎの資金調達には向きません。時間的余裕を持った資金計画が必要となります。
次に助成金と補助金の違いとして以下の4点が挙げられます。
- 助成金は主として厚生労働省が実施していること
- 補助金には予算があること
- 補助金はコンペ形式が殆どであり、申請してももらえない時があること
- 助成金は数十万程度、補助金は数百万~数千万と額が大きいこと
助成金は要件を満たしていれば基本的に支給を受けられるのに対して、補助金は申請しても通らない可能性もあります。助成金の方がハードルが低い反面、補助金と比べると金額が低い傾向があります。
次に、助成金と補助金に分けてその特徴や申請時の注意点等を解説します。
助成金とは
助成金は、雇用増加や人材育成のために主として厚生労働省が実施しています。
大きく分類すると、雇用関係助成金と、人材開発支援助成金に分かれます。
主な助成金の詳細は厚生労働省のHPに掲載されていますが
- 雇用維持関係の助成金
- 再就職支援関係の助成金
- 雇入れ関係の助成金
- 雇用環境の整備関係等の助成金
- 仕事と家庭の両立支援関係等の助成金
- 人材開発関係の助成金(特定関連コースや一般訓練コース等)
等があります。種類が多くあるため、条件を満たしていれば1つの事柄で複数の助成金の受給ができる場合もあります。これは補助金との違いの1つと言えます。
助成金の目的について
雇用関係助成金の支給目的は「失業の予防、雇用状態の是正、雇用機会の増大その他雇用の安定、職業能力の開発や向上を図るため」(厚生労働省 雇用関係助成金支給要領より抜粋)
また、人材開発支援助成金の支給目的は「労働者の職業能力開発を促進及び企業内における労働者のキャリア形成の効果的な促進をするため」(厚生労働省 人材開発支援助成金支給要領より 一部省略)とあります。
このように助成金の大まかな目的は「雇用の安定」「労働環境改善」「労働者の職業能力開発」というのが特徴です。
助成金の対象と仕組みについて
雇用関係助成金の対象は就職氷河期世代の方、女性、介護労働者、離職者等、多岐に渡ります。雇用主を対象としたものが多いのですが、求職中の方向けの助成金等もあります。
助成金の仕組みについては、一定の要件を満たす対象者が、支給申請期間(原則申請が可能となった日から2か月以内)に厚生労働省等に申請し、給付を受けることができます。
助成金申請から交付までの流れ
申請から実際に助成金が交付されるまでの大まかな流れは次の通りです。
- 要件を満たすための実施計画書を作成
- 実施
- 申請
- 承認
- 助成金の受領(申請後、半年から1年が目安)
実施後の申請・承認・受領となるため、場合によっては助成金が受領できないこともありうることや、設備投資には利用しにくいことがデメリットとしてあげられます。
助成金申請時の注意点について
助成金申請時の注意点としては、要件を全て満たす必要があることと、年度に応じて情報を把握する必要があることです。
支給申請できる事業主の共通要件には、雇用保険適用事業所の事業主であること、期間内に申請を行う事業主であること、支給のための審査に協力する事業主であることなどがあります。これらに加えて、各助成金について個別の要件があります。
年度によって要件の変更や、新しい助成金の新設、助成金の廃止等があるので、継続して申請する場合でも最新情報のチェックが必要です。
要件を満たせば基本的に受給ができるので、助成金の申請に当たっては情報収集が重要となります。
補助金とは
続いては補助金についてです。補助金は、国や自治体の政策目標(目指す姿)に合わせてさまざまな分野で募集されています。例えば近年国の政策目標としては「IT化」「クリーンエネルギー化」等、自治体の政策目標としては「過疎化対策」等が挙げられます。
こうした目標に合った事業に対して国や自治体が経費の一部を負担してくれるのが補助金です。
助成金は大きく「雇用の安定」「労働環境改善」「労働者の職業能力開発」という共通の目的がありますが、補助金は実施機関がそれぞれの政策目標に合わせて募集するため、補助金によって目的や対象、仕組みが異なります。
ですから、それぞれの補助金の「目的・趣旨」を確認し、自分の事業とマッチする補助金を見つけることが必要となります。
代表的な補助金として、経済産業省が実施している「IT導入補助金」や「ものづくり補助金(正式名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」、国土交通省が実施している「CEV補助金(V2H充放電設備)(前身はエコカー補助金)」等があります。
また、よく知られている例として「太陽光発電に対する補助金」がありますが、国による太陽光発電単体での補助金は2014年に終了しており、現在では都道府県や市町村独自で行われています。
補助金の目的について
目的は補助金により異なります。例えば経済産業省が実施しているものは、主に設備投資や事業促進が目的となっています。前項の例に挙げた補助金を順に見ていきますと
