法人税とは?地方税や消費税などの税と合わせてわかりやすく解説。
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法人と個人では、納める必要のある税金に違いがあります。なかでも法人税は、法人特有といえる税金のひとつです。事業の法人化をするにあたっては、法人に課せられる税金の理解を深めるためには、法人税に関する知識や情報が欠かせません。
法人に支払い義務のある税金には、似たような名称・イメージのものが複数存在する点にも注意が必要です。
本記事では法人税について、概要や似た税金との違い、計算方法などを解説します。
目次[非表示]
- 1.法人税とは
- 1.1.法人の所得に対して課せられる税金
- 1.2.法人税の課税対象とは
- 1.3.法人税の支払いが必要な組織とは
- 2.法人税と似た税金の違い
- 2.1.所得税との違い
- 2.2.法人住民税・法人事業税との違い
- 2.3.消費税との違い
- 3.法人税の計算・申告方法
- 4.まとめ
- 5.経理業務でお悩みのときは、グランサーズにご相談ください!
法人税とは
はじめに法人税の概要です。法人税の意味や課税対象、法人税の支払いが必要な組織について解説します。
法人の所得に対して課せられる税金
法人税とは、法人で発生した所得に対して課せられる税金です。個人における所得税と似た性質を有します。
法人税は国税の一種であり、納付先は管轄の税務署です。該当の法人から税務署へ直接納付するため、直接税に該当します。
法人税は原則として、法人の事業年度終了日(決算日)の翌日から2ヶ月以内の申告・納付が必要です。所得に対して課せられる税金のため、赤字の場合には発生しません。ただし法人税が発生しない場合でも、法人税の申告自体は行う必要があります。
法人税の課税対象とは
法人税の課税対象となるのは、法人で発生した所得です。より厳密に表現すると、益金-損金で算出された金額に課せられます。
注意するべきなのが、法人税の計算で要する所得が、収益-費用で計算される会計上の利益と同じになるとは限らない点です。収益と益金、費用と損金はそれぞれ似た性質を持ちますが、細かな金額や項目には違いがあります。
なお実際の計算では、益金・損金自体を使うことは多くありません。収益-費用で計算される会計上の利益に、法人税法で規定された調整を反映させて所得を算出し、所得を基に法人税を計算します。
法人税の支払いが必要な組織とは
法人税の支払いが必要になるのは、利益を得るための事業活動をしており、かつ黒字である組織です。具体的には、以下のような法人の種類が該当します。
- 株式会社
- 有限会社
- 合名会社
- 合同会社
- 合資会社
- 相互会社
- 労働組合
- 医療法人
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- 協同組合
- 管理組合
法人のなかでも、地方公共団体などの公共法人には、法人税の支払義務は生じません。公共法人の行う活動は利益目的ではなく、法人税の課税対象とみなされないためです。
また公益法人や人格のない社団については、収益事業によって生じた所得のみが法人税の課税対象となります。
法人税と似た税金の違い
税金にはさまざまな種類があり、なかには法人税と似た性質・イメージを有するものも存在します。法人税に対する正しい理解を深めるには、法人税と似た税金との違いについてもおさえることが大切です。
法人税と混同しやすい税金として、以下の3つがあげられます。
- 所得税
- 地方法人税
- 消費税
それぞれの税金の特徴や法人税との違いについて解説します。
所得税との違い
前項でも少し触れましたが、所得税は個人に対して課せられる税金です。法人税は法人の所得、所得税は個人の所得が課税対象となります。
法人税と所得税の違いは、課税対象だけではありません。税率にも大きな違いがあります。
所得税は累進課税制度が採用されており、所得が上がるにつれて税率も高くなります。税率は最大で45%です。
一方で法人税は、法人の種類および資本金・所得金額の大きさによって税率が決まっています。詳しい税率や決まり方は後述しますが、最大税率は23.2%です。そのため所得の大きさによっては、個人で事業展開するよりも、法人成りして法人税の対象となったほうが得なケースがあります。
法人住民税・法人事業税との違い
法人住民税・法人事業税は、地方公共団体が納付先の税金です。一般的に「法人税等」と呼ばれるものは、法人税と法人住民税・法人事業税をまとめて表しています。