- IT導入補助金:中小企業・小規模事業者等が経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化・売上アップといった経営力の向上・強化を図ることが目的(IT導入補助金HPより)
- ものづくり補助金:中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援する目的(ものづくり補助金HPより)
- CEV補助金(V2H充放電設備):『災害時に、電気自動車や燃料電池自動車の外部給電機能の活用を促進することによるレジリエンス※の向上を図ること』が目的(一般社団法人 次世代自動車振興センターHPより)
このように、補助金毎に対象となる活動や経費が異なります。まず自分の事業に合う補助金を見つけることが申請の第一歩となります。
補助金の対象と仕組みについて
補助金の対象は事業主から個人まで、補助金により異なります。例に挙げた補助金を順に見ていきますと
- IT導入補助金:中小企業・小規模事業者
- ものづくり補助金:中小企業・小規模事業者
- CEV補助金(V2H充放電設備):「V2H充放電設備」の購入者(個人・地方公共団体・法人・その他団体等(リース会社含む))
となってます。
補助金では「採択」という選考プロセスがあるのが特徴です。
補助金の目的や趣旨、条件と合致しているかどうかを、事業計画書等の申請書類に基づいて審査し、採択された事業者に対してのみ補助金が交付されるという仕組みになっています。
補助金によって、補助率や上限額が決まっていて、必ずしも事業にかかるすべての経費を補助してもらえるわけではありません。また原則として、補助金は後払いです。
交付決定の前に発注してしまうと、補助金の対象にならない場合があるので、募集要項をよく確認する必要があります。
また、事業終了後、定期的な事業の状況報告や、収益の報告が必要となる場合もあります。
補助金申請から交付までの流れ
申請から実際に補助金が交付されるまでの大まかな流れは次の通りです。
- どのような補助金があるか、募集要項等も含め確認
- 申請
- 採択通知の受領
- 事業の実施
- 補助金の交付
申請の際に提出する事業計画書の内容によって、採択の有無が左右されますから、事前の準備は欠かせません。さらに補助金の交付後も定期的な事業報告が必要な場合が多く、事務局とのやりとりを何度も行う必要があります。
また、基本的に後払いのため事業実施に必要な資金は別途確保しておく必要があります。
補助金申請時の注意点について
補助金は「政策目標を達成するための制度」であり、国や地方公共団体の予算が決定した後に公募されるため、募集開始は4月~6月頃が多いです。募集期間(申請期間)や回数は補助金によって異なるものの、募集期間が大体1カ月前後と短い点は注意が必要です。
また、設備投資のタイミングと募集時期、補助金の公募、審査、採択、交付決定までのスケジュールが合うかどうかにも気をつけましょう。スケジュール次第では補助金の交付が受けられないこともあります。
補正予算が組まれる等により、新しい補助金(枠)が設置されたり、公募の回数が増えたり、条件が変更されたりすることもあります。最新の情報をチェックするようにしましょう。
助成金と補助金を活用する際の注意点
助成金と補助金を活用する際の共通の注意点として
- 申請までの工程が複雑であること
- 提出資料が多岐にわたる(事業計画書や報告資料等)こと
- 原則として後払いであること
等が挙げられます。
書類作成や事後の報告業務など事務的な負担が増えることも予め考慮しておく必要がありますし、報告書作成のためには適切な会計処理が欠かせません。
また後払いである点は特に注意しましょう。申請から受給まで半年〜1年以上かかるケースもあります。余裕を持った資金計画が大切です。
まとめ
助成金も補助金も事業資金を支援してくれるありがたいものです。特徴や注意点を理解して活用することで事業の成長・継続に大いに役立ちます。融資と違い返還する必要がありませんから、条件に当てはまるのであれば活用することをおすすめします。
しかし、業務が忙しくて情報をチェックできない、申請書類を準備する時間がない、という方も少なくないと思います。そんな場合には専門家の力を頼ることを検討しましょう。
補助金の申請にあたっては、各都道府県に設置されている国の無料経営相談所「よろず支援拠点」や、国が認定した民間の支援者・支援機関「認定経営革新等支援機関(税理士・公認会計士・中小企業診断士・商工会・商工会議所・金融機関など)」にアドバイスを求めることもできます。(認定支援機関について 経済産業省HPより)
国や地方公共団体が用意している制度を有効活用しましょう。
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