法人住民税は、文字通り法人に対して課せられる住民税です。法人の事業所が所在する地方自治体に対して納付します。
法人住民税は、法人の規模に応じて定額で発生する「均等割」と、法人税額を基に算出した「法人税割」から構成されます。「均等割」は所得の有無に関わらず発生するため、たとえ赤字決算の年でも、法人住民税の納付が必要です。
法人事業税は、法人の事業に課せられる税金です。計算対象は法人税と同じく、法人の所得部分となります。税金の一種でありながら、翌年の損金として計算できる点が特徴といえます。
消費税との違い
法人税は法人に発生した所得に対して課せられ、法人が納税するという、税金の負担者と納税義務者が同一の直接税です。一方で消費税は、消費者から預かった消費税を事業者が納付する、税金の負担者と納税義務者が異なる間接税です。
消費税は売上など収入に対してかかる消費税から、仕入や経費にかかった消費税を引いた額を支払います。売上にかかる消費税が100、仕入などにかかる消費税が80の場合、納付額は20となります。
法人税はすべての法人が対象であり、黒字の場合は原則として納付が必要です。一方で消費税は、2期前の売上高が1,000万円以下であるなど、一定の要件を満たせば免税になります。そのため利益が発生していても、消費税の免税事業者である法人が存在するのです。
法人税の計算・申告方法
法人税の計算および申告方法を解説します。近年は会計ソフトや税務申告ソフトが普及しているうえ、税理士などの専門家に税務代行を依頼するのが一般的です。しかし法人を営む以上、自身でも法人税の計算・申告方法の基本的な部分を知っておくのが安心です。
法人税の税率
まずは法人税の税率を解説します。前述したように、法人税の税率は法人の種類および資本金・所得金額の大きさによって決められています。具体的な税率は以下のとおりです。
- 普通法人のうち資本金1億円以下である中小法人:年間所得800万円までは15%、800万円を超える部分は23.2%
- 中小法人以外の普通法人:すべての所得に対して23.2%
- 公益法人等:収益事業から生じた年間所得800万円までは15%、800万円を超える部分は23.2%
- 協同組合等:年間所得800万円までは15%、800万円を超える部分は19%
ほかにも法人の種類や特定の条件によって税率が定められていますが、いずれの場合も税率は明確です。
※法改正により税率や条件が変わる可能性があるので、必ず最新の情報をご確認ください
法人税の計算方法
続いては法人税の計算方法です。前項では益金-損金で算出された所得に対して課せられると解説しましたが、より厳密には以下のように計算します。
法人税の額=課税所得×規定の法人税率-税額控除
税額控除とは所得に税率を乗じて算出した金額から直接控除できる金額です。利子等にかかる所得税を控除できる所得税額控除や、国外で所得が発生した場合における外国税額控除などの制度があげられます。
法人税の申告方法
法人税の申告・納付期限は、原則として法人の決算日から2ヶ月後です。たとえば7月31日が決算日の場合、9月30日までに申告・納付が必要です。
法人税の申告では、法人税の申告書および必要な添付書類などを揃えて、所轄の税務署に提出する必要があります。申告書は窓口への持参や郵送での提出も可能ですが、近年はオンライン上で行う電子申告も多くみられます。
また法人税の納付方法は、大きく以下の4種類です。
- 現金納付:納付書を用いて現金で納付する方法。金融機関や所轄税務署で実施可能
- クレジットカード納付:国税の専用サイトを使ってクレジットカードで納付する方法
- ダイレクト納付:電子申告のあとに、指定の口座から振り替えて納付する方法。事前に設定が必要
- インターネットバンキング納付:インターネットバンキングから納付する方法。事前に設定が必要
まとめ
税金は法律で細かな部分まで厳密に規定されており、正しく計算するためには専門知識が必要です。そのため税金については、税理士などの専門家に一任している方も珍しくありません。
しかし法人税は、法人が支払う税金のなかでも、特に多額になりやすいといえます。大きなお金が動く可能性があるため、基礎的な部分だけでも理解しておくと安心です。
本記事が法人税に関する理解を深める助けになれば幸いです。
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